熊本県後期高齢者医療広域連合議会 2018年

2018年10月熊本県後期高齢者医療広域連合議会・一般質問

2018年10月26日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル351KB)

 一般質問を行います。
 はじめに、熊本地震に係る災害減免の復活について伺います。
 第1に、熊本地震の発災から2年半が経ちました。熊本県下で、死者270名、2700人を超える重軽症者の人的被害、及び20万世帯近い住宅被害を出すという未曽有の被害からの復旧は、まだまだ道半ばです。9月末現在で、プレハブ仮設・みなし仮設の入居は、10843世帯、24580人となっており、住いの復旧に様々な困難を抱えておられると思います。自宅生活ではあっても、まだまだ復旧に困難を抱える人は多数いらっしゃいます。発災から2年を経た今の、被災者の暮らしの実態や、復興状況についてどのように認識されていますのでしょうか。
 第2に、災害減免が廃止された昨年10月以降の被災者の受診状況について、多方面から様々な報告がなされていますが、どのように把握されていますでしょうか。具体的にご説明ください。
 第3に、今後、災害減免を復活した場合、1年間に必要となる費用はどの程度と試算されますか。
 第4に、25000人近い人たちが未だ仮住まいをなされている状況を見るならば、災害減免については、是非復活すべきではないかと思いますが、今後の復活についての考えをお尋ねいたします。
 1点目と4点目は連合長に、2点目・3点目は事務局長に伺います。
 
 (答弁)
 
 被災者の受診状況では、レセプト件数のみご紹介されましたが、この間マスコミでも、地震の影響による受診抑制の状況は様々に報道されています。討論では、熊本県保険医協会のアンケート結果を紹介しましたが、医療関係者主催の学習会では、益城町の医師より、地震発生後は、地域住民はもちろん、医療機関の被災により医療の提供体制が変わることや、避難所・仮設への入居など、被災者の住環境も変化し、精神的・肉体的ストレスが高まることによって、健康だった人でも体調を壊す、慢性疾患患者は継続治療が難しく病状が悪化するなど、地震によって被災者の健康が阻害されている様子が報告されていました。そして、医療費の減免・免除が被災者の健康管理に大きく貢献し、中止によって、復興道半ばで被災者が倒れてしまうと指摘されていました。阪神大震災でも、震災後のストレスの多い生活環境によって、仮設住宅の住民に高血圧・糖尿病・狭心症・心筋梗塞・腰痛症など、様々な疾病の発症率が上がる一方で、病院が遠い、自己負担が重い、医療費減免打ち切りなどを理由に診療を中断した人が3割もいたとの報告がありました。それぞれ、医療の現場にいる方々が、切実に、震災後の医療支援の重要性を述べられていました。
 このような現場の実態こそしっかりとつかんで、被災者の立場に立った支援を実施すべきです。連合長は、医療費免除を復活すれば、被保険者の保険料に9億円影響すると答弁されましたが、広域連合の医療給付に係る特別会計の決算剰余金115億円のわずか6%程度でできることです。病気を抱え、復旧に取り組む被災者に冷たいと思います。被災者の立場に立ち、一部負担金減免を是非復活していただくよう要望いたします。
 
 引き続き、保険料ならびに医療費の一部負担金減免についてお尋ねいたします。
 第1に、「熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例」第19条では「保険料の減免」を定めています。また、医療費の一部負担金減免は要綱に定められています。条例に基づく保険料減免ならびに、要綱に基づく一部負担金減免・免除の必要性について考えを伺います。
 第2に、熊本地震を除く減免の実施状況について、過去3年間の事由別件数・減免額をご説明ください。条例第19条7項の「特別な事情」による減免実績は、どのようになっていますか。また、要綱による一部負担金の減免免除実績について、過去3年間の件数・金額をお示しください。
 第3に、条例や要綱に規定された減免・免除については、適切に実施されるべきであると思います。そのためにも、
 ?保険料減免については、要綱に定められた減免の基準を見直していくべきではないでしょうか。特に、条例の6項では、「生活困窮により、公の扶助を受けたこと」を減免対象としています。しかし、生活保護基準以下の収入で生活する世帯については、減免の対象となっていません。生活保護基準以下の収入の世帯についても、条例の7項に規定される「その他広域連合長が認める特別の事情」に位置付けて減免を実施すべきではないでしょうか。
 ?医療費一部負担金の減免免除についても、適切に運用されるように、基準生活費の1・2倍となっている対象範囲を引上げ、1・3倍ないし1・5倍に、あるいは住民税非課税世帯を対象とするなど、要件の緩和を行うべきではないでしょうか。
 ?適切な減免制度実施のためにも、減免制度の周知をきちんと行っていくべきではないかと思いますが、現状と今後の取り組みについて伺います。
 1点目と2点目は事務局長に、3点目は連合長に伺います。
 
