議会での活動・一般質問など



 「日本学術会議の任命拒否撤回を求める意見書」(案)


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 (2020年12月議会 日本共産党熊本市議団・提出)
 「日本学術会議の任命拒否撤回を求める意見書」(案)
   菅義偉首相は、日本学術会議第25期会員任命に際し、日本学術会議から推薦された105名の会員候補のうちの6 名の任命を拒否しました。この間の国会審議等で、任命拒否の理由を「総合的、俯瞰的な観点から判断」という抽象的な説明が繰り返され、具体的な理由は何ら示されていません。
 日本学術会議法は、条文全体で日本学術会議の政府からの独立を幾重にも保障しています。首相の任命は、「形式的任命にすぎない」「拒否しない」ことは1983年の日本学術会議法改定時に中曽根康弘元首相の国会答弁で明確にされており、任命拒否は、日本学術会議法に照らして許されません。
 また、2004年の「任命を拒否することは想定されていない」と解釈する政府文書も存在しており、「形式的任命」「拒否しない」ことこそが政府の一貫した法解釈だった事実は動かすことができません。国会答弁で明確に示され、確定された法解釈を、内閣の一存で勝手に変えることが許されるならば、国会審議は意味をなさなくなり、もはや法治国家とは言えません。
 日本学術会議の自律性、独立性を保つことは、多様な角度から真理を追究する学術研究を発展させ、社会全体が科学の成果を享受するために欠くことができません。今回の任命拒否は、政府による自由な学術研究の統制と異論を排除する社会をつくり出し、政府に対し、物が言えない風潮を強めることになります。  
 900を超える学会・大学関係から、任命拒否理由を明らかにすること、速やかな任命を求める意見が表明されるとともに、広く多数の市民団体・マスコミ等からも任命拒否の不当性を批判する声が上がっています。
 任命拒否の理由が全く成り立たず、日本学術会議法に違反し、憲法に規定された学問の自由に違反、科学者の戦争総動員という歴史の教訓に反し、表現・言論の自由の侵害につながる重大な問題であり、どこからみても道理のない任命拒否は直ちに撤回すべきです。
 上記の理由から、下記の事項を要請します。
 1 日本学術会議が推薦した会員候補者を任命しなかった理由を明らかにする。
 2 任命拒否を撤回し、会員候補者6名をすみやかに任命する。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
 
 2020年12月 日
 熊本市議会
 各宛1通 

 「国民生活の向上につながるデジタル化推進を求める意見書」(案)


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 (2020年12月議会 日本共産党熊本市議団・提出)
 国民生活の向上につながるデジタル化推進を求める意見書(案)
 菅政権は「デジタル庁」創設を表明し、(1)国と自治体のシステムの統一・標準化(2)マイナンバーカードの普及促進を通じた各種給付の迅速化(3)スマートフォンを使った行政手続き(4)オンライン診療やデジタル教育に関する規制緩和などをすすめる方針です。膨大な個人情報がマイナンバーでひもづけされ、政府が一手に握ることになります。個人情報の漏えいや悪用が起きる恐れがあります。また、個人情報を営利企業に利活用させる仕組みも検討されており、蓄積された情報をもとに企業が個人を評価、差別、排除する仕組みがつくられかねません。マイナンバーカードが普及しない最大の理由は、国民の行政に対する不信、個人情報漏えいへの不信感があるからであり、首相はマイナンバーカードを2022年度末にはほぼ全国民に行き渡ることを目指すと表明していますが、5年かかっても2割しか普及しなかったマイナンバーカードをほぼ全員に持たせるためには、よほど強権的なやり方でなければ普及できません。ますます重大な個人情報漏えいや、そのことによる被害の拡大が生まれることが予想されます。
 プライバシー権に関する国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏は、自由人権協会(JCLU)が主催したシンポジウムで、監視システムに対する保護装置として、⓵法の支配、⓶独立機関による承認、⓷監視手法の限定、⓸具体的要件の設定、⓹透明性の確保と情報公開の5点が必要、ビッグデータへの情報集積からAIによる分析、活用の一連の流れの中に、個人情報保護とプライバシーを守る装置を組み込むべきであると指摘しています。2018年5月に施行されたEU一般データ保護規則(GDPR)は、デジタル化に対応して個人情報保護の仕組みを抜本的に強化し、企業が蓄積したデータを個人が消去させる権利、個人データの取扱いに対し異議を述べる権利、プロファイリングだけにもとづいて重要な決定を下されない権利などを規定しています。このように、デジタル化に対応した個人情報保護の強化は、いまや世界の流れです。
 デジタル化がすすんでいく社会においては、国家や資本による国民監視から、国民のプライバシーと人権が厳格に守られなければなりません。同時に、デジタル化とすすんだ先端技術を国民生活向上のために活かすことが必要であり、そのための真剣な議論こそ求められています。
 今後のデジタル化推進にあたっては、憲法に規定された国民の権利として、個人情報とプライバシーを厳格に保護し、進んだ技術が国民生活の向上に活かされるよう、政府として取り組むことを要望します。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
 2020年12月 日
 熊本市議会
 各宛1通

 「新型コロナ感染症にかかる支援強化を求める意見書」(案)


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 (2020年12月議会 日本共産党熊本市議団・提出)
 「新型コロナ感染症にかかる支援強化を求める意見書」(案)
 
 2月より感染が広がってきた新型コロナウィルス感染症は、長期にわたり各方面に重大な影響を及ぼしています。「第3波」といわれる感染の急拡大が深刻化する中で、国民の命と健康、暮らしを守り抜くためには、事態の深刻さに見合った適切な対応策をしっかりと行っていく必要があります。この間、感染を的確に抑え込むことができなかった政府の対応が問われており、検査と医療体制確保の抜本的拡充、営業と雇用を支える制度を強化することは急務です。
 政府のコロナ感染症対策分科会が、適切な感染防止策を取らなければ「急速な感染拡大に至る可能性が高い」と警告しているように、感染の広がりに対する緊急対応は焦眉の課題です。PCR検査体制の大幅な拡充による無症状者の把握・保護を含めた積極的検査への戦略的転換が強く求められています。感染の爆発的拡大を抑止するためには、感染急増地(ホットスポット)となるリスクのあるところに対して無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」が必要です。また、自治体の独自の検査を「全額国庫負担」で支える仕組みも求められます。コロナ対応と患者減少で赤字を抱え疲弊している医療機関の危機を救うために国による減収補てんに踏み切ることも急がれます。感染者の発見・保護・追跡には保健所の体制強化が不可欠です。
 また、事業と雇用の危機も深刻です。これから年末にかけて倒産・廃業・失業の急増が懸念され、「このままでは年が越せない」「事業を続けられない」という悲鳴が各地で上がっています。中小企業向けの持続化給付金を複数回支給することや、家賃支援給付金と休業支援金の拡充こそが国民の切実な要求です。
 新型コロナウイルスの感染拡大と消費税の増税で、落ち込んだ日本経済の実態が改めて浮き彫りになりました。内閣府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP速報値)は、物価変動を差し引いた実質で前期比5%増と4四半期ぶりにプラスになったものの、GDPの実額は、コロナ前の水準を下回るだけでなく、消費税を10%に増税した後の水準よりさらに悪化しています。暮らしと営業を支え、経済を立て直すための政策に本格的に転換することが急務です。
 よって、以下の点を要望します。
 1、感染の爆発的拡大を抑止するため、感染急増地(ホットスポット)となるリスクのあるところに対して無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」を実施するとともに、医療機関、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校、学童クラブなど、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等に、定期的な「社会的検査」を行い、感染拡大の事前防止に努めること
 2、行政検査を増やすと自治体の持ち出しとなる検査の地方負担をなくし、全額国庫負担による検査の仕組みをつくり、政府が先頭に立って「面の検査」「社会的検査」を推進すること
 3、急激な感染拡大に対応し、陽性者を着実に把握・保護していくためには、感染追跡を専門に行うトレーサーが不可欠であり、「検査・保護・追跡」を一体に推進してこそ感染拡大が抑止できるので、国の責任で緊急に人員の養成・確保を図ること
 4、「減収補てんはしない」という姿勢をあらため、地域医療を支えるすべての病院・診療所に減収補てんを行い、医療体制を全力で守ること
 感染防護具や医療用器材を国の責任で現場に届けること、自治体が必要な宿泊療養施設を確保できるよう予算の緊急的な追加を行うこと
 5、苦境に立つ観光・飲食業者をはじめ、事業の継続が困難な中小零細企業に対し、事業継続のための継続的な支援を行うこと
 速やかな景気の回復、消費拡大のために、消費税を5%に引き下げること
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
 2020年12月 日
 熊本市議会
 各宛1通

2020年12月18日最終日質疑「議会事務局設置条例改正」 上野 みえこ

・2020年12月18日
 2020年12月18日最終日質疑「議会事務局設置条例改正」 上野 みえこ
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 今議会には、議員発議で「熊本市議会事務局設置条例の一部を改正する条例」、「熊本市議会会議規則の一部改正」、「熊本市議会委員会条例の一部改正」、「熊本市議会議員の議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例の一部改正」の4件が提案されています。
 いずれの議案も賛同できないというものではなく、特に費用弁償の規定変更については、以前より私どもも積極的に要望として意見を述べてきた問題でもあり、たいへん歓迎しています。しかしながら、「議会局設置」は、議会のあり方にかかわる大事な問題なので、今後の議会運営や議会活性化とどのようにつながるのか、確認も含めて、発議第26号「熊本市議会事務局設置条例の一部を改正する条例」案について、発議者の代表である議会運営委員長にお尋ねいたします。通告した2点、議会局の設置・議会事務局の役割について、一括して伺います。
 1、議会事務局の設置根拠法令と、その内容についてご説明ください。
 2、今回の条例改正による「事務局」を「議会局」とすることの必要性や意義をご説明ください。
 3、条例改正提案までの検討経緯をご説明ください。
 4、議会には、会議原則があり、それに則った議会運営は、会議の運営を円滑にし、目的を充分達成するために必要な基準です。この原則の内容をご説明ください。
 5、会議原則に則った議会運営を行う上で、議会事務局の果たす役割について、見解を伺います。今回の「議会局」への変更で、どのように充実していくのでしょうか。
 答弁をお願いいたします。
 
 (答弁)
 
 答弁にありましたように、議会事務局の設置根拠は、地方自治法です。第138条第2項の「市町村の議会条例の定めるところにより、議会事務局を置くことができる」との規定です。同じく地方自治法138条第3項には、議会事務局には事務局長、書記その他の職員を必ずおかなければならないと定めてあり、議会事務局職員の任免権は議長にあります。さらには、同法138条第7項に「事務局長及び書記長は、議長の命を受け議会の庶務を掌理する」、同じく138条第8項に「書記その他の職員は、上司の指揮を受け議会の庶務に従事する」とあって、議会事務局員の職責は、議長の命により、議会に関するすべての事務を処理して、議会の持つ権能が十二分に発揮できるように努めることにあるということが、法に明確に定められています。
 また、議会事務局が職務にあたる市議会は、憲法第93条「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議決機関として議会を設置する」という憲法規定を設置根拠としています。
 地方自治の本旨は、「住民自治」と「団体自治」の双方を実現することであり、双方が相まって地方自治が健全に発展します。「住民自治」を実現する仕組みの一つに、地方自治体が、住民による直接選挙に選出された長・いわゆる執行機関と、同じく直接公選による議員によって構成される議会、議決機関によって成り立っているという仕組みがあり、長には執行権を、議会には議決権を与えることによって、相互にその権限を均衡させ、それぞれの独断専行を抑制し、適正で効率的な行財政の運営を確保させるための、地方自治体における長と議会の対等平等の関係があります。地方自治の本旨を実現するための「二元代表制」の一方として、議会がその役割をしっかりと果たしていく、その役割が十二分に発揮されていくよう、職責を果たすのが議会事務局です。市の職員であっても、執行機関の側で仕事をするのではないことを肝に銘じなければなりません。
 議会には、①自治体の政策を決定すること、?執行機関の行財政運営や事務処理等のすべてを適法・適正にかつ公平・効率的・民主的になされているかを批判し監視する、という2つの使命があります。言論の府として、それを実現するためには、議会という場での発言が一番重要であり、それを保障するための民主的な議会運営を行う基本として会議原則があります。「議事公開の原則」「定足数の原則」「過半数議決の原則」「議員平等の原則」「一議事一議題の原則」「一時不再議の原則」「会期不継続の原則」「委員会審査独立の法則」「公正指導の原則」など、長年にわたり、民主的な結論を得るために積み重ねられてきた人類の経験と知恵の集積、普遍的な法則です。これらの原則に則った議会運営を支えていくのも議会事務局です。そのため、議会事務局には、市長事務部局にはない専門的知識や経験などが要求されます。地方自治における二元代表制の一方を担う議会が円滑に運営され、言論の府である議会における議員活動の基本である言論、議員の権利の中でも最も重要な発言の権利、自由闊達な議論を保障するため、議会事務局の果たすべき職責は極めて重要です。
 今回の「議会事務局」を「議会局」とする文言の変更は、地方自治法に規定された事務局の職責が、何ら変わるものではありません。しかし、この機に改めて、議会事務局の設置根拠である自治法の趣旨や、重要な役割を果たす議会事務局が会議原則に則った議会運営を行っていくためにどのような役割が必要とされるのか、議長に任命された、執行機関から独立した機関の職員としての役割を再確認すべきだと思います。
 また、今回は最大会派「熊本自民」からの提案で、議運に諮られ、議案が上程されました。議会運営委員会では、特段の意見もなく了解され、議案となったことを見れば、議運を構成する会派では、事前に何らかの協議が行われていたのではないかと思います。議会局設置はもちろん、委員会の運営や費用弁償等もすべての議員に直接かかわる問題です。議会の基本原則の一つ「議員平等の原則」に立つならば、議運という議案提案の最終段階に諮る前に、事前に行われたであろう何らかの協議の段階で、少数会派も含めてすべての議員に提案内容を説明し、意見を求めるべきです。それこそ、民主主義を体現する議会としてのあり様ではないでしょうか。
 議会活動にかかわる、それぞれの会派からの積極的な提案は、議会活性化につながる大事なことですが、提案がよりよいものになるためには、広く意見を集めること、集団的な検討は欠かせません。議会改革にかかわる問題は、協議の場として設置されている議会活性化検討会など、公の場での協議を通じすすめていくことが、開かれた議会としてのあり方ではないでしょうか。この点も指摘しておきます。
 冒頭述べましたように、各々の発議、その内容に反対するものではありませんが、指摘したような課題や問題点がありますので、委員会付託の省略については反対をさせていただきました。
 新型コロナ禍で、市議会もまた二元代表制の一翼を担う重責を担い、その責務を果たし、充分な議論を行うため、平常どおりの議会が開催できるよう、縁の下の力持ちとして支えていただいている議会事務局のみなさまには見えないご苦労がおありだと思います。心から敬意を表し、お礼申し上げます。今年3月の第1回定例会では、重要な意見の機会である一般質問を中止せざるを得ない状況にもなりましたが、コロナ禍でこそ重要な議会の役割を果たしていくためにも、そのようなことに再びならないように、議員と事務局が一丸となって、取り組んでいければと思います。議会事務局が、原則的な立場で、その重要な役目をしっかりと果たしていかれるようお願いして、質疑を終わります。