 (答弁)
 
 医療費の一部負担金減免は、過去3年間全く実績がないということです。制度がありながら、全く利用されていないというのは、まずもって問題です。広域連合で作成したパンフレットや市町村による説明等での周知が行われているようですが、市町村段階へ周知しても、具体的な内容が被保険者である一人一人の高齢者やその家族に届かなければ、利用はすすまないと思います。私のいる熊本市でも、周知が十分に届いている状況にはないと思います。後期高齢者医療の場合、運営主体である広域連合が直接被保険者にアクセスするわけではなく、間に窓口となる市町村が入ります。よほど丁寧に状況を確認しなければ、被保険者にまで情報が届きません。特に、対象が75歳以上の高齢者ですから、より丁寧に伝えなければ正確な制度の理解も難しいのではないでしょうか。減免内容では、国の要旨に基づき運用していると言われましたが、後期高齢者医療制度は自治事務です。運用している特別地方公共団体としての広域連合が、住民の立場に立ち、被保険者の実情に即して運用していくべきです。全く運用されていないような制度設計については、内容を検証し、しかるべき運用がなされるような改善こそ必要です。
 貧困、生活困窮が社会の大きな問題になっている昨今、この一部負担金減免制度の必要性は増しているのではないかと思います。次年度は、利用実績はありませんということがないよう、制度の周知と利活用の促進をお願いいたします。
 保険料についても、特別徴収の人には有無を射言わさず年金から天引きし、低年金の普通徴収の人には払えなければ厳しいペナルティを科すのですから、その前に払える保険料でなくてはなりません。収入の金額だけでなく、それぞれの高齢者の状況から、支払い困難という状況も生まれてきます。そうした状況を考慮できるような、減免制度の適切な運用が必要だと思います。
 また、今回質問して気づいた点として、広域連合では、条例・規則はホームページに掲載されていますが、要綱は載っていません。適切な制度運用には要綱の内容を把握することも大切だと思いますので、是非要綱も含めてホームページに掲載していただくようお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

2018年10月熊本県後期高齢者医療広域連合議会・「特別会計決算」討論

2018年10月26日  上野 みえこ  討論の内容はこちら(PDFファイル315KB)

議第17号「平成29年度熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について」、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
 昨年度は、未曽有の被害を生んだ熊本地震の発生から2年目の年でした。仮設・みなし仮設入居者も多く、長期化する復旧に、1日も早く元の生活が取り戻せるようにと、本格的な住いや生業の再建が求められた1年でした。
 第1は、長引く熊本地震復旧に多くの被災者が、心身ともに疲れ、医療的なケアの必要性が高い中、9月末に被災者への医療費減免制度が打ち切られました。熊本県保険医協会が行った医師へのアンケートでは、46%の医師が制度終了後に受診抑制があると回答しました。私ども日本共産党市議団が行ったアンケートにも、減免打ち切りによる受診抑制の実態が多数寄せられました。「大規模半壊で家の建てかえに蓄えを使い果たし、生活が厳しくなった。難病の持病があるが、医療費が高額なために、医療費減免終了後は従来どおりの受診はできていない」このような声を聞くと、早々に被災者への医療費減免を打ち切ったことは誤りであったと思わざるを得ません。仮設住宅自治会等からは、減免復活を求める要望が県へ提出されています。被災者の声に応え、後期高齢者医療広域連合としても、是非復活していただくよう要望致します。
 第2に、保険料負担の問題です。特別会計の決算は、制度開始以来9年間、毎年黒字です。昨年度2017年度の決算剰余金は115億5500万円で、ここ数年130億円から150億円もの黒字を計上しています。一方で、この10年間に3回もの保険料改定が行われました。昨年度は料率改定こそなかったものの、質疑で指摘しましたように、制度開始以来行われてきた軽減特例の見直しによって3億8000万円もの保険料の負担増となりました。年金天引きの特別徴収で未納は発生しませんが、低年金の普通徴収の人に短期保険証を発行するなどのペナルティが課されていることは問題です。ペナルティの中止をお願いしておきます。また、払える保険料にするためには、毎年100億円を超えている決算剰余金を被保険者に還元し、保険料負担を軽減すべきです。実施を要望いたします。
 また、前年の決算でも指摘しましたように、保険料の減免も、今のままではほとんど運用されません。適切に運用されていくよう、要綱の見直しをお願いしておきます。
 合わせて、高確法第69条及び高確法施行規則第33条の規定に基づき行われる医療費の一部負担金減免・免除については、過去3年間全く運用実績がないとのことです。適用の要件を見直し、医療費の支払いに困難を持つ方々へ適切に運用されていくよう、改善を要望しておきます。
 第3に、保健事業費の執行率は89・4%と、前年度に比べ6・9ポイント上がりました。しかし、健康診査で14・75%、口腔健康審査で1・3%という受診率は改善が必要です。健康診査では、被保険者が一番多い熊本市の県下最低の受診率7・36%の改善が必要です。早期発見早期治療は医療費低減にも繋がります。受診率向上のため、熊本市長である連合長の特段のご努力をお願いしておきます。
 最後に、被保険者・保険者ともに、医療費の軽減となるジェネリック医薬品の利用促進もお願いしておきます。
 今後、さらに高齢化が進む中で、後期高齢者医療制度は、ますます矛盾が大きくなるものと思われます。すべての高齢者が生涯安心できる医療保障のために、被保険者の立場に立った抜本的な制度改善や広域連合への財政支援拡充等など、国へもしっかりと要望していただくようお願いして、討論と致します。

2018年10月熊本県後期高齢者医療広域連合議会・「条例の一部改正」反対討論

2018年10月26日  上野 みえこ  討論の内容はこちら(PDFファイル292KB)

議題15号・専決処分の報告及び承認について、「熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例の制定」について、その問題点を指摘し、反対討論を行います。
 今回の「熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例」の一部改正は、「高齢者の医療の確保に関する法律施行令」が改正されたことに伴い、条例の一部を改正するものです。
 今回の条例改正のもとになっている高確法施行令改正の1点目は、高額療養費の払い戻しの基準となる自己負担限度額を、現行で、医療費3割負担の現役並み所得者すべてについて、外来57600円、入院のある場合80100円に(総医療費マイナス267000円)の1%を加えた額となっているものを、住民税課税所得145万円以上、住民税課税所得380万円以上、住民課税所得690万円以上という3段階に分け、そのうち「住民税課税所得380万円以上」と、「住民課税所得690万円以上」の2つの段階については、自己負担限度額を大幅に引き上げるものです。合わせて、医療費1割負担の被保険者のうち、負担区分が一般世帯で自己負担限度額が月額14000円の人を、月額18000円へと引き上げるものです。いずれも、高額な医療が必要となった場合に、いわば症状の重い患者に対して、多大な負担増を求めるものです。
 改正内容の2点目は、高額介護合算療養費の自己負担限度額の変更ですが、こちらも医療費負担が3割の現役並み所得者を、住民税課税所得145万円以上、住民税課税所得380万円以上、住民課税所得690万円以上という3段階に分け、そのうち「住民税課税所得380万円以上」と、「住民課税所得690万円以上」の2つの段階については、自己負担限度額を大幅に引き上げるものです。
 後期高齢者医療における高額療養費ならびに高額介護合算療養費、いずれの内容の変更も、今年8月から実施されて、75歳以上の後期高齢者に大きな負担増を押し付けるものとなっています。
 また、1年前の2017年8月からは、70歳以上の高齢者の高額療養費に係る自己負担限度額が変更され、年収156万円から約370万円の一般世帯と、年収約370万円以上の現役並み所得の人の自己負担が大幅に引き上げられました。昨年、今年と、相次ぎ行われている、これらの負担増は、高齢者をターゲットにした大幅な負担増であり、長年社会に貢献されてきた方々に対するひどい仕打ちとしか言いようがありません。
 「高齢者の医療の確保に関する法律」第1条目的においては、「国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図る」ということが謳われていますが、今回の施行令改正は、高齢者福祉増進とは裏腹に、高齢者に大きな負担を求め、いのち・くらしを追い詰めるものとなっています。
 こういう施行令の改正をもとにした今回の条例改正案には、賛成できません。
 後期高齢者医療制度そのものが、「姥捨て山」と批判され、75歳になったとたんに、それまで加入していた医療保険から追い出し、75歳以上の高齢者で構成する医療保険へと強制的に加入させ、高い保険料を取り立てるというる制度であること自体が大きな問題でもあります。後期高齢者医療制度という医療保険が、社会保障制度のひとつとして、真に安心の医療を、国と自治体の責任で、すべての高齢者に、生涯にわたり提供できる制度となるよう、今後制度の改善に鋭意取り組んでいただくようお願いして、反対討論を終わります。