2020年12月議会 議第255号「熊本市公文書管理条例の制定について」質疑 上野 みえこ

・2020年12月18日
 議第255号「熊本市公文書管理条例の制定について」質疑 上野 みえこ
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 議第255号「熊本市公文書管理条例の制定について」質疑致します。
 通告に沿って伺います。
 1点目の、条例制定に至る経緯とその意義です。
 今回、本市においても公文書管理条例が制定のはこびとなって提案されたことは、市民の財産である公文書の適切な管理が法的にも明確にされる点で、歓迎しています。そこで、条例制定に至る経緯とその意義について伺います。
 2番目に、条例の内容とその運用です。
 ① 第4条には「実施機関の責務」定められていますが、この条項は、実施機関が条例の目的に沿いどのように運用するのかを規定した重要な項目です。「公文書等の管理に関する法律」では、「行政文書の管理」の冒頭部分の第4条で、「行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため」と述べられており、本市の条例でも、目的にそった適切な運用のため、「第一条の目的の達成に資するため」と表記した方がよいのではないでしょうか。
 ② 第5条に「公文書の作成」の項がありますが、作成する文書の具体的な内容規定がありません。公文書管理法では、作成しなければならない文書の内容まで法律に規定しています。本市条例では、その点をどのように定めるのでしょうか。
 ③ 第6条3項に基づき、「保存期間」が別表に定められています。別表に規定されたそれぞれの期限の設定根拠、その考え方についてご説明ください。
 ④ 第6条の4項には、「保存期間の延長」についての定めがありますが、その内容は規則ではどのように定めていくのでしょうか。内容について具体的にご説明ください。
 ⑤ 第6条6項では、保存期限が満了した時の措置として、歴史公文書等に該当するものの移管措置、それ以外のものの廃棄の措置と、2通りの措置が規定されています。しかし、歴史的公文書等に該当しない場合であっても、業務執行上の都合、例えば、長期に使用する公共施設等の設計図書等など、最長30年で廃棄をしてはまずい文書についての規定が必要ではないでしょうか。
 ⑥ この条例の運用段階になれば、条例に係る業務執行のための新たな人員が必要になってくると思います。この条例運用にかかる人員体制はどのように確保していかれるのでしょうか。
 ⑦ 附則にありますように、条例は可決されれば、2021年4月1日より施行されることになります。今年度保存期限の上限30年を迎えている文書の扱いについては、年度末に急ぎ処分せず、条例施行後に、適切な手順を踏まえて、文書の取扱いを決めていくべきではないかと考えます。条例施行による、移行期間的な段階の事務取扱について、どのようにお考えでしょうか。
 3点目の、公文書等管理委員会については、条例第4章に規定があります。
 ① 委員数は7人、その選任の考え方と、「学識経験者その他」について具体的にどのような分野からの選任を予定されているのか、ご説明願います。
 ② 公文書管理法により設置されている公文書管理委員会は、原則公開です。なぜ本市条例の公文書管理委員会は、原則非公開なのでしょうか。理由をご説明ください。法に準じて原則公開とすべきではないでしょうか。
 
 1点目は市長に、2点目と3点目は総務局長にお尋ねいたします。
 以上、登壇回数の都合で質問が多くなりましたが、答弁をお願いいたします。
 
 (答弁)
 
 縷々答弁いただきましたが、総務局長は「実施機関の責務」の質問に対し、「この条例は『公文書等の管理に関する法律』の趣旨に沿って適切に運用していく」と答弁されました。それを踏まえてお尋ねします。
 先ほど言いましたように、公文書管理法では、国の公文書管理委員会は原則公開と定めてあります。熊本市公文書等管理委員会を原則非公開とすることは、法の趣旨に沿った運用と言えるのでしょうか。どんな理由を述べられても、全く相反する規定ではありませんか。管理委員会の非公開のどこが法に沿っているのか、ご説明をお願いいたします。
 総務局長にお尋ねいたします。
 
 (答弁)
 
 ・・・・・・・・・・
 この度、本市の公文書管理条例が制定されることは意義あることだと考えます。しかしながら、今のような答弁では、この条例のもつ本質を理解されていないのではないかと、指摘しなければなりません。
 遡れば、2001年に施行された情報公開法の条文には、文書管理の基本的事項に関する規定が設けられ、行政機関の保有する行政文書を原則公開することで説明責任を果たすことが義務付けられました。しかし、あくまで情報公開制度の運営上の観点から文書管理に関する規定を設けたに過ぎず、国の行政事務全体をカバーする包括的な文書管理のルールではありませんでした。それが、2009年に国の行政事務全体をカバーする包括的な文書管理の基本法として公文書管理法が制定されたことによって、情報公開法と文書管理は車の両輪であるという考え方に法的根拠が与えられ、情報公開と公文書管理は一体のものであり、文書管理と説明責任の関係も明確にされました。 
 世界的にも、文書管理の目的が組織の説明責任を果たすためのものであるということは、記録管理の国際標準で基調コンセプトとなっており、グローバル・スタンダードです。公文書管理法制定にかかる国の「有識者会議」最終報告書にも「民主主義の根幹は、国民が正確な情報に自由にアクセスし、それに基づき正確な判断を行い、主権を行使することにある。国の活動や歴史的事実の正確な記録である『公文書』は、この根幹を支える基本的なインフラであり、過去・歴史から教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な共有財産である」と、基本認識として述べられており、公文書管理法の存在意義は、情報公開と説明責任にあります。
 国の法律が原則公開と決めている管理委員会を、本市が非公開とすることは、公文書管理法の存在意義にもかかわるものであり、公文書管理の基本を欠いたものであると指摘をしなければなりません。公文書等管理委員会の非公開規定は、即刻改正し、法の規定にならって原則公開とすべきです。
 また、運用段階の業務執行体制では、研修はしつつも特段の人員配置はしないとのことでした。しかし、文書管理の分野では、現用段階のレコードマネジャー、非現用段階のアーキビストという文書管理専門職があり、海外ではこのような文書管理専門職の職能が確立しています。公文書管理においては、この専門職の配置と拡充が、施行後の運用面でうまくいくかの鍵を握ると言われており、「良いルールがつくられても、それを実行する体制がなければ絵に描いた餅」という専門家の指摘もあります。現行人員体制で的確に対応するという答弁は、まさに「絵に描いた餅」を表明するようなものです。専門職配置と人員体制の拡充は、欠かせない課題として、今後取り組んでいただくよう要望しておきます。
 答弁には、規則に定めるというのもありましたが、条例案を上程し、議会の議論に付す場合、規則案も一緒に示し、議論を深めることがよりよき条例として制定することにつながるのではないでしょうか。
 さまざまに指摘致しましたが、本市において、公文書管理条例が制定されることは大変意義のあることであり、指摘した点も含め、公文書管理法の趣旨を踏まえた運用を行うとともに、必要な改正も実施していただくことをお願いして質疑を終わります。

2020年12月議会最終日「補正予算」討論 上野 みえこ

・2020年12月18日
 2020年12月議会最終日「補正予算」討論 上野 みえこ
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 議第247号2020年度熊本市一般会計補正予算について、問題点を指摘し、反対討論を行います。
 現在、市が直面する第1の課題である新型コロナ感染症の対応では、今回の補正予算総額55億7486万円のうち、新型コロナ関連での補正額が47億3571万円となっており、補正の大部分、約85%を占めています。新型コロナ関係での補正で提案されたものについては、いずれも必要な経費であり、反対をするものではありません。心配しておりました、11月末から現在までの感染急拡大に対し、予算決算委員会で市長に答弁いただきましたように、全国的にも逼迫している医療現場において懸念されている医療崩壊に至らないための手立てとして、厚生労働省から再三通達されていた医療機関や高齢者施設等への一斉検査が準備段階に入ったことは本当に良かったと思います。しかし、感染急拡大の中、より一層の感染防止策が、一人一人の市民、地域事業者等に求められる中で、暮らしを支えていく支援、地域経済を回していく支援が必要です。この点の支援が今回の補正にないことが、補正予算の一番の問題点として指摘しなければなりません。今、全国では、自治体独自策がさまざまに工夫されて実施されています。国の給付金の上乗せ、家賃支援の継続、税の減免、保険料や各種利用料金の負担軽減など、本市でももっと積極的に検討してすすめていただきたいと思います。そのためにも、不要不急の大型投資については、いったん凍結し、適切な見直しを行っていくべきです。現在進行中ではありますが、総額40憶円もかかる花畑広場の整備が漫然と進められています。私どもには、「新型コロナで、暮らしも経済も大変な時に、移動自粛で観光客も来ない街の広場を掘り返しているのはおかしい。立派な辛島公園の石をわざわざ剥がす必要がどこにあるのか。そんなお金があったら、困窮している人たちへ、もっともっと支援をしていくべきだ。コロナの現状や、わたしたちの暮らしを市長はどう思っているのか」と怒りの声もありました。また、若い方からは、「辛島公園が掘り返されて、中心部でスケボーを楽しむ場所がなくなってしまった。あんな工事は無駄じゃないか。」の声が寄せられました。桜町再開発に関連した一連の工事は、今急ぐべき事業なのか、検証なしにすすんでいることは問題だと思います。市庁舎建設でも、機会をとらえて凍結を解除しようという市長の考えは、市民感覚では考えられません。リーマンショックを上回る景気の落込みと言われている今、地域事業者の生業を助け、働く労働者の雇用を守る、医療や介護現場の苦難に手を差し伸べる、学校では子どもたちを感染から守り、三密を避け安心な教室環境を提供するため、お金や人を投入して、大西市長になって一歩もすすんでいない少人数学級を拡充するその時ではないでしょうか。これら、新型コロナ禍で必要とされるさまざまな支援策にこそ、今市の財源を投入してほしいというのが市民の願いです。新型コロナが収束するまで凍結は解除しない、これこそコロナ禍での良識ある判断ではないでしょうか。  追加補正となったひとり親世帯への給付金の追加支給は、暮らしを支えていく支援の一つとして、一番困難を抱えるひとり親世帯の方々にとってうれしい補正です。ほとんどが自動的に振り込まれますが、一部分の公的年金受給者や家計急変者については申請が必要なので、対象となる方すべてに給付されるよう、特段の配慮をお願いしておきます。
 また、総合行政情報システム改修経費やマイナンバー制度推進事業、市民病院・植木病院にマイナンバーカードを活用したオンライン資格確認を導入するオンライン資格確認導入など、マイナンバー制度推進する経費が種々あります。マイナンバーカードは、情報管理や漏洩など、多くの問題点を残したまま、2022年までに全国民が取得することを目標にしている国の強力な推進方針に基づき取得をすすめるもので、本来任意であるマイナンバーカード取得を実質的には強制し、あらゆる内容の膨大な個人データを国家が一元管理することになるという、重大な危険性を指摘しなければなりません。
 また、今補正予算には、109件の債務負担行為が提案されています。次年度当初からの役務の提供が必要となる契約案件等で、適正な事務執行のための補正です。しかし、内容を精査していくと、問題点や改善点もありました。
 第1に、ふれあい文化センター、託麻まちづくりセンターや南区役所、アスパル富合、火の君文化センター、植木文化センター、森都心プラザ、各種スポーツ施設などの耐震改修費用が提案されています。施設を安全に使い続けていくうえで必要な予算であり、区役所関連の耐震改修では充当率100%の緊急防災・減災債を活用するなど財源面での工夫もありました。しかし、耐震だけではなく、市民にとって利用しやすい施設にするためには、老朽化対策やバリアフリー化にも必要な予算をきちんと確保することが重要です。この点は、是非今後検討していただくようお願いしておきます。
 第2に、熊本城の関連では、来年4月の特別公開第3弾に伴う式典開催費等3600万円があります。熊本地震で大きな被害を受けた熊本城の復興は市民の大きな願いでもあり、国指定の特別史跡として学術的にも価値の高い熊本城が本市のシンボルとして、広く市民に公開されていくことは、たいへんうれしいことです。しかし、この公開と入園料の値上げが一体となっていることは、その価値を市民が享受していくことに逆行します。教育的な見地から、財源きちんと確保して負担を抑え、広く市民に来ていただいてこそ、その価値は高まっていくものと考えます。来年4月からの入園料値上げは撤回して、体格が大人並みだからということで大人料金になっている高校生については、教育的な見地から小中学生と同じ扱い、市内の高校生は無料にしていただくようお願いいたします。
 第3に、来年10月からの運用に向けた児童育成クラブの管理システム改修経費が計上されていますが、その中身は、今議会に教育委員会より報告された児童育成クラブのサービス充実に合わせて、利用料金引き上げを実施するものです。小学3年生までの対象年齢を小学6年生へ引き上げることや、夕方6時までの開設を7時まで延長すること、指導員の処遇改善も含めて大いに賛成です。しかし、そのために必要となる財源を利用者に求めることは、子育て支援に真っ向から逆行するものであり、利用料金値上げは撤回を求めます。
 以上、縷々述べてまいりましたが、指摘を受けとめていただき、市民の声に耳を傾ける市政運営に努めていただくようお願いして、討論と致します。

2020年12月議会予算決算委員会しめくくり質疑「新型コロナ対策」 上野 みえこ

・2020年12月16日
 2020年12月議会予算決算委員会しめくくり質疑「新型コロナ対策」 上野 みえこ
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 補正予算に提案された新型コロナウイルス関連「検査体制等強化経費」に関連して、爆発的な感染拡大に対する検査体制等の強化についてお尋ねいたします。
 全国の医療機関でつくる全日本民主医療機関連合会は、11月後半から12月にかけての急速な感染拡大の中、一昨日14日に、「新型コロナウイルス感染症の急速な拡大から国民の命と暮らしを守ることを強く求める」という声明を出し、感染拡大が全国各地で重症者数・1日の最多感染者数を更新、全国で医療提供体制が逼迫し、医療・介護従事者が心身ともに限界にきていることを深刻に指摘しています。発表される数値からでは見えない現場の困難、現場感覚と国や行政の受け止めの乖離も指摘し、新型コロナの対応に追われ、通常の診療に影響が出てきていること、今後も感染拡大が続けば、助かる命も助けることが出来なくなると、厳しく警告しています。
 本市においても、12月になって感染は急拡大しました。ここ数カ月は1カ月程度で100人の患者が発生していたものが、12月に入ってわずか5日で100人の新規患者が発生する状況になっています。この状況をどのようにとらえ、どのように対策を行っていくのか、緊迫した状況での市の姿勢が問われていると思います。そこで伺います。
 1、熊本市の感染対策にかかる現状について、現在の患者受け入れベッド数、重症ベッド数、人工呼吸器・エクモの数、それぞれの確保数・現在の使用可能数、今後の見通しをご説明ください。
 2、新型コロナの感染拡大は、この間日々最多を更新しながら、全国では、先週12日に初の3000人台となりました。本市でも、1日の感染者が20人を超える状況となり、リスクレベルも最高の5に上がりました。全国的には、最終手段と言われている自衛隊の医療機関派遣が始まっている現状での、熊本市の感染拡大の状況をどのように認識されているでしょうか。医療現場の医療崩壊の危機と言われている状況について、市長の危機認識を伺います。
 3、現状の急速な感染拡大に歯止めをかけるためには、どんな手を打つことが必要だとお考えでしょうか。
 4、感染急拡大の中で迎える年末年始の対応について、市役所の新型コロナにかかる危機管理体制、コロナ相談窓口・検査、医療提供など、どのような体制で、市民の不安に応えていくのか、具体的にお示しください。
 5、日本医師会をはじめ、全国の医療従事者から重症者の発生を抑えるには、重症化リスクの高い高齢者施設や医療機関におけるクラスター発生を極力抑えていくことが重要であると指摘されています。一般質問では局長より「高齢者施設はじめ学校や保育施設等において感染者が発生した場合には、濃厚接触者に限らず、接触者も含めて可能な限り関係者全員の行政検査を実施する」と答弁がありました。しかし、実際、全国的には、旭川市をはじめとする各地の基幹医療施設での重大なクラスター発生は、医療介護施設等では患者が発生してからでは遅いということを警告する結果となりました。一般質問で那須議員も指摘したように、11月26日に厚生労働省は、「感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院・入所者全員を対象に、いわば一斉・定期的な検査の実施を行うようお願する」という再周知を求める通知を発出しています。人口比で患者発生数が全国上位の熊本は、まぎれもなく「感染者が多数発生している地域」です。通知の趣旨に従い、直ちに医療機関、高齢者施設等の一斉、定期的検査、社会的検査を実施すべきではないでしょうか。
 6、保健所のトレーサー確保について、2月以降これまでの本市におけるトレーサー配置の拡充状況、到達点をご説明ください。保健所のトレーサー体制もまた現状のままでは、今後さらに急速な感染拡大が発生した場合、対応困難となります。今すぐにトレーサー体制を拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 1点目を局長に、2点目以降を市長に伺います。
 
 (答弁)
 
 納得できない点を伺いますが、感染患者の受入れ体制について、本市の状況をお聞きしましたが、県全体の数値を答弁されました。なぜ、本市の状況が示されないのでしょうか、お尋ねします。また、他の政令市ではどのようにされているのでしょうか。健康福祉局長に伺います。
 
 (答弁)
 