2018年10月熊本県後期高齢者医療広域連合議会・議案質疑「特別会計決算」

2018年10月26日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル299KB)

 議第17号「平成29年度熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について」、保険料に関し、質疑を行います。
 第1に、昨年度は、これまで行われてきた保険料に係る国の特例軽減措置が段階的に見直されていく最初の年度でした。この見直しによって、多くの高齢者が保険料の負担増となりました。軽減特例見直しによるこの年度の保険料負担増の総額と、対象人数をお示しください。
 また、引き続き行われた見直しによる今年度の負担増総額と対象人数を、合わせてご説明ください。
 第2に、軽減特例見直しによる高齢者の負担増について、どのように感じておられるでしょうか。
 1点目は事務局長に、2点目は連合長に伺います。
 
 (答弁)
 
 連合長は、「負担能力に応じた保険料を算定している」といわれましたが、2008年度から始まった後期高齢者医療制度は、75歳になったとたんに、高齢者をそれまで加入していた医療保険から切り離し、75歳以上の高齢者を被保険者とする別建ての医療保険へ強制的に加入させる制度で、この制度の施行によって多くの高齢者が多大な負担を強いられることになりました。このように、年齢で区別した保険に加入させられるような制度は、世界にも例がなく、「姥捨て山」との批判の中で、2008年度の制度開始にあたり、激変緩和措置を行わざるを得ませんでした。激変緩和措置を行わなければ、この制度をスタートすることができなかったところに、後期高齢者医療制度の大きな問題点があります。一番の矛盾が、それまで家族が加入する健康保険の扶養者なってきたお年寄りが、突然に被保険者本人となって、ゼロだった保険料が年間何万円も払わなければならなくなったことです。合わせて、低所得者への軽減措置が講じられました。しかし、このような特例措置を行ってもなお、低年金者や無年金者などの低所得の高齢者にとっては、医療費の自己負担や介護保険の負担と相まって、保険料負担はたいへん重いものです。その状況は変わっておらず、10年経ったから激変緩和措置を段階的になくすということには、何の道理もありません。むしろ、この10年間、年金制度改悪で受け取る年金は減っています。年金の減った高齢者に、激変緩和措置をなくし、保険料負担を重くすることこそ、問題です。答弁にありましたように、軽減特例の段階的見直しで、昨年度3億8000万円の負担増、今年度も総額約3億円の負担増です。そして、次年度以降も毎年数億円の負担増が続く軽減特例見直しが、高齢者に大きな痛みであることを感じるべきです。昨年度は、保険料が何倍にも上がったという電話が、私どもにも相次ぎ寄せられ、対応に苦慮しましたが、一部の人だからいいではないかという連合長の受け止めは、あまりに無神経なように思います。負担の重い保険料が払えず、さまざまな制裁を受けている高齢者の実態を見るならば、保険料負担は軽減すべきです。
 年金が減り続ける中で、医療費負担が増え、介護保険料も3年ごとに引き上げられています。後期高齢者医療の保険料負担に高齢者が悲鳴を上げるのも当然です。報告にありますように、熊本県後期高齢者医療広域連合の特別会計決算は、毎年黒字を続けています。多額の黒字を被保険者の負担軽減に活用し、保険料の引き下げを実施すべきではないでしょうか。
 連合長に伺います。
 
 (答弁)
 
  「保険料を引き下げれば、現役世代の負担が増えるので、引き下げは難しい」といわれますが、現役世代に新たに負担を求めているのではなく、115億5500万円に上る決算剰余金、黒字分を保険料の負担軽減に充てるべきだと申し上げている訳です。負担能力のない低所得者に保険料負担を課す制度矛盾が拡大させ、高齢者を必要な医療から遠ざけるこの制度の問題点を改善するためにも、保険料負担を軽減していただくようお願いして、質疑を終わります。

議題6号平成30年度熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計予算

2018年2月13日・後期高齢者医療広域連合議会・議案質疑 上野 美恵子

2018年2月13日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル264KB)

 議題6号「平成30年度熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計予算」について質疑を行います。
 はじめに、熊本地震被災者への保険料ならびに一部負担金の減免復活についてです。
 1、熊本地震の発生から1年9か月以上がたちました。しかし、未だ多くの人が住いの再建もできず仮住いで、精神的にも肉体的にも、多くの困難を抱え生活されています。医療分野での支援であった医療保険の保険料ならびに一部負担金の免除が昨年9月で打ち切られました。1月13日の地元紙では、免除制度が打ち切られた後の被災者の状況について、県保険医協会が会員医師に行ったアンケート調査の結果が紹介されていました。回答した333人の医師のうち、受診を控える患者がいると答えた医師が46%に上っていました。免除打ち切りで、医療現場での受診抑制が起こっていることについて、広域連合長はどのようにお考えでしょうか。
 2、免除再開について、「必要だと思う」という回答が57%に上っていました。保険医協会会長も、やり方については検討が必要としながらも、医療費免除の再開を検討してほしいとコメントされていました。東日本大震災では、岩手県内すべての自治体が今でも医療費減免を継続しています。いったん支援を打ち切った宮城県でも、気仙沼市のように医療費減免を継続している自治体もあります。減免を打ち切れば、受診抑制が起こることは指摘されてきたことではありますが、今回熊本でも保険医協会の調査によりはっきりと示された訳ですから、後期高齢者医療広域連合としても、ぜひ予算化して、減免を復活させていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 以上2点、広域連合長に伺います。
 
 (答弁)
 
 被災者の皆様の置かれている状況は、私の方から言うまでもなく、連合長ご自身がよくご存知と思いますので、今回お尋ねいたしました保険料や一部負担金の減免復活は、今後ぜひご検討いただきますよう、お願いしておきます。
 
 続いて、予算化されている種々の契約業務のあり方について伺います。
 1、過去にわたる契約状況の資料を見ましたが、今年度執行した27件の契約のうち、一般競争入札、あるいは随意契約と、契約方法に違いがあっても、毎年同一の相手先との契約になっているものが16件ありました。競争性のある契約業務の実施という点での、広域連合の取り組みをご説明ください。
 2、昨年度の契約25件のうち4件が入札で、その中には1社応札の契約もありました。1社のみの場合、再公告などの措置はとられているのでしょうか。また、1社応札とならないための工夫も必要と考えますが、いかがでしょうか。
 3、広域連合の契約は、大部分が随意契約です。1号随契・2号随契・5号随契・6号随契と、様々な理由での随意契約ですが、地方公共団体の契約は、一般競争入札が原則です。この原則に立った契約となるような努力はどのようになされているのでしょうか。
 4、随意契約のうち、1号随契が5件あります。合い見積もりはされたのでしょうか。その場合、他の事業者も参加できるような配慮はなされているのでしょうか。
 以上4点、事務局長にお願いいたします。
 
 (答弁)
 
 広域連合事務局内部で契約についてチェックできる「契約事務調整会」が昨年8月につくられたことはよかったと思います。
 広域連合の場合、契約数はそんなに多くありませんが、ほとんどが委託契約で、圧倒的に随意契約が多くなっています。1号随契では、ほとんどの事業で3社見積もりを取っていますが、それでも同一事業者が契約しており、検討が必要だと思われます。熊本市の場合は、金額が少なく1号随契でもよい事案でも、安易に随意契約とせず入札しているものもありますので、検討をお願いしておきます。
 以上で、質疑を終わります。

議第8号「熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例の制定について」反対討論

2018年2月13日・後期高齢者医療広域連合議会・議案質疑 上野 美恵子

2018年2月13日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル218KB)