 私は、感染拡大防止に危機感を持って積極的に取り組んでいくためには、本
 市の状況を市民に正確に伝えていくことが、最初の入り口として極めて重要であると考えます。そこで、他の政令市の状況を少し調べてみました。本市同様の報告となっていたところもありましたが、神戸市では、患者数・新規患者発生数、その内訳はもちろん、医療提供体制等の負荷、すなわち市内の病床確保数を病床全体・重症者用それぞれに内訳を示し、現在の確保数、最大確保数まで、市内の状況を明らかにしています。それを毎日の患者の発生に合わせて稼働状況まで示し、データ変わるたびに即時に更新され、ホームページ上一目でわかるようになっています。県と対等の権限を有する政令市ならば、科学的な根拠に基づく適切な対応のためにも、市としての情報を、このようにきちんと示していくべきだと思います。実施を要望しておきます。
 また、市長の感染状況に対する認識につきましては、14日にリスクレベルが最高のレベル5厳戒警報に上がり、新規感染者の増加によって病床使用率が84・4%と急増、大変厳しく、非常に強い警戒が必要との認識を示されました。重症病床使用率こそ6・9%であるものの、84・4%という一般の受入れ病床使用率は、2500人を超える患者が発生している神戸市の病床使用率に迫る数値です。熊本市民病院は、満杯状態です。全国の政令市の多くで、すでに医療機関におけるクラスターが発生し、医療現場では、緊迫した状況となっています。最後の手段と言われている自衛隊派遣は、全国で今以上の医療機関クラスターが発生すれば、すべてに対応できる状況ではありません。ですから、コロナの最前線を担う医療機関の機能が失われないよう、先手を取って対策を講じていくことが必要です。医療機関や高齢者施設等への一斉検査について、市長は「より強い危機感を持って対応する必要があると判断し、従事者に対する検査の実施に向け準備をするように指示をした」と一斉検査に足を踏み出す答弁をいただきました。窮迫した事態の中で、この判断はきっと医療介護現場、従事者のみなさんに歓迎されると思います。これが一刻も早く形となって、あの時の判断が結果につながったと高く評価されるような迅速かつ適切、充分な対応を行っていただくようにお願いしておきます。
 保健所におけるトレーサー体制についても、市長より「適宜体制を強化する」と答弁していただきました。しかし現状では、通常時7名に、陽性多発時3から4名の応援職員が加わる体制だと伺っています。患者発生の状況次第では残業が80時間を超えている現状は、先の見えない感染拡大の中で、職員が倒れてしまいます。
 現在、病院局はもちろん、保健衛生部・保健所や検査を担う環境総合センターなど、市のコロナ対策関連部門は、昼夜問わずの激務の中、業務に従事されています。そのご奮闘に、心から敬意を表します。この方々が、必要とされる状況に充分応えられる仕事をしていただくためにも、必要な人員配置の拡充、予算措置を強く要望しておきます。
 新型コロナ対策では、全般的に今後の対策充実をお願いして、質疑を終わります。

2020年11月30日市議会開会日・職員給与案件反対討論 上野 みえこ

・2020年11月30日
 職員給与案件反対討論 上野 みえこ
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 議第256号「熊本市一般職の職員の給与に関する条例の一部改正について」、議第260号「熊本市一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部改正について」、議第264号「熊本市立学校の教育職員の給与に関する条例の一部改正について」、3つの条例案について、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
 今議会には、職員の給与に関する条例の改正案が6件提案されています。いずれも、期末手当及び勤勉手当の特別給を民間の年間支給割合に合わせるために0・05カ月分引き下げるという提案です。人事委員会において市内110事業の職種別民間給与実態調査が行われ、その結果に基づくものとなっています。比較調査の対象となった特別給の支給月は、2019年12月と2020年6月分ですので、今年6月の部分については、新型コロナの影響も反映されたものとなっており、減額となったことの理由の一つであると考えられます。
 本年2月頃から急速に拡大してきた新型コロナ感染症は、10カ月を経た現在もさらに感染が拡大傾向にあり、リスクレベルはレベル3の高い水準を維持しています。長期の新型コロナ禍の中、新型コロナ対策への予算の集中的な配分も求められるので、議員や市長・特別職等の給与について引き下げることは当然であり、特別給に限らず、市長・議員・特別職については月例級も含めて減額の検討もすべきと考えます。合わせて、前市長の時代には減額されていたわずか4年で2913万円も支給される市長の退職金を一般職並みに減額することや、議員報酬とは別に支給されている議員の費用弁償を廃止するなども、検討すべき時ではないかと考えます。
 今回賛成できない3つの条例改正案、一般職の特別給減額の影響額は職員・任期付職員・教育職員すべて合わせて2億682万円となります。
 第1に、消費への影響です。長期の新型コロナ禍によって、リーマンショックを上回るような過去に例のない景気経済・消費の落ち込みとなっています。
 私ども日本共産党は、新型コロナ禍で落ち込んだ消費拡大のためにと、国に対し、消費税を5%へと直ちに引き下げることを求めてきました。実際、世界的には、消費拡大に即効があるということで、イギリス・ドイツ・韓国など、30を超える国々が、日本の消費税に相当する付加価値税減税を行っています。消費税減税など、消費の拡大策を実施すべき時に、今回の一般職の特別給の引き下げは、年末商戦に大きく影響し、消費をさらに冷え込ませることになります。消費を拡大し、地域経済を活性化させるためにも減額ではなく、その分が消費へと回されることが必要です。
 第2に、消費を冷え込ませる特別給の減額よりも、まず実施すべきは、売り上げや収入が減り苦しい方々に対し、減収補てん策や売り上げを伸ばすための施策を積極的に展開することです。先日、市内の業者団体の方々との懇談を行い、実情を伺いました。コロナの影響が長期化しているために、いよいよ年末を迎えようとしている今、「年を越せるか」という不安が例年にも増して大きく、資金繰りに苦慮、廃業の危機に瀕する状況が語られました。毎年厳しい年の瀬に、先の見えない新型コロナが二重苦になっています。今議会に提案された補正予算、新型コロナ関連に47億円が計上されていますが、事業者向けは、感染予防策のみで、消費拡大や売り上げを伸ばす、補てんするというものはありません。早急に事業者・市民の声を聴き取り、落ち込んだ消費の拡大と収入減に対する具体策を検討すべきです。事業者の事業継続と、働く人たちの収入が減らないように、売上を伸ばし、健全な経営にしていくこと、そのためにも、持続化給付金への上乗せや家賃支援の継続、市税の減免、国民健康保険・介護保険の負担軽減、個人事業主への国保傷病手当金支給などが必要です。全国的には、各地で多様な自治体独自策が始められています。国の制度実施や拡充を求めることはもちろんですが、本市でも、知恵を絞って、独自策の積極的な取り組みを検討すべきです。
 新型コロナ禍のもと、やるべきことをやらないまま、職員の特別給だけを減額しても、事態は改善しません。そういう意味で、今回の特別給減額には賛成できません。
 今後のしっかりとした対応をお願いして、討論といたします。

2020年9月議会最終日「2019年度決算」反対討論 上野 みえこ

・2020年9月議会最終日「2019年度決算」反対討論 上野 みえこ
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 2020年9月29日
 議第237号2019年度熊本市各会計決算について、賛成できない理由を述べて反対討論をいたします。
 第1に、地方自治法に定められた「住民の福祉の増進」こそが自治体の基本であり、市民の一番の願いです。しかし、熊本市では、いのち・暮らし分野の事業がおろそかにされています。
 医療分野では、政令市で一番高い国民健康保険料は引き下げられずに、最高限度額がさらに引き上げられました。新型コロナの影響で、今年2月からは、資格証明書の発行は中止されましたが、高い保険料と厳しい差し押さえにより被保険者は苦しんでいます。必要なことは、毎年削減され、前市長の時代と比べて3分の1以下に減らされている一般会計繰入の赤字補てん分を抜本的に増額し、保険料の負担軽減こそ急ぐべき課題です。病気の早期発見・早期治療にも重要な健診事業については、特定検診の受診率は、昨年度は30・7%で、不用額は3300万円です。自己負担をなくし、受診率の引き上げに取り組むべきです。ガン検診においても、肺がん・胃がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん、いずれも受診率は全国平均よりも、政令市平均よりも低くなっており、肺がん・胃がん・大腸がん検診は、本市がめざす受診率検証値に今のままでは届かない状況です。市長も公約されているガン検診の無料化は直ちに実施すべきです。
 昨年度の介護保険料滞納者は、過去最高の8775人となり、給付制限を受けた高齢者は229人に上りました。本市の介護保険料は政令市で2番目に高く、高齢者の大きな負担となっています。保険料は否応なく年金から天引きされながら、利用料負担が重く、実際には限度額まで利用できない状況があります。要支援を介護保険から外し、特養の入所を制限するなどは、保険料をとった高齢者を介護から締め出し、介護の矛盾をますます深めていくものです。国が制度に様々な制限を設けているとはいえ、本来自治事務である介護保険制度においては、熊本市が高い保険料を引き下げ、自治体が独自に運用を改善しながら、安心できる介護保険制度にしていくべきです。約1300人が首を長くして入所を待っている特養待機者についても、施設設置をすすめ速やかに解消すべきです。
 深刻な不況に加え、新型コロナの広がりによって、生活困窮に陥る世帯も増えています。最後のセーフティネットである生活保護制度の果たす役割も大きくなっています。社会情勢を反映し、複雑な状況を抱えた困難世帯も増えている今、丁寧なケースワーク業務が求められています。しかし、ケースワーカーの充足率は87・8%で、18人が不足しています。直ちに100配置すべきです。
 暮らしが大変な時、福祉貸付の役割も大きいと思いますが、福祉金庫貸付件数は4年前とくらべ半分近くに減り、生活福祉資金貸付も前年より件数が減り、2009年度から始まった失業者対策としての総合支援資金貸付については全く利用されていないというのは問題です。一方、利用を希望される方々からは「なかなか借りることができない、申し込んだが却下された」との声が相次いでいます。生活福祉資金は県が実施主体ではありますが、受付窓口となっている市社協と県が協力して、必要な方々への貸し付けが行われるよう、取り組んでいくべきです。窓口での親切丁寧な対応や十分な説明も含め、今後の改善を要望しておきます。
 子ども医療費助成制度は、熊本都市圏13カ市町村のうち、約7割の9自治体が完全無料です。玉東町・山都町では18歳までの完全無料化を実施しています。本市においても直ちに自己負担をなくし、子育ての負担軽減に取り組んでいただくようお願いいたします。
 次々に削られてきた敬老祝品事業は、100歳と最高齢者だけになり、5年前には1万人が受け取っていた敬老祝は、わずか263人になりました。金額でも、対象者でも政令市最低レベル、お粗末な状況は改善してください。
 その他、委員会で指摘致しました「障がい者タクシー券」、「母子父子寡婦福祉資金貸付」、「保育の問題」なども、制度や運用の改善をお願いしておきます。
 教育分野では、いじめや不登校が増えており、加えて新型コロナによる新たなストレスもあり、子どもたちを取り巻く状況も課題の多い昨今です。すべての子どもたちが安心して、伸び伸びと学べる学校現場にするためにも、教員を増やして少人数学級を広げることや、給付型奨学金の実施、学校図書の充実・図書司書資格者の配置拡充、臨時教職員の解消、全育成クラブでの高学年児の受け入れなど、日ごろ現場から寄せられている声にしっかりと応えていただくことをお願いしておきます。
 第2に、目に余る大型投資・ハコモノ整備は、財政を圧迫し、住民サービス・福祉切り捨てにつながっています。
 2019年度は、市政史上最大のハコモノ、桜町再開発ビルが完成しました。桜町再開発は総事業費777億円、熊本市は保留床取得金や補助金、ホールの整備諸費用を含めて441億円を投入、総事業費の6割近くを市が負担するという異例の支援で完成しました。1民間企業が地権者という異例な再開発に、会社施行で脱法的に126億円もの補助金を出しました。この莫大な投資で今後20年以上続く借金払いが大きな負担となることは間違いありません。しかも問題なのは、この事業が熊本地震の復興事業に位置付けられ、最優先で進められたことです。スーパーゼネコンには莫大な資金を提供しながら、一方で、熊本地震の被災者には、一部損壊の圧倒的多数に1円の支援もしないなど、被災者に冷たい復興支援でした。ハコモノより、被災者の生活・生業の再建こそ優先すべきであった点を指摘致します。
 12月にオープンした熊本城ホールは、直後に振動問題が発生しました。再開発ビルの中層階に巨大ホールを整備した結果で、再開発の保留床を埋めるために無理やりコンベンションホールを誘致した矛盾であり、市の責任が問われる問題です。振動だけでなく、2500席のメインホールは、オープン以降利用率が低く、新型コロナ感染症の影響が出る前でも12月が18日、1月が9日という利用で、市民会館の半分程度です。4月以降の予約も、新型コロナでキャンセルになったとは言え、5月の24日を除き、他は月5日から12日しか予約がありませんでした。莫大な投資をしてこれでは困ります。
 花畑広場整備には、昨年度1億6640万円の事業費が使われました。桜町再開発と一体になった花畑広場・シンボルプロムナード事業も聖域として実施されてきました。総事業費は40億円程度となる予定ですが、この事業の一番の問題点は、ここが桜町再開発事業の一部となっていれば、産業文化会館の建物と花畑広場・シンボルプロムナード部分の土地が従前資産として活用され、ほとんど持ち出しをせずに立派な広場・公共空間が整備できていたはずです。産業文化会館解体の強行に始まった愚かな40億円のムダづかいであると指摘しなければなりません。
 市庁舎問題では、昨年度は建替えを前提として、本庁舎のあり方検討の調査費が予算化され、基本構想が策定されました。新型コロナの影響もあり、現在事業は凍結の状態ですが、財政状況も考慮せず建替えありきですすめてきた市の姿勢は問われるべきだと思います。
 大型開発・ハコモノの一方で、必要な事業ができていません。
 市営住宅長寿命化計画では、市営住宅を2割減らす計画です。しかし、昨年度4回行われた市営住宅の募集には320戸の募集に1700件の応募があり、平均倍率は5・6倍でした。ニーズの高い公営住宅は戸数削減でなく、建替えや改修をきちんと行い、必要とする市民へ提供されるべきです。耐用年数を超えたものが33棟で115戸もあること、空き家戸数が現在1961戸あり、そのうち1157戸が未修繕で提供できていない、計画修繕でも、昨年は各設備の更新期間に対し未完了が、畳の665戸、風呂釜が883戸、給湯器が1,071戸もあり、屋上防水の要望等も含め、早急な対応が必要です。
 特優賃住宅は、昨年10月末に入居率が低かったベルス出水が期間を終了し、現在7つの団地が残っています。しかし、入居率100%は1ヶ所のみで、長年にわたり88億円という莫大な税金を投入してきた特優賃住宅の導入は改めて問われると思います。
 公園では、維持管理経費が年々削られ、公園の遊具も2585個のうち耐用年数を超えるものが約8割・2074個ありますが、昨年度53件しか修繕・改修が行われていません。子どもの安全を守る観点からも問題です。
 これら身近な公共事業にこそ力を入れ、ゼネコンの儲けのための大型投資は見直すべきです。
 第3に、市役所の働き方では、予算決算委員会でも指摘しましたように、業務職を全く採用しないために、民間委託がどんどん広げられ、非正規雇用の拡大や格差と貧困の広がりなどの社会問題をさらに深刻にしています。
 昨年度の時間外労働時間数は、前年より34,000時間も増え、延べ60万時間を超えました。そういう中で、市のメンタル相談も増え続け、メンタル不調による長期休職者が増えていることは問題です。時間外勤務縮小が叫ばれながら、むしろ増えているのは、職員数が足りないからです。熊本地震の復興業務への人員配置の必要性もあり、2017年度以降は第5次行革の「定員管理の推進」が休止されていましたが、昨年度から第6次定員管理計画のもとで、2024年度を目標に、教職員を除き160人もの職員数削減が計画されています。これは、さまざまな業務における公の責任を放棄するもので、今年2月から新型コロナへの対応も必要となっている今、この計画も直ちに休止し、必要な人員配置を図っていくべきです。
 最後に、2月から影響が広がった新型コロナ感染症の問題では、3月からの3カ月休校や事業者への自粛要請など、市の方針によって、市民生活・地域経済が大きな影響を受けてきました。この状況は、いましばらく続いていくものと思われます。コロナ禍のもとでで市民のいのちと健康・暮らしや地域経済をしっかり守っていくためには、行政の果たす役割はますます重要であり、大きな予算措置も求められます。指摘を踏まえ、過大な投資は抑え、市民サービスを守りつつ、コロナ禍への対応を行っていただくようお願いして、討論と致します。