 熊本市議会議員の上野美恵子です。
 議第8号「熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例の制定について」問題点を指摘し、反対討論を行います。
 今回の条例案で保険料算定にかかわってくる点は、保険料率、均等割保険料の軽減対象拡大、賦課限度額の見直しの3つがあります。
 保険料率は、薬価・材料費等に係る診療報酬のマイナス改定の影響等で医療給付費が抑えられたこともあり、平成30年度・平成31年度は据置きとなりました。また、所得要件の変更による均等割保険料の軽減対象拡大では、5割軽減世帯500人、2割軽減世帯455人に軽減が拡大され、総額で約1170万円の保険料軽減となります。
 一方で、今年度より始まった段階的な特例軽減見直しの影響で保険料負担が引き上げられます。昨年2月の条例改正で、今年度・平成29年度は、9割軽減の対象であった方が7割軽減になって総額3億8300万、ひとり7251円の負担増となりました。これが、平成30年度からは、さらに5割軽減となるために、総額2億8800万、一人6570円の負担増となります。
 さらに、今回の条例改正による賦課限度額の見直しで、限度額が57万円から62万円へと5万円も引き上げられるために、2500人を対象に保険料が上がることになります。そのうち、2300人は5万円の負担増となり、残った200人が100円から49900円の引き上げとなります。低所得者も、課税所得者も、幅広く保険料の負担増を求めるというのが、今回の条例改定の内容です。これらの内容を合わせ、保険料額は一人年間約2,500円の負担 増となる見通しです。
 しかも、今回条例改正に合わせて説明を受けました保険料改定の説明資料では、中期見通しに立った今後の保険料見通しで、今回を上回る大幅な保険料の負担増が予測されています。仮に、一人当たりの保険料増加分を 4分の3に押さえるために、剰余金や財政安定化基金から20億円を充当したとしても、2020年度・2021年度の保険料は、一人年間約6,700円の負担増と予測されています。先にも述べましたように、2017年4月からの軽減特例見直しで、今でも保険料負担は大幅に増えています。それが、将来的には、さらに大幅引き上げとなったら、高齢者の日々の暮らしはどうなっていくでしょうか。
 ほとんどの高齢者の暮らしの糧である年金は、今年度、昨年4月から物価変動率のマイナスによって、支給額が0・1%のマイナス、3年ぶりのマイナス改定となりました。次年度は、2016年に成立した年金カット法によって、マクロ経済スライドのキャリーオーバーが導入される予定なので、繰り越して年金を抑制していく仕組みも加わります。将来的には、賃金マイナススライドの導入により、物価と賃金、どちらが下がっても年金が引き下げられていくというのですから、高齢者の暮らしは先細るばかりです。そういう中で、負担の重い保険料をこれ以上引き上げるべきではありません。
 しかも、医療保険料ばかりではなく、医療費そのものも上がる見通しです。また、次年度は介護保険の事業計画見直しの年度となりますが、介護保険料も値上げです。
 高齢者を取り巻く今の状況を考えるならば、健康で長生きすることを応援するような後期高齢者医療保険の制度設計こそ必要であると考えます。そういう意味で、次年度も、そして将来的にも高齢者に大きな負担増もたらす今回の条例改正には賛成できません。
 国に対しても、大幅な国庫負担の増額と高齢者の立場に立った制度の見直しを求めていただくようお願いいたしまして、討論を終わります。

「後期高齢者医療保険事業実施計画(案)について」

2018年2月13日・後期高齢者医療広域連合議会・一般質問 上野 美恵子

2018年2月13日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル312KB)

 発言通告に沿って、一般質問を行います。
 今回は、現在策定中の「第2次熊本県後期高齢者医療保健事業実施計画」(案)、データヘルス計画案について伺います。
 初めに、計画策定のすすめ方、ならびに計画の周知・徹底と活用についてです。
 1、計画策定にあたり、住民の意見はどのように反映されているのでしょうか。パブリックコメント実施の有無と、その理由についてご説明ください。
 2、計画策定では、外部委託が行われていますが、それは一部・全部どちらでしょうか。また、どのような考え方で委託されているのでしょうか。
 3、策定の過程で議会への中間報告を行い、意見聴取を実施すべきではないでしょうか。
 4、策定した計画の周知・広報、活用の方法と考え方についてご説明ください。
 以上4点、事務局長にお尋ねいたします。
 
 (答弁)
 
 住民意見の反映では、これまでなかったパブリックコメントを今後実施していただくことなど、前向きに取り組んでいただきますこと、大変うれしく思います。しかしながら、たとえば熊本市では、パブリックコメントへの意見が少ないこと、時にはほとんどないこともあり、形骸化している面もありますので、パブリックコメント実施の折には、自治体ごとに説明会を開くなどの工夫も必要かと思います。この計画は、答弁でも述べられましたように、今後6年間の後期高齢者医療広域連合としての果たすべき、そして目指すべき基本事項をまとめたものとなります。一人でも多くの方に目を通していただき、生きたものとして活用していただきたいと思います。
 議会への中間報告と意見聴取につきましても、今後改善していただくとのことですが、その際、問題点をよりわかりやすく整理していくためにも、ぜひ活用してほしいのが、計画策定にあたって、委託事業者へ委託内容の一つとなっている「現状分析」の内容をお示しいただきたいと思います。今回の計画策定でも、広域連合から委託事業者に対し、詳細な各種データを渡し、現状分析がなされているようですが、残念なことに、その内容は、成果物である「計画(案)」に反映されているという説明だけで、現状分析の内容そのものは見ることができません。次回の策定からは、議会はもちろんのこと、計画案について意見交換する運営協議会など、各種論議の場に、基礎統計、高額レセプトの疾病傾向分析、疾病別医療費統計、人工透析・糖尿病に関する分析、多受診患者に関する分析、ジェネリック医薬品に関する分析、薬剤併用禁忌、健康支援訪問指導事業の分析等の委託した現状分析データが生かされ、丁寧な検討がなされることを要望しておきます。
 また、策定での業務委託は、全部委託とのことです。広域連合が構成市町村の職員によって構成された事務局体制で、人員も限られ、すべてを自前でという訳にはいかないことは承知していますが、厚生労働省は、「データヘルス計画の策定の手引き」の中で、「委託事業者の活用時の留意点」の項目を設け、外部委託の考え方について述べています。その冒頭部分では、「保健事業の計画作成から事業実施に至るまで、本来は健保組合が自ら加入者全体の健康の保持・増進を目指して行うことが望ましいのですが」と書かれています。一方で、「健保組合のスタッフ数が限られ、事業すべてを担うのは容易なことではない」と、外部委託に頼らざるを得ない事情を認めています。そこで、「ただし、外部委託する場合でも、すべて事業者任せにせず、現状分析の結果や事業目的を共有し、健保組合が保健事業の主体として事業の進捗や質を管理する必要がある」と述べています。このことを踏まえるならば、現状分析データを活用した広域連合内での詳細な検討は一層重要なものと思われます。
 さらに、この計画策定の委託事業は、2号随契になっています。しかし、データヘルス計画策定は、全国で行われており、策定の知識も、ノウハウも持ち合わせている事業者は、多数あると思われます。議案質疑でも指摘しましたように、契約の原則に則り、競いあって手を挙げていただいた方が、よりよい計画策定になるのではないでしょうか。この点でも、熊本市では、各種事業計画策定にあたり、「高齢者福祉計画・介護保険事業計画」「次世代育成支援行動計画」などは自前で作成していますが、委託の場合でも、特別の事情がない場合は入札を行っています。
 いずれにいたしましても、広域連合が保健事業実施の主体としての立場で、計画を作成していかれますこと、お願いしておきます。
 
 続いて、保健事業の推進ならびに、健康診査受診率の向上について伺います。
 1、今回の計画案で新たに加えられた「糖尿病性腎症患者の重症化予防事業」については、運営協議会の中で、「平成32年度に1市町村、平成35年度に2市町村」という年度目標が設定されていたのに対し、見直しを求める意見が出され、現行の案では「平成32年度に2市町村、平成35年度に5市町村」と見直されました。その検討状況と、内容の根拠についてご説明ください。また、人口透析の新規導入患者数を資料として入れてほしいという要望がなされていましたが、その検討内容、結果についてもご説明ください。
 2、健康診査の受診率については、「事業協議会の給付分科会」において、熊本県は、全国でも、九州でも低いので、積極的な内容とするよう指摘されていました。今回の計画案では、平成35年度目標値を、健康診査で17%、歯科口腔検診で1・7%と設定されています。設定にあたっての考え方をご説明ください。
 また、指摘の点を踏まえるならば、目標値は大幅に引き上げるべきではないでしょうか。
 3、広域連合と各市町村が連携・協力しながら実施していく講演会や、健康教育・健康相談、人間ドック助成などは、わずかな市町村での実施という目標設定になっています。疾病の早期発見・早期治療はもちろん、病気を予防し健康な生活を送るためにも大切な事業なので、目標をもっと引き上げるべきではないでしょうか。
 以上3点、事務局長に伺います。
 
 (答弁)
 