2020年9月議会最終日「少人数学級意見書」賛成討論 上野 みえこ

・2020年9月議会最終日「少人数学級意見書」賛成討論 上野 みえこ
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 2020年9月29日
 発議第25号「国の責任で少人数学級を拡充することを求める意見書(案)」について、賛成討論を行います。
 新型コロナの感染拡大は「第2波」と言われる状況となり、コロナ対応も長期化してきました。3月からの3カ月の一斉休校や、その後の感染予防が迫られる学校生活・家庭生活の中で、子どもたちも今までになかったストレスを感じながら生活していると思います。コロナ禍にあっても、子どもたちが少しでものびやかに、いきいきと、安全で安心な楽しい学校生活を送ってくれるようにと願わずにはいられません。求められる子どもと子どもの距離をとった学校生活・教室環境を速やかに実現することは、急務です。
 OECDが今月公表した2017年における世界各国の教育への公的支出の報告では、日本の小学校に相当する「公立の初等教育」における1クラス当たりの平均児童数はOECD平均で21人です。同じく、中学校に相当する前期中等教育の1クラス当たり生徒数は27人でした。日本では、小学校27人、中学校32人で、世界各国の状況とは大きな開きがあります。さらには、新型コロナ感染症の予防対策として、OECD加盟国のほとんどが、子どもと子どもの距離を1~2メートル確保することを学校再開の条件にしていると報告した上で、1クラス当たりの人数が少ない国では、この距離を確保することが比較的容易であるのに対し、日本はOECD平均を上回っていると、距離をとることの難しさを示唆しています。もともと欧米では20人から30人程度の学級編成は当たり前になっていました。欧米との開きを速やかに縮め、少人数化していくことが求められます。
 今、日本でも、少人数学級を求める機運は急速に高まっています。
 文部科学省が策定している9月3日改定版の「学校における新型コロナウィルス感染症に関する衛生管理マニュアル」では、新型コロナ下における「新しい生活様式」として、人との間隔をできるだけ2メートル、最低でも1メートル空けることを推奨し、レベル1・レベル2の地域では児童生徒の間隔を1メートルを目安に学級内で最大限の間隔をとる、レベル3地域では児童生徒の間隔を可能な限り2メートル、最低でも1メートル確保するようにするとし、20人の座席配置を例示しています。
 7月2日の全国知事会・市長会・町村長会の「新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言」では、「今後予想される感染症の再拡大時にあっても必要な教育活動を継続して、子どもたちの学びを保障するためには、少人数学級により児童・生徒間の十分な距離を保つことができるよう教員の確保が是非とも必要である。」と述べられています。政府の「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)でも「すべての子どもたちの学びを保障するため、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について検討」とされています。
 8月に示された文部科学省の諮問機関・中教審の「中教審答申案の作成に向けた骨子案」にも、「『新しい生活様式』を踏まえた身体的距離の確保に向けて、教室等の実態に応じて少人数学級編成を可能とするなど、新時代の教室環境に応じた指導体制や必要な施設・設備の整備を図る」と書かれています。8月25日に開かれた政府の教育再生実行会議でも、委員から「少人数学級をすすめ、30人未満の学級にしてほしい」との意見が出され、異論もなく、会議後の記者会見で文部科学大臣は「多くの人が共有できる課題。できることから速やかに行っていきたいという意欲を持っている」と述べられたそうです。
 このように、関係各機関や政府でも、少人数学級をすすめていく方向へと、動き出そうとしています。
 また、少人数学級実現のために、教員を増員すれば、ゆとりある丁寧な学びだけでなく、雇用などの経済波及効果も生まれます。
 新型コロナのもとで、子どもたちが學校現場で、日々安全・安心に学んでいけるように、すべての地域、すべての学校での少人数学級を実施していくことが必要です。そのためには、国の責任できちんとした予算措置のもとに少人数学級が行わなければなりません。
 日本の国内総生産(GDP)に占める公的な教育支出の割合は、OECD加盟国のうち比較可能な38カ国中下から2番目です。経済大国と言われる日本の教育予算はあまりにもお粗末です。教育への公的支出の割合を欧米並みに引き上げれば、少人数学級はすぐにでも実現できます。
 教育予算を拡充し、教員を増やして、今こそ日本中の子どもたちに、少人数学級をプレゼントしてあげましょう。
 提案しました「国の責任で少人数学級を拡充することを求める意見書(案)」に、議員各位のご賛同をいただきますようお願いいたしまして、討論といたします。

「令和2年度熊本市一般会計補正予算」についての賛成討論 那須円

・「令和2年度熊本市一般会計補正予算」について質疑 那須円
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 2020年9月29日
 日本共産党熊本市議団の那須円です。議第193号「令和2年度熊本市一般会計補正予算」について、賛成の立場で討論を行います。
 今回の補正予算については、新型コロナウイルス感染拡大防止とその影響を受けた地域経済の再生や市民生活の支援などコロナ関係の予算が54億8千万円と大部分を占めています。コロナ対策については、議会内では党派を超え、そして執行部と議会が一体となって取り組むべきものであり、補正予算に賛成いたします。全ての児童育成クラブに空気清浄機が設置されるなど、積極的な取り組みについては大いに評価をするところです。しかし、一定の改善が必要なことついて、3点簡潔に述べたいと思います。
 1点目は、さらなるコロナウイルスに対する感染防止対策の強化、経済や市民生活への支援強化が必要であるという点です。国内各地の感染事例などを通じ、新型コロナ他感染拡大を抑止するための教訓として、感染震源地(エピセンター)を明確にし、その地域の住民や事業所の在勤者の全体に対して、面的なPCR等検査を実施すること、地域ごとの感染状況の情報を住民に開示すること、医療機関、介護施設、福祉施設、保育園・幼稚園、学校などに勤務する職員等への面的なPCR検査を定期的に実施すること、検査によって明らかとなった陽性者を保護・治療する体制を緊急につくりあげることなど、早急な対策が必要であることが明らかになりました。こうした観点から、現在、中心市街地の飲食店従業員に対してPCR検査の呼びかけがなされているところですが、医療機関、介護施設、福祉施設、保育園・幼稚園、学校などに勤務する職員等への定期的なPCR検査が実施できるよう取り組みの強化を求めるものです。
 また、落ち込んだ地域経済への支援については、融資利子補給事業に53億円など国の交付金当を活用し補正が提案されていますが、さらなる支援が必要であると考えます。
 今年4~6月期の国内総生産は年率換算で実質マイナス28.1%という戦後最悪の落ち込みとなりました。政府の実施する雇用調整助成金の特例措置について来年1月以降は特例措置の縮小が示唆されています。また、休業支援給付金は4~6月分は9月末を締め切りとしていますが、9月8日時点において申請が22・6万件に対し、支給決定は10・9万件にとどまり、予算額5400億円に対して約1.4%しか支給されていません。一方で、住居確保給付金の申請が4~7月で約5万件、前年同時期の90倍となるなど、市民生活の窮状は極めて深刻です。
 こうしたなかで、熊本地震の際におこなった本市独自の持続化給付金の実施、市民への家賃支援の継続、学費の支払いや奨学金の返済が困難となった方々への支援の強化、まだまだ知らされていない国民健康保険料減免の周知徹底、対象外となっているコロナに感染した事業主への傷病手当金の支給、さらには今補正予算で減額されている事業者向けの緊急家賃支援事業の継続・拡大など、あらゆる支援対策を行い、地域経済と市民生活を守るための取りうる対策を講じることを求めます。
 2点目は、こうしたコロナの影響による事業の見直しについてであります。上野議員が予算決算委員会で指摘したように、当初予算で可決された様々な分野の事業が縮減やゼロ予算と削減される中で、シンボルプロムナード等整備事業が聖域となっていることに市民理解は得られません。交流人口が落ち込んでいる現時点で、中心市街地の賑わい創出よりも、今苦境に立たされている市民への支援を優先するべきです。3億円以上の事業費縮減が提案されている熊本駅東口駅前広場整備事業と同様にシンボルプロムナード整備に関する予算については可能な限り縮小するべきです。
 また、当初予算で事業化された、水前寺・立田山断層調査経費、重症心身障がい児等在宅支援事業、産後ケア事業、小学校校舎外壁改修整備経費などが全額削減となり、ゼロ予算となっています。こうした防災関連、保健福祉関連、教育環境の安全管理に関わる予算については削減を行うのではなく確保するべきです。削減内容、優先順位が市民に理解納得の得られるものとなるよう強く求めます。
 さらに、熊本城ホールの指定管理者に対しての指定管理料1億円の増額予算については、コロナの影響とともに管理企業の運営努力・経営努力はどうであったかなど詳細な検証を行うとともに、収支不足以上の補てんが行われないよう適切な予算執行に努めていだくよう求めるものです。
 3点目は、健康福祉局から提案された新興感染症対策寄附講座経費についてであります。本事業については、感染症専門医の育成、医療提供体制の検証および今後の対策、医療従事者等に対するセミナーの開催などが内容となっており、そのこと自体は大切な取り組みであると思います。しかし、2011年に法改正されましたが、本来自治体から、国や大学病院などの独立行政法人に対しての寄付は、国・地方の財政秩序の健全性を阻害することを理由に原則禁止されていました。国会においても、法改正時、地方公共団体の国等への寄附の原則禁止の見直しに当たって、国等が地方の寄附等を前提とする不適切な施策展開を図ることや地方公共団体間の競争をいたずらにあおることがないよう、各府省等の遵守を継続的に監視するための措置を講じること、国等からの寄附に関する行為に係る相談窓口を設置するなど、国と地方の財政秩序を乱す事態が発生しないよう万全を期すことを求めた付帯決議が付されました。本来寄附を行うことについては慎重であるべきと考えますし、本事業については、本市独自の課題というよりも、都市部の感染拡大に対する全国的な課題として国が責任をもって行うべき対策であります。
 さらに、育成した感染症専門医が本市の医療機関に配属される保証がありません。今後、医療体制の強化が適切に行われるよう国・県に対して強く求めていただくよう要望するものです。
 以上3点の改善を強く求めます。最後になりますが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、昼夜を分かたず尽力されています職員の皆様に心から敬意を表しますともに、私どもとしても現場の実態や声を市政に届けながら、コロナ禍を乗り越え市民が安心して暮らすことができる将来を実現するために力を尽くす決意を述べ、賛成討論といたします。

2020年9月議会・予算決算委員会総括質疑 上野 みえこ

・2020年9月議会・予算決算委員会総括質疑「2019年度決算議案について」質疑 上野 みえこ
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 2020年9月16日
 1、 家庭ごみの「ふれあい収集」について
 2、 災害対応の避難所運営や備蓄物資の活用について
 3、 市役所職員の雇用問題で、業務職と再任用について


 
 通告の順序を一部入れ替え、お尋ねしてまいります。
 はじめに、ごみ問題について伺います。熊本市では、「ゴミ出し」が困難な方を対象に「ふれあい収集」という個別収集を行っています。
 第1に、市の基準で、「ふれあい収集」の対象者はどのようになっていますか。
 第2に、ふれあい収集の現状と課題、今後の取り組みについてご説明ください。
 以上2点、環境局長にお尋ねいたします。
 
 (答弁)
 
 9月21日は「敬老の日」です。今後ますます高齢化がすすみ、単身や老老世帯も増え、「ふれあい収集」はその必要性が高まっていくものと思います。いくつになっても地域の中で安心して生活できるよう、答弁されましたように、もっと多くの人が利用できるよう積極的な立場で取組んでいただきますようお願いいたします。
 
 次に、防災・災害対応で、避難や防災備蓄について伺います。
 1、避難にあたっての要配慮者に対し、どのように対応するとなっていますか。
 2、避難所を開設した場合の物資の供給についての考え方についてご説明ください。
 3、備蓄倉庫の物資はどのような場合に、どのように活用するとなっていますか。
 4、マニュアルに沿った避難所運営についての考え方と現状、また、問題点とその改善見通しについてご説明ください。
 最初の3点は政策局長に、最後の1点は市長にお尋ねいたします。
 
 (答弁)
 
 決算状況報告書34ページには、防災体制強化の取り組みとして、指定避難所機能強化について述べられ、分散備蓄倉庫内の不足機材を補充したことが実績として説明されています。ただいま、避難所の物資供給は避難所全体での食料・毛布・寝具等の要否・必要見込み数の状況報告を受け、災害対策本部にて判断すると答弁されました。
 気象庁が特別警報級と警告した直近の台風10号では、6日16時30分に市の防災対策本部から市内全域に警戒レベル4、避難指示が緊急発令されました。しかし、備蓄倉庫のカギすら開けられず、各指定避難所の本部には、非常の場合の水も食料も準備されていませんでした。市の「避難所マニュアル」では、避難所の「水・食料・生活物資の有無」は開設のチェックリスト項目ですが、実際にはチェックされていません。分散備蓄には毛布も入ってないそうですが、多くの高齢者が利用する指定避難所に毛布の1枚も準備されないというのは問題です。そもそも、すべてを自前で運んで避難するとなれば、それができない要配慮者は、どんなに避難指示が出されても避難できません。答弁された、要配慮者の避難は地域の協力を基本とするという自己責任論は、要配慮者を災害支援から遠ざけてしまいます。本市の各種防災関係のマニュアルでは、「自助・共助」が強調され、自己責任による防災が求められています。しかし防災においては、個人ではできないことをしっかりサポートする「公助」こそ、行政の役割として重要です。そうでなければ公の存在価値はありません。真の防災体制強化をお願いしておきます。
 
 3点目の、職員の雇用問題で、業務職と再任用についてお尋ね致します。
 1、業務職の果たしている役割についてご説明ください。
 2、業務職員の任用状況と、今後の見通しはどのようになっているでしょうか。
 3、再任用職員の総人数と役職別任用人数についてご説明ください。
 4、再任用職員の任用方法と役職の決定方法・基準についてご説明ください。
 5、公平公正な再任用職員の任用についての考え、今後の取り組みについてお聞かせください。
 最初の4点は総務局長に、最後の1点は市長に伺います。
 
 (答弁)
 
 業務職の答弁にかかわって総務局長に伺いますが、「退職者の補充は行わない」と言われましたが、今後の見通しとしては、業務職はなくなってしまうのでしょうか。
 またその場合、災害での支援などでは、災害廃棄物の処理等、業務職の方々の働きなくしてはできないこともあります。そういう対応はどのようにされるのでしょうか。
 
 (答弁)
 
 業務職は、2010年度以降10年間全く採用されていません。最初の答弁で、「民間にできることは民間に委ねるというのが基本方針」と言われましたが、際限なく公の業務を民間に委ねてきたことが、業務職における雇用の基準をなくし、労働者の処遇を劣悪にしてきました。今や社会問題となっている非正規雇用の問題、格差と貧困の問題、行政がこれらの問題の傷を深めるようなことをしているということはゆゆしき問題と指摘しなければなりません。また、社会にあっては、どのような業種でも事務職と業務職があって事業が成り立っているのであり、業務職を公の仕事からなくし、事務職だけが公務であるとする考え方は、公の業務を大きく歪めるものであることを認識していただきたいと思います。業務職の位置づけ、処遇の改善を要望しておきます。
 
 再任用の問題では、役職の再任用は毎年数人ずつ増え、今年4月が一番多く10人増えています。今年4月1日現在で再任用の総人数578人のうち、主査級から局長級まで各種役職で21人です。とはいえごく一部にすぎません。市長は、「職員が長年培った幅広い知識や経験を後進の指導育成や業務の円滑な遂行に活かす」と言われましたが、40年近く市役所の業務に携わり退職をされた職員は、局長であれ、課長であれ、そして一般職であれ、どなたも培ってきた知識や経験はそれぞれにあります。それを言うならば、ごく一部の職員だけを役職とするのでなく、再任用の方は、それぞれの専門を生かすべく、きちんとした「選任」を行い、それぞれの役職に任用するのが公平公正というものではないでしょうか。現行の本市の再任用には、公平公正を担保する手続きがありません。 
 人事院のホームページでは、国家公務員の再任用は「従前の勤務実績等に基づく選考採用」を行うと決められています。市長に伺いますが、国のやり方はご存知でしょうか。また、本市においても、役職の再任用を行うのであれば、このような手続きを踏むべきではないでしょうか。
 
 (答弁)
 
 公平公正というとき、それは口先だけで言うものでなく、それを担保する仕組みが必要です。そうでなければ、再任用する職員の能力を客観的に実証できたとは言えません。そのことも、人事院のホームページに書いてあります。
 さらには、役職の再任用の方々のいらっしゃるポストは、それまでなかったところに、再任用に合わせて新たに設けられています。本当に必要なのか、その検証も必要です。退職する管理職の天下り先がないので、市役所内に特別の再任用先を設けたと誤解を生んでは困ります。市役所の組織に管理職ポストが必要ならば、これからの市役所業務を担っていく若い職員をそこに配置し、育てていくことこそ大切ではないでしょうか。
 人事院は、再任用について「実際に就任するポストは退職時から変わることが一般的で、多くの場合、管理職であっても一般職となり、退職前と上下関係が逆転することもある」と説明しています。熊本市は、再任用の給与に8等級までの段階を設けていますが、それは国の基準に準じたものと説明されています。それならば、国と同様に公平公正な任用のための選考採用をきちんと行うべきです。検討と実施をお願いしておきます。
 市役所職員の雇用は、社会の基準として、そのありようは極めて重要です。今回指摘した点をしっかり踏まえた対応に努めていただくようお願いして、質疑を終わります。