 答弁にありましたように、第1次計画に比べれば、健康事業、健康診査、それぞれに目標値は引き上げられています。しかしながら、医科の健康診査で17%、歯科口腔健診で1・7%という平成35年度目標値は、特定検診の受診目標と比べても、桁違いと思えるくらいに低く、早期発見・重症化予防等に本気になって取り組むという姿勢は見えません。
 広域連合が実施する健康事業や、人間ドック助成などの各市町村実施事業への助成なども、目標は極めて低く、目標値の多い人間ドック助成でも、県下45市町村のわずか「3分の1」にしかならない15市町村が目標です。構成市町村の事情がそれぞれに違うために、目標値の設定、また引き上げというのは大変難しい面があることもわかりますが、今回示されている目標値では、事業の目的・目標に掲げられた効果を得ることは難しいのではないでしょうか。
 先ほど紹介しました厚生労働省の「データヘルス計画の策定の手引き」では、「健康づくりの意義」について、「健康保険組合における健康づくりの取組み、すなわち保健事業は、被保険者等の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない」と述べられています。そういう立場で、ふさわしい目標値設定を要望致しまして、一般質問を終わります。

後期高齢者医療広域連合議会の運営改善に関する申し入れ

 2018年1月10日
 熊本県後期高齢者医療広域連合議会議長  澤田 昌作 様
 
 熊本県後期高齢者医療広域連合議会議員
 上野 美恵子
 児玉 智博
  国後期高齢者医療広域連合議会の運営改善に関する申し入れ(PDFファイル 146KB)

 後期高齢者医療制度が実施されて10年が経とうとしています。75歳になったとたん、それまで加入していた医療保険制度から切り離し、「後期高齢者医療保険制度」という別建ての医療保険制度に加入させるような制度は、世界に例を見ないものです。被保険者の中には、それまで子どもの医療保険制度の被扶養者となり、保険料負担のなかった人もおり、他の国々と比べても少ない年金額で生活する高齢者も多く、どんなに生活の苦しい人であっても、すべての高齢者から保険料を徴収する「後期高齢者医療保険制度」は、高齢者にとって、たいへん負担の重い制度です。昨年4月からは、この間実施されてきた保険料の軽減措置が外され、保険料負担はますます重いものとなっています。
 高齢化率がどんどん上昇し、超高齢化の時代を迎え、老後の安心は、社会の大きな課題になっています。長年、社会の発展に貢献されてきた高齢者の方々が75歳を迎えても、長い人生を安心して暮らしていけるよう、あらゆる社会保障制度の充実が求められています。とりわけ、制度実施から、その問題点が指摘されてきた「後期高齢者医療保険制度」においては、被保険者の立場に立った制度の運用が強く求められており、後期高齢者医療広域連合議会の果たす役割は極めて大きいものと考えます。
 県下各市町村の首長・議員で構成される広域連合議会が活発に議論を交わし、高齢者の立場に立った制度運用がなされることが求められていると考えます。
 よって、以下の点について後期高齢者医療広域連合議会の運営改善について要望いたします。
 
 1、議会活動の公正性及び透明性を確保し、県民に開かれた議会とするためにも、「後期高齢者医療広域連合議会会議規則」に「会議等の公開」を明記し、全員協議会も含め会議等を原則公開とし、会議等で使用した資料も積極的に公開すること。合わせて、市民が傍聴しやすい環境の整備に努めること。
 
 2、言論の府である議会において、議員の意思表示・意見表明の権利を確保し、活発な論議の場とするためにも、「後期高齢者医療広域連合議会会議規則」に定められた「動議」提出の賛同者数は、「1名以上」に改めること。
 
 3、議会の論議を活発にし、深めるために、以下の点について「広域連合議会申し合わせ事項」を見直すこと
 @ 一般質問の「10分以内」を見直し、十分な時間を保障すること。また、一問一答方式で3回の制限をなくすこと。
 A 質疑についても、「5分以内」の時間制限と、「質問回数3回以内」の回数制限を見直し、一問一答方式で、十分な質疑の時間を保障すること。
 B 討論について、「5分以内」の時間制限をなくすこと
 C 請願・陳情については、「定例会開催日の14日前」に受理したものを当該定例会において協議するとしているが、「議会開催日の3日前」までとすること。あわせて、請願・陳情は、ともに住民が議会に対して意見や要望を述べる大切な制度です。よって、請願・陳情ともに、取り扱いは「本会議」とすること。
 
 4、県後期高齢者医療広域連合の特別職及び議員、ともに専従者ではないために、その報酬は「年額」でなく、職務に従事した日の「日額」計算とすること。
 以上

連絡先

・日本共産党熊本市議団 熊本市中央区手取本町1−1 議会棟3階
電話 328−2656   FAX 359−5047
メール: kumamsu@gamma.ocn.ne.jp
ホームページ https://www.jcp-kumamoto.com/