2020年6月議会・最終日質疑「新型コロナ2次補正」について 上野 みえこ

・2020年6月議会・最終日質疑「新型コロナ2次補正」について 上野 みえこ
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 2020年6月24日
 緊急に提案されました新型コロナ感染症への対応にかかる補正予算について、通告に従いお尋ねします。
 はじめに、児童育成クラブです。
 児童育成クラブの感染防止対策経費として、95カ所のクラブにマスクや消毒液、体温計を購入したり、網戸を設置したりするための費用1360万円が提案されています。今回の補正予算は、国の10割助成による事業であり、国からの財源を有効に活用する立場で伺います。
 第1に、新型コロナ感染症の中で日々子どもにかかわっている現場の実態把握・要望聴取は、どのように行われているでしょうか。把握している内容、要望等についても、説明をお願いします。
 第2に、放課後児童健全育成事業の「新型コロナウイルスの感染拡大防止を図る事業」は、1カ所あたり50万円が基準額とされています。今回補正に提案されている支援は、1ヶ所約14万円程度です。この事業は、今回予算化されている内容以外にも空気清浄機やうがい薬など、感染予防の観点から必要とされるものには柔軟に適用されます。空気清浄機の設置をはじめ、事業の許す範囲で、内容や事業費額を拡充し、効果的に活用すべきではないでしょうか。
 
 合わせて、文部科学省が打ち出しているコロナ下での効果的な学習保障について伺います。
 第1に、文部科学省が2次補正に打ち出している「教員の加配」、小中の最終学年である小学6年生、中学3年生を対象に少人数学級を編成することについての検討はなされたのでしょうか。理由も含めてご説明ください。
 第2に、文部科学省が、「教員加配」の対象学年を中3、小6としていることの教育的目的とは何でしょうか。
 第3に、中学3年、小学6年生を35人学級、あるいは30人学級にするために必要な教職員の増員数をそれぞれお示しください。
 第4に、学校教育の節目となる小中学校の最終学年に少人数学級を導入するチャンスとして、今回の国の補助制度を活用し、少人数学級を実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 以上2つの点について、教育長にお尋ねいたします。
 
 (答弁)
 
 児童育成クラブは、新型コロナ禍の中でも、子どもの居場所として大きな役割を果たしています。以前に比べ、指導員の処遇改善をはじめ、内容の充実に取り組んでこられてはいますが、現場の指導員全員が会計年度任用職員という非正規雇用でありながら、現場のみなさんの頑張りによってこの事業が支えられていることを考えると、指導員の更なる処遇改善や保育環境の整備拡充が必要だと思います。よって、新型コロナ感染症の対応においても、現場の声を受けとめることはもちろん、教育委員会としての積極的なかかわりによる支援をお願いしたいと思います。感染拡大防止については、1ヶ所50万円は国の予算措置があるので、空気清浄機くらいは早々に取り付け、感染防止を一歩進めていただきたいと思います。
 また、国が打ち出している学習保障についても、それぞれのメニューの積極的活用が求められていると思います。現在、教育委員会としては、少人数の学級編成よりも、少人数指導の方に重きを置いているようですが、果たして、現場の声はどうでしょうか。学級編成そのものを少人数化していけば、恒常的に教職員の人数を増やさなければなりませんし、場合によっては、教室も必要となるでしょう。いずれにしてもお金のかかることではありますが、現場に根強くある要望は、少人数の学級編成です。以前から言われてきた欧米と比べても異常に多い日本の学級人数は、新型コロナ感染症のもとで、3密回避が迫られ、ますます大きな矛盾を呈することになりました。国が2次補正に盛り込んだのは、小中学校の最終学年を少人数編成することです。40人のクラスでは、児童生徒の間隔を1メートル空けることもできず、レベル1にも対応できません。この現実を直視すべきだと思います。3密を回避し、答弁にされた「より手厚い対応」を行うためにも、今回の国の教員加配メニューで、小6、中3の少人数学級を実施していただきたいと思います。必ずや、お金に換えられない将来の財産になっていくと思いますので、今後の検討をお願いしておきます。
 
 つぎに、障がい者福祉サービス事業所への支援です。
 今回の補正に、就労系障害福祉サービス等機能強化事業として、作業所等の生産活動再開に必要な設備のメンテナンス等に対する助成が提案されています。1ヶ所50万円を上限に120カ所分約6000万円の予算です。この支援が、障がい者作業の実情に合ったものとなるよう、また積極的に活用されていくよう、お尋ねいたします。
 第1に、新型コロナ感染症が広がり、就労系に事業所では、さまざまな理由から収入が減少し苦労されている。作業所の抱える困難をどのように把握されていますか。相談窓口は設置されているでしょうか。
 第2に、今回の補正に提案された就労系障害福祉サービス等機能強化事業の対象となる事業所は、市内にどのくらいありますか。
 第3に、就労系障害福祉事業所の行う事業は幅広く、障がいのある方々のさまざまな障害種別に応じて、特色のある事業が展開されています。提案された事業が効果的に活用されるためには、柔軟な対応も必要だと考えます。事業の効果的で柔軟な運用について、考えをお聞かせください。
 第4に、この助成は、事業実施後の助成となりますか、それとも先に資金として提供されるのでしょうか。
 第5に、就労系障害福祉サービス事業所では、新型コロナの影響によって減っている販売先の確保に苦労されています。販売先確保で、現在検討されている内容と、今後の拡充についてお尋ねいたします。
 第6に、新型コロナ感染症の中で、就労系障害福祉サービス事業所等を利用しながら、日々頑張っていらっしゃる障がい者の方々の置かれている状況について、市長はどのように認識しておられるでしょうか。新型コロナに向き合いながらも障害を持った方々が、生きがいを持って、日々元気に暮らしていただくよう、今後、市としてどのように取り組んでいこうとお考えでしょうか。
 1から5は健康福祉局長に、6点目は市長にお尋ねいたします。 
 
 (答弁)
 
 就労系障がい者福祉サービス事業所については、一定の支援が行われているには違いありませんが、決して十分ではありません。福祉事業所は、利益が目的でなく福祉の現場であるため、多くの余剰資金はありません。今回の補助事業については、先に資金として提供できるような運用を検討していただきたいと思います。また、福祉事業所であるために、一般の事業所系サービスが十分に適用とならない面もあります。国や県が行う持続化給付金や持続化補助金などが、売り上げ減少率が足りない、補助を受ける際の自己資金がないなどから、なかなか受けられないということを聞いています。一方、そこで働く障がい者の方々にとっては、作業所は、単なる仕事の場ではなく、障がいを持つ人を支える場ですから、休業補償を受けて休むということを単純に喜べるものではありません。市長にも、新型コロナ感染症の影響下で頑張っておられる障がい者の方々が、希望を持って活躍するために更なる雇用の場の確保や相談支援の充実に努めると答弁していただきましたので、よろしくお願いいたします。
 私も、障がいを持つ方々への支援はじめ、あらゆる分野で、市民に寄り添った支援が行われていくよう取り組んでいく決意を述べ、質疑を終わります。

2020年6月議会・最終日「新型コロナ補正予算」賛成討論 上野 みえこ

・2020年6月議会・最終日「新型コロナ補正予算」賛成討論 上野 みえこ
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 2020年6月24日
 議第185号「令和2年度熊本市一般会計補正予算」について、賛成の立場から意見を述べます。
 国会の会期末が市議会の後半となったことで、今回の補正予算提案は、タイトな日程での検討が必要だったと思います。しかし、速やかに補正予算の提案が行われたことは、スピーディさが求められる新型コロナ感染症への対応ということで、現場職員のみなさんのご努力があってのことと思います。多岐にわたる国の2次補正、数多くのメニューをさまざまに活用し、今回の補正予算が提示されたことはたいへん評価するところです。
 住宅確保補給付金については、申請が殺到し、予想を超えたことにより、今回の補正で、予算が大幅に増額されたことは、住民要求に応えるものとして、とてもよかったと思います。また、国のメニューに加え、市独自の事業が提案されたこと、児童扶養手当の受給世帯に対する1世帯2万円の上乗せは、日頃苦労されているひとり親世帯の方々に寄り添った対応として、たいへん喜ばれるものと思います。
 一方、質疑で取り上げました、児童育成クラブ、少人数学級編成や障がい者作業所への支援、クラウドファンディング、市電事業への支援などは、提案されている補正予算の内容や運用の仕方などについて、現場の実情に即し踏み込んだ対応が必要なものもあります。各事業への対応につきましては、質疑で指摘した点を踏まえ、今後の検討と前向きな対応をお願いしておきます。
 さらにいくつか、指摘しておきます。
 
 第1に、今回、国の補助で救護施設に勤務する職員への慰労金が支給されることになりました。1人5万円の一般的な対応に加えて、感染者への対応の場合は20万円が支給されるという手厚い支援です。こういう形で、接触の危険に対し、手当てが支給されていくことは大切なことだと考えます。しかし、他にも多くの人に接しながら業務を行う部署は多数あります。救護施設での対応と同様の対応がさらに広げられていくようにと願います。全国的には、児童育成クラブの指導員にも危険手当を支給している自治体もあり、国への要望とともに、自治体独自策の検討も要望しておきます。
 
 第2に、感染予防策です。マスクや消毒液等の購入が各局で予算化されています。保育園や児童館に対し、1施設50万円が重ねて支給されることになったのは良かったと思います。しかし、障がい者の施設では未だ「届いていない」という声が聞こえてきました。50万円を上限に各施設で調達し、購入に対する助成を行うという方法ではなく、現物による給付であったことや物品の量そのものが少なかった点に問題があったのではないでしょうか。未だに、全く届いていない施設もあるようです。3月には障がい保健福祉課において、「衛生用品の必要数調べ」もなさったようですが、その結果はどのように活用されたのでしょうか。あらためて実態を把握し、支給方法の検討も含めて、対策を講じていただきたいと思います。障がい者の施設は、日頃よりさまざまに苦労されていますので、寄り添った心ある対応をお願いしておきます。
 また、熊本城の特別公開第2弾における3密防止策として必要な人員配置等の経費が予算化されました。これは、雇用確保にもつながるので評価できると思います。しかし、熊本城に限らず、他の施設についても活用できればと思います。動植物園、博物館、美術館など多数の来場者を迎える施設については、同様に臨時的な雇用による3密防止策の実施を検討していただくよう要望しておきます。
 
 第3に、経済観光分野では、旅行商品割引事業に3億6,000万円の補正が提案されています。相当の事業費が確保されていますが、他の事業についても、内容・事業費規模ともに抜本的な拡充が必要ではないかと思います。多岐にわたる経済分野の事業の実態についてきちんと掌握し、応分の経済対策を検討・実施していただくよう要望しておきます。
 いろいろと申し上げましたけれども、今回の補正予算では、短い期間にもかかわらず、健康福祉局や経済観光局、教育委員会に置かれては、新型コロナ感染症への対応で多忙な中にもかかわらず、たくさんの事業について起案し、予算を提案されたことには、現場のみなさんのご苦労があったことと思います。
 新型コロナウイルス感染症が大きく広がってきた3月以降、感染防止やその拡大防止、影響への対策など、多くの対応が迫られ、かつ刻々と状況が変わる中で、度重なる対応の変更も求められ、対応は複雑多岐にわたってきました。並々ならぬ毎日ではなかったかと思います。国内では、緊急事態宣言の解除によって、自粛一辺倒から、新しい生活様式に沿った暮らし・事業のあり方が求められるようになってきました。しかし、世界的には爆発的な感染拡大の域を脱しておらず、国内でも新たなクラスター等の発生も見られるなど、まだまだ予断を許さない状況にあります。その時々の状況にあった対応策、支援策が必要であり、この状況はいましばらく続いていくことが予想されます。
 落ち込んだ地域経済を立て直し、市民のいのちと健康・暮らしをしっかり守っていくためにも、これからも、その時々の市民の声やニーズをしっかりと受け止め、寄り添った支援を行っていく必要があります。地域住民の切実な声を国へと届け、国の支援策の充実を求めるとともに、住民に一番身近な自治体ならではの独自策もさらに検討し、実施していただくようお願いして、討論といたします。

令和2年度コロナ関連についての6月補正予算について質疑 那須円

・令和2年度コロナ関連についての6月補正予算について質疑 那須円
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 2020年6月24日
 日本共産党熊本市議団の那須円です。
 令和2年度コロナ関連についての6月補正予算について質疑をいたします。コロナ関連の補正については、国の2次補正予算成立から短期間で、各局において補助メニュー等を洗い出し、当6月議会への予算計上となりました。本市単独の事業も含め、早急な対応に尽力された職員の方々に心から感謝申し上げます。とはいえ、感染拡大防止のための自粛により地域経済は大きな打撃を受けており、様々な分野や団体・個人への支援をより充実させていく必要があると考えています。こうした視点で、3点お尋ねいたします。
 
 1点目は、経済観光局のクラウドファンディング活用支援事業についてです。当事業は、クラウドファンディングにより販路拡大等に取り組む中小企業等に対し、1件当たり上限30万円を助成するものです。コロナに対応するために、各分野においてクラウドファンディングを活用した資金調達・確保が進められています。今回の事業についてはこれらを後押しする予算であり評価できるものですが、対象者が中小企業・小規模事業者と限定されており、件数も10件と決して多くはありません。
 クラウドファンディング運営会社の一つである株式会社キャンプファイアーの公表した資料によれば、今年5月の流通額は40億円に上り前年同月比較で、590%、過去最高額を更新しています。業種・分野別の調達実績を見てみると飲食が最も多くなっていますが、音楽・芸術が2番目となっているほか、例えば障がい者の就労継続支援事業所へのサポートなど福祉関連のクラウドファンディングも少なくありません。本補正予算については、中小企業を支える大事な取り組みでありますが、障がい者施設の運営や支援、文化・芸術活動を維持・支援するクラウドファンディングなども対象とし、新たに予算化すべきだと考えますがいかがでしょうか?
 
 2点目は、同じく経済観光局の誘致戦略事業についてです。同事業については、感染防止対策を講じたコンベンション主催者への助成金等であり、会場使用料増額に伴う開催助成金の加算や3密回避を目的としたバス増車への助成などがその内容となっています。
 ホールや会議室の利用にあたっては、コンベンション主催者にとどまらず、多くの市民や団体においても、3密を避けるために入場制限を余儀なくされ、倍程度の収容面積の会場を確保するなど苦労されている状況です。実際に市内ホールや会議室の利用状況や実態など聞き取りを行いましたが、3密回避のために利用制限があり、収容人数の50%以下としていることから、ホール利用の採算が取れないケース、会場規模を広げることによる費用が増大するケースなど発生しています。コロナ感染防止によるキャンセルなど、市民の利活用が大きく減少しています。予約状況は、昨年同時期に比べ大きく落ち込み、5割以上の減少が大半であります。そこでお尋ねいたしますが、コンベンション主催者のみ支援の対象とするのではなく、公共ホールや会議室を利用する市民・各種団体に対しても、増加した使用料分の補助を行うなど支援拡充を行う必要があると考えますがいかがでしょうか?
 
 3点目は、都市建設局の地方バス路線維持経費助成についてです。同予算については、コロナウイルス感染拡大に伴い大幅な減収となったバス事業者に対する運行費助成となっています。民間バス事業者に対し、前年度より約20%の収益減となるとの試算で、3億6320万円の予算が計上されています。必要な支援であると考えますが、市民の移動手段や公共交通を守るという意味ではバスのみならず、市電も同様であると考えます。市電の直近の4月、5月の利用状況は、昨年同時期の月90万人を超えていたものが、今年度は30万人程度と3分の1に、それにともない運賃収入も3分の1に減少しています。利用状況は今後徐々に回復をしていくことを期待していますが、バス事業者と同様に、市電の運行維持のために交通局に対して一般会計からの助成を行うべきだと考えますがいかがでしょうか?
 以上3点を大西市長にお尋ねいたします。
 
 クラウドファンディング活用支援事業については、どのような分野で活用できるか調査研究していくとの答弁でありました。先に紹介した障がい者就労継続支援事業所は、様々な事業を訓練の場として障がい者の生きがいを生み、スキル向上や就労につなげていく施設です。コロナかの影響を受け販路の減少などにより、非常に厳しい運営が余儀なくされています。ぜひ、福祉分野、文化芸術分野など様々な分野において、コロナ危機を打開する一つの手段としてのクラウドファンディングに取り組む団体への支援、さらにはノウハウのアドバイスなども含めた活用促進を強めていただくよう求めるものです。
 
 ホールや会議室の利用については、市民や各種団体に対しての使用料増加分も含めて、支援のあり方を工夫していくとの答弁でありました。
 熊本城ホールにしても市民会館にしても、地域経済の発展という目的とともに地域文化の発展や振興という目的が条例に明記されています。コンベンション主催者には会場費の増額分を支援するが、市民には支援をしないと、利用者によって支援のあり方に差があることは納得できません。コロナに対する新しい生活様式のもとにおいても、多くの市民にとって、利活用しやすいよう支援の強化を求めます。
 
 市電への支援については、交通局の収支等を踏まえ検討との答弁でありました。交通局の当初予算・収益的収支を見ましても、運輸収益は収益・収入の7割以上を占めます。費用いわゆる支出ですが、この収益をもとに、運転手の人件費など運行経費、線路や車両のメンテナンス維持補修などが行われ、安全な公共交通が維持されています。現在は、減価償却分の車両更新などの費用を当て対応しているとのことですが、コロナによる大幅な減収が現に発生していますので、バス事業者と同様に利用者の減少にともなう収益悪化に適切な支援を行っていただくよう要望いたします。
 
 新型コロナウイルスの感染防止や第2波への備え、さらには生活や生業の支援も含め地域経済の立て直しなど取り組むべき課題は多々ありますが、最大限の支援に取り組んでいただきますよう要望し、質疑といたします。

2020年6月議会

・2020年6月議会一般質問 上野 みえこ
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 2020年6月15日
 世界的な感染の拡大に、WHOがパンデミックを表明し、日本でも、全国で緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルス感染症の猛威が、いのちや暮らしを脅かしています。緊急事態宣言が解除されたとは言え、まだまだ予断を許さない状況にありますので、今回は、新型コロナ感染症への対応等を中心に伺います。市長ならびに執行部のみなさまには、市民の思いや声を受けとめた、心ある答弁をお願いいたします。
 まず、前半の新型コロナウイルス感染症対策の1番目、国民健康保険です。
 
 第1に、昨年に続き今年度も、保険料の最高限度額が3万円引き上げられ99万円となりました。新型コロナという未知の脅威から市民の命と健康を守るため、負担の限界を超えた保険料は軽減こそ必要です。本年度の最高限度額引き上げは今からでも撤回し、負担増を中止すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第2に、2月に「国保をよくする会」から、約8000筆の保険料引き下げを求める署名が市に提出されました。その時、参加者から「所得の2割もの保険料が適正な保険料と言えるのか」との発言がありました。本市では、保険料が高いため、滞納世帯が他都市の2倍、3世帯に1世帯です。約3万世帯が保険料をちゃんと払えない異常です。これでは、まともな制度運用はできません。
 また本市では、子どもから大人まで、収入があろうとなかろうと加算される均等割が政令市で高い方から3番目、平均額より一人13,000円も高く、年間44,700円です。政令市で一番安い札幌市の約2倍です。子どもが1人生まれると44,700円も保険料が上乗せとなり、多子世帯の保険料を引き上げています。少子化が大問題の現在、収入のない子どもに5万円近い保険料を払わせる子どもの均等割は廃止し、政令市でも格段に高い均等割額を軽減すべきではないでしょうか。そして、政令市一番高い保険料は引き下げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、保険料の滞納世帯が多い本市では、厳しい滞納処分・取り立てを行う一方、滞納処分の執行停止はわずか383件、全国の政令市で少ない方から2番目です。千葉市・川崎市は、約3万の滞納世帯を100%すべて執行停止にしています。執行停止世帯は、政令市平均で18%です。自治体によっては、「滞納処分の執行停止取扱要綱」に生活困窮や処分する財産がないなどの、執行停止要件を定めて適正に執行停止を行っています。保険料が高く滞納の多い本市こそ、この要綱を定め、必要な世帯への執行停止措置を適宜実施すべきではないでしょうか。
 第4に、新型コロナへの対応で、現在資格証明書発行が中止されています。現在発行している短期保険証は、8月頃に切り替え時期を迎えます。新型コロナ感染症が未だ収束しておらず、引き続き資格証明書発行は中止の対応を続けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 第5に、今回、新型コロナで傷病手当金が支給されることになったのは、大きな前進ですが、保険料を負担しながら、自営業者・フリーランス等の方々は、支給対象となっていません。新型コロナの影響を受けるという点では同じなので、持続化給付金同様、傷病手当の対象とすべきだと思います、いかがでしょうか。
 第6に、国民健康保険では出産育児一時金が42万円支給されます。ところが本市では、収納率向上のため、入院費等を払った残りの一時金を保険料に充当するという扱いが行われています。昨年度実績で、20件もの出産一時金取り上げが行われています。市長は、このような実態をご存知ですか。本来の趣旨に反する出産育児一時金の保険料充当はきっぱりとやめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、市長にお尋ねします。
 
 (答弁)
 
 出産育児金では、「充当依頼書」をつくり無理やり書かせているのが問題です。子どものために支給された出産育児金の取り上げは、即刻辞めていただきたい。
 加入世帯の8割以上が年間所得200万円以下という低所得世帯構成された国民健康保険には、制度上の矛盾が大きいです。しかし、大西市長になって、料率改定や最高限度額引き上げで毎年の値上げです。一方で、国言いなりに一般会計からのルール外赤字補てん分を大きく削減、前市長の時代の4分の1に減っています。これが矛盾を拡大しています。新型コロナに向き合う中で、国保がいのちを守る制度として機能するよう、保険料引き下げや子どもの均等割廃止をはじめ、指摘した点の改善に努めていただくよう要望いたします。
 また、これから始まる新型コロナでの傷病手当金の支給や、保険料の減免・免除については、対象となる方々が、もれなく速やかに手続きがなされるよう、迅速で丁寧な周知と対応をお願いいたします。
 
 続いて、介護の問題でお尋ねいたします。
 介護現場でも、新型コロナ感染症のもとで、「感染しないか」「感染させてしまわないか」「感染者が出ると事業を継続できなくなる」という不安や緊張の日々が続いています。日常のケアでも、利用者との「密」を避けることが難しく、常に感染リスクと向かい合わせです。加えて、集団感染の不安もあります。必需品であるマスクやガウン等の衛生・防護用品は不足しています。各事業所では3月以降利用者が減り、収入減となり、事業の継続が困難な状況も生まれています。この状態が続けば、「介護崩壊」です。一方、利用者側では、利用の控え、事業側の都合で介護サービスが受けられなくなり、状態の悪化、鬱・認知症の進行などが生じています。家族の介護負担も増大しています。介護現場の抱える困難を早急に打開し、「第2波」「長期化」に備えるためにも、介護事業所や介護従事者への速やかな支援が必要です。
 第1に、介護現場に不足しているマスクやガウン等の衛生・防護用品など、必要な物資の安定的な確保、供給について対応策をお示しください。
 第2に、介護事業所で感染者が発生した場合の対応・支援として、 ① 感染者が速やかに入院できるための医療体制強化 ② 必要な衛生・防護用品の優先的供給と、発症者や濃厚接触者隔離のための施設整備、備品確保等への費用助成 ③具体的なガイドラインの明示 ④ 医療専門チームや支援職員の派遣、行政による支援体制の確保等の対策が必要です。現状と、今後の対応についてお聞かせください。
 第3に、介護保険では、多くの高齢者から「とにかく保険料が高い、負担が重い」という声が寄せられます。制度開始以来20年間、上がり続けてきた保険料は2倍以上になりました。年金が減るのに保険料が上がり、「月額年金1万5千円以下」の普通徴収となっている困窮世帯の滞納が急増しています。全国の政令市で2番目に高い保険料の負担を軽減すべきです。保険料の引き下げ、市独自の減免制度実施についてお尋ねします。
  つづいて、障がい者分野での支援について伺います。
 きょうされん全国事務局の調査では、イベントの自粛等による販売機会の減少で作業所の半数以上で工賃が減っていると回答しています。熊本市内の作業所からも、販売先が減り、収入が大きく減少していると聞きました。特に労働契約になっているA型作業所では賃金の支払いが困難だと言われていました。必死になって販売先を探すも、コロナへの対応でなかなか見つからないと嘆いておられました。障がい者施設は、訓練の場であったり、働く場であったり、生活する場であったり、さまざまな役割があり、欠かせない存在です。施設やサービスが利用できなくなったことで、生活が成り立たなくなる方もいらっしゃいます。重症心身障害の方にとっては、新型コロナは命にかかわる脅威です。障害を持った方が、新型コロナのもとでも、障がい者サービスをきちんと利用することができるような支援が必要です。
 第1に、障がい者福祉の現場に不足しているマスク・消毒などの材料がきちんと届くよう、速やかな支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 第2に、事業所への減収補てんがきちんとなされるよう、国と協力しながら取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、作業所の販売先が減っているので、販路拡大に対する市の支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、介護と障がい者福祉について、健康福祉局長に伺います。

(答弁)
 
 いずれも、現場の声をしっかり聴いて取り組んでいただくようお願いしておきます。
 

 次に、暮らしへの支援について伺います。
 まず、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付についてです。
 今年3月、厚生労働省は、新型コロナ感染症の影響で生活が窮迫している世帯が急激に増えていることへの対応として、個人向け緊急小口資金等の特例貸付拡大を打ち出し、「緊急小口資金」と「総合支援資金」の貸し付け対象者・貸付上限・措置期間・償還期間・利子の緩和・拡大措置がとられていますが、現場の運用に問題があるとの声がありましたのでお尋ねいたします。
 第1に、「この特例措置では、償還時に、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる」という規定があります。もともと困窮している人が、返済時に窮迫した状況が続いていれば返済が免除されるという措置を知れば、安心して借りることができます。この点についての周知をきちんと行っていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
 第2に、この間「生活と健康を守る会」の方々と、県・市の社会福祉協議会に要望・交渉を行ってきましたが、熊本は過去の返済が一定残っていれば、新たに新型コロナで新たに貸し付けを受けることができません。福祉の制度でありながら、困っている人を締め出すような不適切な運用です。全国の都道府県で、熊本のように返済が残っている人を門前払いしているのはわずか3ヵ所です。政令市20市でも、滞納を理由に貸付をしていないのは、千葉市・熊本市の2市だけです。全国のほとんどの自治体が返済状況の如何を問わず、新型コロナでの特例貸付を行っています。困窮した実態を見ない熊本市の運用は改善すべきではないでしょうか。
 

 続いて、同じく社会福祉協議会が行う「住宅確保要配慮者支援事業」です。
 一人暮らしの高齢者・障がい者や生活困窮者で、頼る人のいない方々を対象に、社会福祉協議会が、入居時の身元保証、入居中の家賃滞納保証、亡くなられた後の原状回復保証・死後事務保証などを一括して請負う「住宅確保要配慮者支援事業」を行っています。2010年の国勢調査で、本市の高齢単身世帯数は26,693世帯にも上り、住宅確保の難しい方は多いと思います。しかし、制度の利用状況は、一昨年・昨年ともに、年間約300人の相談者に対し、契約ができた人はわずか約1割です。なかなか利用されないのは、対象が困窮世帯でありながら、利用料金が重いからです。生活保護の方で年間3万4000円、一般の世帯で年5万4000です。今後ますます高齢化や貧困がすすみ、この制度の必要性は高まると思います。利用しやすい制度にするためにも、生活保護需給者の利用料免除や一般世帯の利用料軽減のため、市が一定の助成をできないでしょうか。
 合わせて、市営住宅について伺います。
 第1に、新型コロナに関し、市営住宅の災害減免の要件を緩和し、減免対象を広げるとともに、減額・猶予の周知を徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 第2に、マスコミ報道でも、新型コロナの影響による失業・倒産・廃業が次第に増加しており、その影響で住いの確保に困難な方も増えています。埼玉県では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による解雇等で、住居確保が困難となった方を対象に、最長1年・敷金免除で県営住宅の一時提供を行っています。本市で、新型コロナの影響で住いを無くした方々への福祉的対応として市営住宅の一時提供が実施できないでしょうか。

 つづいて、水道・下水道料金の減免です。
 新型コロナ感染症は、経済や国民の暮らしに、かつてなかった甚大な影響をもたらしています。市民生活と経済活動支援のため、今、全国の自治体が水道料金や下水道使用料の減免に乗り出しています。5月19日までに少なくとも125の市町村・全水道事業者の約1割が、減額・免除の方針を決め、その後も増えているようです。在宅勤務や学校休校の長期化などで、家庭での水道使用量が増加傾向にあることや、事業所の収入が激減する中、固定費としての水道料金・下水道使用料の負担が重く、減免による公共料金の負担軽減は、生活困窮者や自粛・休業の影響を受けた飲食店等の個人事業者にとって大きな支援となります。上下水道の基本料の軽減や水道料金の使用料全額免除、期間も2カ月から半年程度まで様々ですが、政令市では大阪市、名古屋市、仙台市、堺市、九州沖縄の県庁所在市では、鹿児島市、宮崎市、大分市、那覇市と、半数の市で実施されています。本市の水道事業は、毎年大幅な黒字決算を続けており、私ども日本共産党市議団は、機会あるたびに、水道料金引下げや福祉減免実施を要望してきました。新型コロナ感染症という未曽有の危機に直面している今こそ、長年続いている黒字を市民・利用者に還元し、水道料金・下水道使用料の減免を実施していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
 合わせて、2019年度の水道事業・下水道事業の収支見通しについてご説明ください。
 以上、暮らしへの支援について、市長ならびに関係局長にお尋ねいたします。

  (答弁)
 
 いずれも、福祉の心で、寄り添った対応をお願いしておきます。
 

 次に、事業者への支援について伺います。
 第1に、国の持続化給付金には申し込みが殺到していますが、売上が50%以上減少が給付要件のため、売上の減少が少ない事業者は対象となりません。神奈川県商工団体連合会が行った影響調査では、建設・製造・卸小売・飲食・サービスなど、幅広い事業者約200カ所のうち、8割の事業者が売り上げが減少したと回答しながら、3割以上の事業者が持続化給付金の対象外とのことでした。
 本市で、売上が減少しながら、持続化給付金の対象とならない事業者の実態をどのように把握されているでしょうか。
 また、制度の対象外の事業者への本市独自支援はできないでしょうか。
 第2に、緊急事態宣言に基づく県の休業要請を受けた事業所への県の休業協力金とともに、本市の緊急家賃支援金も、自粛要請外へと拡充されました。しかし、これらの支援対象外となる事業所はもとより、対象事業所であっても、学校が臨時休校となった3月から、緊急事態宣言解除の5月までの期間、その後も急速に元の状態へと戻っておらず、多くの業種で、長期の売り上げ減少に、固定費が負担となっています。新型コロナの影響が収束するまで、固定費への継続的な支援ができないでしょうか。
 第3に、新型コロナのもと、中でも小規模事業者は大変苦労されています。家族経営の商店・事業所は、もともと売り上げが少ない上に、昨年10月の消費税10%への増税で売り上げが落ち込み、そこに新型コロナです。地域の商店街での聞きとりでは、多くのお店が「もともと落ち込みようのないくらい落ちていた売り上げは5割も落ちない。5割落ちたら倒産だ」と嘆いておられました。埼玉県所沢市では、20人以下の小規模事業所へ一律10万円の独自支援を行っています。本市でも、小規模零細事業者への支援をぜひ実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 第4に、自粛や感染の不安などによるタクシー業界の落込みは、深刻です。日本モビリティ・マネジメント会議が公表した影響試算では、全国のタクシー業界で4400億円の減収が見込みだそうです。私ども党市議団へも、「1日仕事しても、ほとんど乗車がない」との声が寄せられています。
 お隣の益城町では、落ち込んだタクシー業界の支援と障がい者・高齢者の福祉増進の観点から、福祉タクシー制度の利用額を拡充しています。本市でも、障がい者福祉タクシー券の1回の乗車の助成額引き上げや発行枚数の拡充、さらには、さくらカードの利用できない高齢者を対象に福祉タクシー券を発行するなど、新型コロナの影響で、苦境にあるタクシー業界への支援ができないでしょうか。
 以上、市長に伺います。
 
 (答弁)
 
 経済の面で、新型コロナ感染症は、インバウンドに頼った経済政策のもろさをはっきりと示しました。今後は、地元事業者を大切にした地域循環型の経済政策優先へと施策の転換が求められると思います。コロナと向き合いながら地域の中小・零細事業者を大切にした経済活動への支援をお願いしておきます。
 

 次に、子育てにかかわって伺います。
 以前から社会問題化していた子どもと貧困は、長期の休校により、食費が家計を圧迫する、家庭で十分な栄養を取ることができないなどの声が寄せられるなど、新型コロナ感染症の影響で、子どもをめぐるさまざまな問題があぶりだされることになりました。学校の休校中も、地域の子ども食堂、あるいはボランティアの方々により弁当提供も行われましたが、医療や健康、栄養面で子どもたちの健やかな成長をささえるこれらの支援は、本来ならば行政が責任を持って対応すべきことです。
 第1に、茨城県東海村では、独自に子ども一人1万円の子育て支援金が支給されています。ひとり親世帯や子どものいる住民生非課税世帯への給付金の上乗せや、子育て支援金の支給を検討できないでしょうか。
 第2に、新型コロナ感染症への対応が求められる中でも、子ども食堂やシングルマザー支援団体等が行っている子どもたちへの支援に対し、行政の助成は不十分です。新型コロナ感染症への対応も必要となっており、助成額の引上げとともに、マスク・消毒などの衛生材料の支給等も行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、これらの団体の活動は、単に食事や物資を届けるに留まらない、子どもたちの抱えるさまざまな困難を見つけて、専門的な部署へとつないでいく大切な役割を持っています。そのために、専門知識やノウハウを持つことが重要です。今後は、行政の責任で、各団体のスキルアップのための研修などを実施していただけないでしょうか。
 第3に、国の特別定額給付金は、すべての人が支援を受けられる制度として歓迎されています。しかし、終息も見えない中、支給の基準日が4月27にと規定されているために、その後に生まれた新生児は対象となりません。全国的には、札幌市が4月28日から5月25日まで生まれた新生児も給付金の対象に広げ、県下の山鹿市や千葉県習志野市では今年度中に生まれる新生児を対象に10万円を支給することにしています。本市においても、基準日以降に生まれた新生児への10万円の給付金支給を独自に実施できないでしょうか。
 第4に、国民健康保険では、保険料のコロナ減免が実施され、新型コロナ感染症にかかる傷病手当金支給も行われることになりました。新型コロナ感染症という未曽有の危機に直面している今だからこそ、子どもたちが安心して病院にかかることができるようにすることが必要です。本市の現行子どもの医療費助成制度は、先の制度改定によって薬剤分も含め、自己負担が大幅に引き上げられました。新型コロナ感染症に対峙している今、お金の心配なく、どんな時でも病院に行くことができるよう、自己負担を廃止していただきたいと思います、いかがでしょうか。
 引き続き、教育現場で新型コロナへの対策をしながら学びを保障していくための環境整備について伺います。
 3カ月もの長期となった小中学校等の臨時休校は、子どもたちの成長・発達に大きな影響を及ぼし、改めて学校が子どもたちの学習の場であるだけでなく、人として共に育ちあう場、貧困への対処の場、栄養摂取の場、障がいや発達の特別の支援の場としてなど、子どもの成長・発達、権利保障の上で欠くことのできない、高度な仕組みであることを再認識することになりました。休校の中で抱えてきたストレス、不安や悩みを解消しながら、感染リスクを下げた環境で、必要な学びを保障していかなければなりません。
 第1に、新型コロナに直面する時代、「新しい生活様式」を踏まえ、子どもたちを感染から守る学校現場にしなければなりません。文部科学省は、5月22日、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を公表し、「新しい生活様式」を踏まえた学校の行動基準として、地域の感染レベルに合わせた身体的な距離の確保の指標を示しました。レベル2・3では「できるだけ2m程度」、レベル1でも「1mを目安に学級内で最大限の間隔を取ること」とし、ゆとりある空間での授業を推奨、密集を回避するための目安として、レベル2・3では20人学級を例示しています。今後、子どもたちが感染リスクの少ない環境で学習できるよう、少人数学級の推進は重要です。私どもは、子どもたちへの行き届いた指導の面から少人数学級の拡充を求めてきましたが、新型コロナ感染症に直面している今、「学校の新しい生活様式」実践のうえでも、今後の目指すべき方向となっています。
 現行の35人学級を当面すべての小中学校・高校へと広げ、その後は、あらゆる感染のレベルに備えるためにも、学級人数をさらに30人、それ以下へと減らしてゆく取り組み、その検討が必要ではないかと思います。見解を伺います。
 第2に、3カ月もの長期休校で、子育て世帯の食費が大きく膨らみ、家計を圧迫することになりました。特に就学援助を受けている世帯へは大きな負担となりました。その支援として、就学援助世帯への休校中の昼食代を補助する自治体が広がってきています。朝日新聞社の調査では、道府県庁所在市・政令市・東京23区の74自治体のうち、24市区・32%の自治体で、昼食代補助の実施、またはその予定です。政令市は5市です。県下では山鹿市が、今年6月から来年3月までの学校給食費と保育園等の副食費の無償化を実施します。文部科学省は、5月19日、「新型コロナウイルス感染症対策による臨時休校に伴う令和2年度要保護児童生徒援助費補助金(学校給食費)の取扱いについて」の事務連絡を出し、各自治体への対応を求めています。本市でも、就学援助世帯への昼食代や、さらには保育園等の副食費への支援を実施できないでしょうか。
 以上、子育てと教育の問題について、市長ならびに関係局長に伺います。
 
 (答弁)
 
  教育長は、「少人数学級のこれ以上の拡大は考えていない」と答弁されましたが、文部科学省の衛生管理マニュアルでは「40人学級では1メートル空けることも難しい」と指摘していることは、ご存知ですか。国会では安倍首相でさえ、「少人数学級に向けて努力を重ねてきた。コロナ後を見据えて検討していきたい」と答弁しています。学校は、子どもが長時間過ごすところです。衛生管理マニュアルを踏まえた対応を検討すべきではないでしょうか。教育長に伺います。

 (答弁)
 
 熊本市は、「人との距離は2メートル」というCMを流しています。教育長はご存知ないのでしょうか。新型コロナの中で、不安やストレスを感じている子どもたちへの丁寧な指導はもちろん、安全な環境は最優先です。教育長におかれては、教育者として子どもとその保護者に寄り添った対応をお願いしておきます。
 

 次に、学生・若者への支援についてお尋ねします。
 新型コロナの感染拡大により、学生が経済的苦境に立たされています。学生団体である「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査では、「5人に1人、2割の学生が退学を検討」という結果もあり、若者たちの危機的な状況が浮き彫りとなりました。家庭の収入が減ったり、自身のアルバイト収入が減ったりして生活が苦しいのに、オンライン授業導入による経費負担の発生や、実験・実習がないこと、図書館等の利用ができず研究がすすまない、学食が利用できず、食事の負担が増えるなど、不安や困難が次々と発生しています。学費の負担軽減を求める学生や関係者の要望に応え、大学が授業料の軽減を次々と打ち出し、国も「学びの継続」のための「学生支援緊急給付金」を創設し、県も独自に「困窮大学生等給付金」の支給を打ち出しています。しかし、これらの支援は、学生の1割にしか届きません。更なる支援拡充が求められます。これからの社会を担う若者の安心できる学び継続のためには、国や自治体がそれぞれに役割を発揮し、支援策に取り組む必要があります。新型コロナ感染症は、そもそも世界的にみても驚くほどに重い日本の高学費についても、問題を投げかけています。
 第1に、お隣の益城町では、アルバイトの収入が減少、困窮している県外からきている大学生・専門学校・大学院生・予備校生学生に一律3万円の給付や高校生等への町内で利用できる商品券・ひとり5000円の支給などが行われています。本市においても、国・県に上乗せし、学生への給付が実施できないでしょうか。
 第2に、高等教育無償化に近づくために、欧米では当たり前になっている給付型奨学金を実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  
 
 あわせて、文化芸術分野の問題で1点お尋ねいたします。
 現在、新型コロナの対策で、ホールの本来のキャパシティーの半分程度の人数しか入場することができません。会議室等も同じです。それでも、少しでも催しをやっていこうという方々の努力で、各種催しが少しづつ始められています。出演料は当たり前に払うことになるので、せめて会場費の負担が減らないかという声が寄せられました。半分程度の入場で、全額の使用料負担は重いと思います。舞台は、演ずる人、見る人、企画するひとが一体となって創り上げられていきます。新型コロナの中でも、文化芸術の灯を絶やさないためにと頑張っている方々への支援が必要だと思います。新型コロナ感染症への対応で通常人数が入場できない間、施設使用料は減免すべきではないでしょうか。
 
(答弁)
 
 奨学金については、任期中に実現とのことですので、速やかな実施を要望しておきます。
 また、文化芸術分野への支援では、会場費補助の実施はもちろん、答弁された文化芸術活動継続のための工夫ある取り組みとともに、国では第2次補正による「文化芸術活動への緊急総合支援パッケージ」がミニシアターやライブハウスなどの小規模団体等へも活用されていくよう、更なる拡充を国へ求めていただきたいと思います。
 
 続いて、医療・保健分野の課題について伺います。
 第1に、病院機能維持のための支援です。
 新型コロナの影響で、今全国の医療機関が危機に直面しています。
 全国公私病院連盟会長の邉(へん)見(み)公雄さんは、民医連新聞の紙上で、「新型コロナウイルス感染症患者の治療は診療報酬を2倍にしても全く足りません。感染者を1人でも受け入れるには、病棟を全て空けなければならない。毎日200万円以上の損失。国・自治体が大規模な支援がなければ、経営が行き詰まる医療機関が続出。新型コロナウイルスの第二波、第三波に備えることもできず、国民のいのちと健康は守れない。」と述べられていました。患者受け入れ機関に限らず、それ以外の医療機関でも、検診や検査などで緊急を要しない診療を中止するなど、新型コロナへの対応は迫られるのに支援はなく、自粛もあり患者が減少、経営がひっ迫、遠くない時期に資金ショートするような現状も指摘されています。東京保険医協会の調査では、4月、93%の診療所が収入減を訴え、そのうち30%を超える診療所が5割以上の減収との報告でした。新型コロナ感染症から、国民の命を守り、感染収束のためには、その第1線で頑張る医療機関への支援無くしてはできません。本市でも、感染症病床は、エボラ出血熱などを受け入れる第1種は2床が維持されているものの、この度直面している新型コロナはじめSARSやMERSなどを受け入れる第2種感染症病床は、5年前と比べて6床も減っています。これは、感染症病床の維持が難しいものであることを示しています。
 神奈川県知事は、5月に県下の医療体制を維持するためにも、現在の医療機関のダメージや、どのぐらいの支援をしなければ医療体制が維持できないかの調査に乗り出す意向を表明しました。本市でも、医療崩壊を回避し、必要な医療体制を維持していくためにも、早急に医療の現状を把握すべきです。県とも協力して、公立、民間問わずに市内の医療機関の現状について早急に実態調査を行い、必要な支援について検討していくべきではないでしょうか。
 また、国に対し、患者受け入れをしない医療機関も含め、すべての医療機関に対し、経営難による医療崩壊を起こさないための財政支援を早急に行うよう申し入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 第2に、公立病院の再編問題についてお尋ねいたします。
 政府の「地域医療構想」では、2025年度までに全国の急性期病床を約20万床、3割減らす目標です。昨年9月に、424の公立・公的病院を名指しで再編統合をせまりました。その中には、熊本市の市民病院と植木病院も入っていました。その後、市民病院は対象から外されましたが、再編がすすめられれば、本市でも公的病床が大きく削減されることになります。新型コロナ感染症の感染拡大は、感染症病床という極めて不効率・不採算な病床の確保が必要となるので、公立病院の果たす役割と存在が大きいことが明らかになりました。今年1月29日に中国・武漢から最初のチャーター機が到着した時、具合の悪い人を真っ先に受け入れたのが、東京では公社・荏原(えばら)病院、都立駒込病院であったことは、感染症の対応で公立病院の役割が大きいことを示しています。いったん緊急事態宣言は解除されましたが、懸念される第2波への備えが重要な課題となる今、医療機関における「平常時からの余力」を持った病室・病床数の確保が必要であり、今ある公的病院の病床確保は優先課題です。新型コロナの感染拡大に備えてベッド確保を求めながら、一方でベッド削減を並行して進めるような公立病院の統廃合は、全くの矛盾です。植木病院も対象となっている公立病院の統廃合については、国に対し中止を求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、コロナ対策に大きな役割を果たしている保健所・保健センターです。
 政府の緊急経済対策にも「保健所の体制強化」があげられ、保健・公衆衛生の体制強化は急務です。全国の保健所は、1990年には850カ所あったものが2019年には472ヵ所にまで統合され、職員も減らされてきました。本市でも、過去に2カ所あった保健所が今や1カ所となり、保健センターも区役所に機能が置かれているだけです。お隣の政令市・福岡市では、すべての区に保健所が置かれています。また、全国の政令市における保健所・保健センターの人員体制にはそれぞれ差がありますが、保健師数に特に大きな差があります。人口によってそれぞれ違いはありますが、熊本市は、全体の職員数も少なく、それには保健師配置数が少ないことが影響しています。多くの政令市に配置されている、歯科医師や歯科衛生士がいなくて、獣医師・薬剤師・放射線技師・管理栄養士なども少ないのが特徴です。今後は、保健所体制の拡充のためにも、各区への保健所設置や、他都市と比較しても少ない専門職の配置拡充とともに、保健所・保健センターの人員体制の抜本的拡充が必要と思われます、いかがでしょうか。
 第4に、検査についてです。
 緊急事態宣言解除後の18道府県知事による緊急提言では、「大規模な新型コロナウイルス感染者の早期発見・調査・入院等による積極的感染拡大防止戦略への転換」が必要である点を第1に掲げ、有症者への受動的な検査でなく、発想を変えて、偽陰性者や偽陽性者に配慮しつつ、適切に検査対象者を設定して検査を大規模に行い、判明した陽性者との接触者を調査・検査し、治療につなげて行くという先手の感染拡大防止策の重要性を指摘しています。医療・介護従事者や、医療・介護施設の入院・入所者を積極的に検査し、さらにその対象を広げていくなどの取り組みが必要です。5月には、感度が劣るデメリットはあるものの短時間で診断できる抗原検査も承認されています。PCR検査の検査数拡充に加え、唾液での検査も可能となっており、今後は、より迅速・簡易なPCR検査の実施や抗原検査を組み合わせて実施するという、一歩進んだ検査体制へと進めていくとともに、全国的には一部地域で始まっている抗体検査実施も検討すべきです。今申し上げたことも含め、今後の検査充実についての考え方や見通しについて伺います。
 
 (答弁)
 
 第2種感染症病床が減って、市内にわずか31床しかないことは、爆発的な感染拡大には到底対応できないと医療現場でも懸念されています。医療機関への支援については、特段の計らいをお願いしておきます。
 新型コロナ対策は、国の支援がありますが、それで十分とならない部分を、住民に寄り添ってフォローするのが、住民に一番身近な市町村の役割だと思います。そういう意味で、全国の事例も種々紹介しました。
 かなり財源を必要とするものもありますが、市長が表明された市庁舎や市電延伸の凍結にとどまらず、市民の目線で、市政のムダに大きくメスを入れるべきだと考えます。この点でも、今後具体的な指摘をしていきたいと思います。
 
 では、大きな2つ目のテーマ、市長の姿勢にかかわる問題について伺います。
 まず、昨年12月に発生した熊本城ホールの振動問題です。
 オープンしたばかりのホールで、「気分が悪くなるような振動であった」という苦情が出るような振動の発生には、私も驚きました。指定管理者や市に対し、さまざまな苦情が寄せられ、マスコミへも様々な市民の意見が届けられました。
 第1に、音響と静かな環境は、文化ホールの重要な要件です。この度の振動問題で、原因解明はされましたか。していなければその理由をご説明ください。
 第2に、その後、何らかの対応策はとられましたか。
 第3に、建築や音楽等の専門家の意見は聞かれましたか。
 第4に、指定管理者「熊本城ホール運営共同事業体」は、「メインホールから下の階に振動が伝わることはわかっていたが、逆のケースは想定していなかった」とマスコミにコメントしていました。振動の問題を市は、いつ、どのように知っておられたのでしょうか。内容についてもご説明ください。また、再開発会社や指定管理者からの説明は聞かれていましたか。
 第5に、ホールが振動で安心してコンサートも聞けないようでは困ります。原因究明と必要な対応策を講じるべきではないでしょうか。
 以上、市長にお尋ねいたします。
 
(答弁)
 
 「設計段階で振動が防げないと聞き、耐震・遮音対策を講じた」との答弁ですが、講じた対策の効果がなかったからの振動発生ではないでしょうか。
 マスコミには、「音楽鑑賞中にほかの会場の振動が伝わるなら鑑賞どころじゃない。多額の税金を投じて、欠陥ホールではないか」という投稿がありました。なぜ多額の税金を使いながら、振動でおちおち鑑賞できない構造のホールになってしまったのか、これが問題です。
 全国には、熊本城ホール同様、建物の中高層階のホールは多数あります。しかし、ホール規模が2000席を超えるような大規模ホールが、上下に重なった構造のところはあまりないようです。答弁にありましたように、ホールの構造上、振動の他階への伝搬を防ぐことができないと、設計者が市に説明していたように、再開発事業の保留床を利用するという、限られた条件のもとでのホール整備がこの振動問題を生んでいると考えられます。そして、大ホールの下に、産業文化会館の代替として、無理やり750席のシビックホールをつくったことも原因の一つです。市民が存続を願っていた産業文化会館を無理やり壊し、桜町再開発を強行したことが振動の問題を生んでいることを認識していただきたいと思います。
 上通A地区再開発の現代美術館は、ホテルと隣り合わせのため、国宝級はもとより価値ある美術品の展示はできません。全国の多くの再開発で、埋まらない床を埋めるために様々な公共施設が入り、矛盾を抱えた施設整備を行っている事例が多々あります。残念ながら、莫大な税金を投じたホールが、再開発への整備ということで、矛盾を抱えた施設となってしまったことの責任を市長には受けとめていただきたいと思います。
 ニューヨークフィルの根拠地で、1962年にオープンした2738席のディヴィッド・ゲフィン・ホールは、音響問題で、1976年、1992年、2005年と、多額の費用を投じ、度重なる音響改修を行っています。本当にいいホール環境を利用者に提供しようというのであれば、振動の改善も、これぐらいの覚悟で臨んでいただきたいものです。
 
 次に、県議選の持ち帰り票問題について伺います。
 今年3月に行われた熊本県知事選挙の熊本市中央区開票区における、109票の持ち帰り票の問題では、前の質問者からも縷々お尋ねがありました。再発防止策が重要であることは言うまでもありませんが、あってはならない109票の行方不明票、その原因を解明せず、そのままにしていいものでしょうか。その点で疑問がありますので、そこで、伺います。
 第1に、この問題は、地元紙に「前代未聞、109票消える」「驚愕のトラブル」と報道されました。これまでも、本市の選挙においては、さまざまなミスが発生し、そのたびに陳謝が繰り返されてきました。しかし、今回のトラブルは、これまでのミスとは比べ物にならない、重大な誤りです。票数に大きな差のある県議選で、当落に影響していないために、「すみません、再発防止に努めます」という処理になっていますが、1票を争う市議選であれば当落にかかわります。申し訳ないではすまされないはずです。事の重大性をどのように認識されていますか。
 第2に、原因が解明されないままに、再発防止策だけでお茶を濁してしまっていいのでしょうか。検討委員会の答申では、「委員会の結論として、109票の行方不明事案の原因は、紛失などの過失による事故か、盗難、選挙妨害行為などの犯罪かということになる」と述べつつ、「過失による事故か、犯罪行為が行われたかについては、残念ながら本委員会はこれ以上明らかにすることはできなかった」とされています。このことに対し、私どものもとには、複数の市民から、「民意が歪められる、選挙の根幹にかかわる事態が発生しているのに、なぜこのような誤りが発生したのか、はっきりさせられないのには納得がいかない」という声が寄せられました。「明らかにできなかった」で終わらせるのでなく、この重大な問題について、市民にきちんと説明する責任があると思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、市民への疑問に答え、大きく失墜した市民の信頼を回復するために、検討委員会の答申では、これ以上の解明ができないとなっていますが、うやむやにせずに、徹底した解明を行うべきではないでしょうか。
 以上、市長に伺います。
  (答弁)
 
 この問題を放置していたら、選挙に対する信頼はなくなります。当落に関わらずとも、1票に託された市民の負託の重さを考えるならば、選挙に対する市民の信頼を欠くような対応は許されません。選挙事務を行ったのは職員であり、任命権者である市長の責任が問われる重大な問題です。
 昨今の選挙では、ただでさえ投票率の低下が問題になっているときに、選挙結果はいい加減で、信頼おけないとなったら、ますます選挙から民意が離れていくのではないでしょうか。そうさせない責任があると思いますので、市民への説明責任と信頼回復に万全を期していただきたいと思います。
 
 市長が認可権を持つ再開発に関連して、市長の政治倫理について伺います。
 市政史上最大の桜町地区第1種市街地再開発事業は、2015年5月1日に事業認可され、昨年秋に完成しました。熊本市は、これまで、市税をつぎ込む3つの再開発にかかわってきました。一つ目は、上通A地区第1種再開発事業、ここには現代美術館の保留床を取得し、合わせて地上権設定方式で50年間にわたり約20億円もの借地料を払っています。2つ目は、駅前東A地区第2種再開発事業、こちらは熊本市が施行者となって実施し、森都心プラザ・ホールを整備、マンションも建設しました。そして3つ目が桜町再開発です。
 第1に、紹介した3つの再開発事業の総事業費と投入した税金額をご説明ください。
 第2に、再開発事業には、運転資金支援として再開発貸付の制度があります。3つの事業で、事業者に対し、再開発貸付を行った事業があれば、貸付額をお示しください。
 市長にお尋ねいたします。
  (答弁)
 
 答弁されたように、桜町再開発は、総事業費777億円という市政史上最大の再開発でした。熊本市は保留床取得金や補助金、ホールの整備諸費用等441億円を投入しました。なんと総事業費の6割近くを市が負担するという異例の支援です。市施行の駅前東A地区再開発でさえ、市の負担は144億円です。面積比を考慮しても、まるで市施行のような財政負担となっており、抜きんでた大盤振る舞いです。
 しかも、お金の面だけではなく、桜町再開発は、やり方も脱法的とも言えるものでした。九州産交という1企業が地権者という全国でも例のない再開発でした。都市再開発事業は、組合施行ならば、複数の地権者でなければ再開発補助金の対象となりません。しかし桜町再開発は、会社施行というやり方で、言わば脱法的に126億円もの再開発補助金が投入されました。私どもが、繰り返し指摘してきましたように、熊本市の強い後押しなしにはできなかったことです。加えて熊本市は、再開発事業者への資金繰り支援として、66億円もの無利子貸付まで行いました。熊本地震はじめ災害被災者の福祉資金貸付には、3%もの利息を取る熊本市が、再開発事業者に無利子で66億円も貸すというのは、これも異例の大盤振る舞いです。桜町再開発事業という過去に例のない巨大再開発は、熊本市の異例ともいうべき数々の支援なしには成しえなかった事業と言えます。
 こうして熊本市の中心市街地に完成した桜町再開発ビルですが、私が驚いたのは、知り合いから「市長さんは、サクラマチのマンションにお住いと聞きましたが、本当ですか」と聞かれたからです。調べ始めて、市民の目線から見ても納得できないことが多々あると感じましたので、いくつかお尋ねいたします。
 第1に、全国どこの自治体にもある「市長の資産等の公開に関する条例」の趣旨・目的について、ご説明ください。
 第2に、熊本市職員倫理規則には、「市の許認可を受けて事業を行っている事業者等または個人」、「市の補助金等を受けて事業を行っている事業者等または個人」を利害関係者と定めています。桜町再開発の都市計画決定を行い、再開発事業の認可権者であり、再開発他の補助金の交付決定者である市長にとって、桜町再開発事業者は利害関係者にあたりますか。
 第3に、熊本市政治倫理条例第3条「政治倫理基準」では、議員及び市長が遵守すべき政治倫理について、?市が行う許認可・請負等の契約に関し、特定の企業・団体等に有利な取り計らいをしない、?企業・団体等から、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けない、?地位を利用しいかなる金品も授受しない、?権限若しくは地位による影響力を不正に行使するよう働きかけない、?その職務に関し不正の疑惑をもたれるおそれのある行為をしない、と定められています。利害関係者から、利益や便宜の供与を受けることや、その疑いをもたれるようなことはしないという規定です。市が多額の補助金を支出し、都市計画決定・開発許可を行い、異例ずくめ、破格の支援で建設されたビルの1室をご自身が所有されていることについて、政治倫理上問題なしと判断されているのでしょうか。その理由をご説明ください。
 第4に、マンションの取得にあたっては、抽選に応募されたのでしょうか。それとも、優先的に入居を認められていたのでしょうか。
 第5に、「ザ・熊本ガーデンズ」には、非分譲となった物件が3戸ありました。「事業協力者住戸」と言われるものです。市長のお住いの部屋は、分譲の物件でしょうか。それとも、非分譲の物件でしょうか。
 以上5点、市長に伺います。
 
 (答弁)
 
 市長は、自分は職員倫理規則の対象外だから、適用外と答弁されましたが、市長の指示で動いた職員が利害関係者で、自分の名前で再開発事業を認可し、自分で補助金の交付決定をした、当の本人が利害関係者でないはずがありません。市長が一番の利害関係者で、指示された職員以上に厳しい倫理性が求められるのではありませんか。認識の間違いも甚だしい。見識が疑われます。
 また、「政治倫理に問題なし」、桜町のマンションは「一般で抽選し、適正に取得したからよいではないか」という答弁に、誰が「そうだ」と思ったでしょうか。そこで、2点伺います。
 1つは、市がつぎ込んだ134億円もの補助金は、桜町ビルの公共部分に使われ、マンション部分にも、エントランスや廊下、エレベーターなどには補助金が入っています。そのため、価格が同程度なら贅沢な仕様になります。熊本市の中心、熊本城を眺める一等地にあるこのマンションは、県下で最高クラスと言われ、たいへんな人気で、総数159戸のうち130戸に複数の申し込みがあり、抽選となりました。最高倍率は15倍で即日完売し、「完成していないマンションの即日完売は異例」と新聞に評されました。この難関を突破して権利を取得されたわけですが、税金を投入して建てた入居希望の多いマンションに、あえて抽選に応募し、入居したい人を押しのけて取得することに躊躇されませんでしたか。こんなに素晴らしいマンションには、自分ではなく、市民のみなさんに住んでほしいと思われなかったのでしょうか。
 答弁をお願いいたします。
 
 (答弁)
 
 至れり尽くせりで、市がお金も出して整備された、最多販売価格帯が5000万円近く、上層階は1億円を超える豪華マンションに、ちゃっかり市長が一室を購入して住んでいることを、市民はどのように受け止めるでしょうか。市政運営の基本指針である本市の基本構想には、基本理念として「まちづくりの原点はそこに暮らす市民」、めざすまちの姿に「だれもが住んでみたくなる上質な生活都市」と書かれています。しかし、税金を投入した上質な生活空間の恩恵に、市長が真っ先にあずかっていることに、市民の理解は得られません。市長が、政治倫理に問題なしと言われても、道義的には問題があるのではないでしょうか。
 もう1点伺います。
 熊本市は、熊本城周辺に景観形成基準を定め、「ザ・熊本ガーデンズ」のある桜町は、一般区域で建設される建物の高さの上限を海抜55メートルとしています。基準を守るならば10階ないし11階しか建てられない場所に、海抜73・6メートルのマンションが建てられたのは、市の景観審議会にかけられ、公益性の高い施設という理由で、海抜 73・6mが了承されました。12階以上の部分は、熊本市の緩和措置でつくられたものです。市長がお住いの12階は、市の特段の配慮によってできたフロアーです。多少遠慮して低層階の取得ならばともかく、市の緩和措置でできた高層階を取得されるのは、いかがなものでしょうか。この点でも、抽選で適正に取得したから問題ないと、市長が言われても、市民の目には、市が行った緩和措置の恩恵に、市長が真っ先にあずかっていると見えるのではないでしょうか。本来ならば、慎むべきではなかったのか、見解を伺います。
 
 (答弁)
 
 市長の「抽選で適正に取得しているから問題はない」という答弁は、市民の感覚で考えるならば、非常に違和感のあるものです。市が幾重にも特段の計らいをしているマンションに、その恩恵を受けて住むということが、市民の目にはどのように映るかです。各フロアーの1号室というのは、どのマンションでも概ねいい部屋で、市長が取得されている部屋の専有面積は98・79㎡で、100㎡近くあり、売りや賃貸として出ている物件と比べても広い部屋です。便宜を図ってもらったのではないかと疑われかねません。違法ではないかもしれませんが、道義的に見て、市民感覚で考えて、とても妥当であるとは思われません。
 
 東京千代田区では、区長と家族が所有するマンションが区の許認可である総合設計制度を活用し、容積率を緩和し建設されたマンションであったこと、しかも所有している部屋が、一般的には販売されない「事業協力者住戸」と呼ばれるものであったことが判明したことから、区長の個人的な不動産取引と区行政の関係等について調査するための地方自治法100条に基づく調査委員会が設置され、審議中です。この6月には、区長の証人尋問の予定です。
 「市長の資産等の公開に関する条例」の目的は、「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律」の規定に基づき、国会議員と同じく、資産の状況等を国民の不断の監視と批判の下におくためというのが趣旨です。
 市長の桜町マンションも、適正に取得しているから問題ないと言われても、抽選でなく、非分譲の「事業協力者住戸」であったならば、千代田区の例と全く同じです。そういう意味では、答弁された、抽選枠であったこと、非分譲の「事業協力者住戸」ではないということは、証拠を示し、きちんと証明する必要があるという点を指摘しておきます。
 今回、私がこの問題を取り上げたのは、「サクラマチのマンションに市長が住まわれているみたいですが、」と言われたときに、そんなことがあるのかと耳を疑ったからです。民間事業でありながら、市が450億円近い税金を出し、地権者1人という特異な再開発を認可し、景観基準の緩和を了解して建設した建物にあるマンションをあえて所有するだろうかと思いました。全国には1771人の都道府県知事・市区町村長がおられますが、ごく一部を除き、多くの首長は、利害関係者との関係では慎重に対応されているはずです。それは、いつなんどき、便宜を図ってもらったのではないかとの疑いをもたれかねないからです。職員の任命権者である市長には、職員以上に高い倫理観が求められます。少しでも疑いの持たれるようなことは、本来避けて通るべきです。李下に冠を正さず、君子危うきに近寄らず、こういう格言をしかと胸にとどめて市政にあたるべきではないかと思います。
 新型コロナ禍のもとで、多くの市民がその日の暮らしにも不安を感じるような毎日を過ごしているとき、市長や職員、そして私たち議員、それぞれに市民のために働く場を与えられたものは、真摯な気持ちで、謙虚にあるべきではないかと思います。
 
 最後に一つ要望いたします。
 今、テレビでも放映され、人気を呼んでいる番組、「駅ピアノ」「街角ピアノ」は、YOUTUBEなどでも繰り返し再生されています。公共の場に置かれた、誰でもが自由に弾ける1台のピアノが、街を魅力的にしていると思います。市民の方から「熊本の街にも駅ピアノ、街角ピアノがあったらいいですね」という声が届けられました。サクラマチには、置かれているということですが、現在、新型コロナで引っ込めてあるそうです。新型コロナが収まった後には、是非、各駅での設置も含め、場所も検討して、一般家庭にはなかなか置けないグランドピアノをおいていただけると嬉しく思いますので、要望しておきます。
 
 新型コロナ感染症が、1日も早く終息に向かい、すべての市民が安心して、健康に暮らしていける熊本市となるように、私も引き続き力を尽くしていきたいと思います。その決意を述べて、質問を終わります。
 コロナ禍の中、あいにくのお天気にもかかわらず、傍聴に足を運んでいただいたみなさま、インターネット中継でご覧いただいたみなさまに感謝を申し上げます。ありがとうございました。

2020年5月臨時議会

・2020年5月21日・コロナ関係臨時議会・質疑 上野 みえこ
 ダウンロードはこちら(PDFファイル 420KB)
・2020年5月臨時議会・補正予算討論 上野 みえこ
 ダウンロードはこちら(PDFファイル 351KB)

2020年3月議会

・「教職員の働き方改革」条例改正反対討論ダウンロードはこちら(PDFファイル 237KB)
・「基本構想・基本計画の見直し」反対討論 上野 みえこ
 ダウンロードはこちら(PDFファイル 300KB)
・「新型コロナ感染症補正」討論 上野 みえこ
 ダウンロードはこちら(PDFファイル 265KB)
・「基本構想・基本計画の見直し」質疑 上野 みえこ
 ダウンロードはこちら(PDFファイル 285KB)
・3月16日 総括質疑「新型コロナ感染症」 上野 みえこ
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・3月23日 しめくくり質疑 上野 みえこ
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・最終日 当初予算の討論 那須円
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