熊本県後期高齢者医療広域連合議会 2017年

くまもと後期高齢者医療広域連合議会新着情報

「地震減免の復活・保険料軽減特例見直しによる負担増への対応」について

2017年11月・後期高齢者医療広域連合議会一般質問 上野 美恵子

2017年11月6日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル308KB)

 まず初めに、9月をもって打ち切られた熊本地震にかかる保険料・医療費一部負担金減免についてお尋ねいたします。
 未曽有の被害をもたらした熊本地震の発災から1年半以上が経過しました。県下で約4万5000世帯が、仮設住宅やみなし仮設住宅等も含め、避難生活を送られているとの報道もありました。多くの被災者が住宅再建や生活再建への道筋が立たないまま、将来に大きな不安を抱きながら暮らしています。そういう状況の中で、医療の保険料や一部負担金の減免制度は、その暮らしと健康を維持するための大切な制度として、大きな役割を果たしてきました。そこで、伺います。
 1、熊本地震の被災による高齢者の体調や持病の悪化等の状況についてどのように把握されているでしょうか。
 2、熊本地震にかかる保険料および医療費の一部負担金の減免を9月で打ち切ることで、被災した高齢者の健康にどのような影響が出てくるのかについての検討はされたのでしょうか。その検討状況と考えられる影響の内容についてご説明ください。
 3、9月までで取りやめとなった熊本地震にかかる保険料および医療費の一部負担金の減免を10月以降の半年間延長した場合に必要なる費用はいくらでしょうか。
 4、被災者の暮らしや健康の実態を踏まえ、廃止した保険料および医療費の一部負担金の減免を復活させていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 
 1点目、2点目、4点目は広域連合長に、3点目は事務局長に伺います。
 
 (答弁)
 
 被災者の方々の健康状態の把握については、仮設住宅等への訪問や入居者見守りが実施されているとの答弁ですが、広域連合として積極的に取り組んでいるということではありません。
 東日本大震災では、国補助が8割に減額された時点で制度を打ち切った県もありましたが、岩手県では、県と市町村との連携で医療費分の減免が継続・延長され、現在に至っています。
 災害が発生すれば、精神的なストレスや環境の変化・悪化などが健康状態に大きく影響します。それが持病の悪化や新たな病気への罹患など、健康被害をもたらします。一方で、災害からの復旧に多額の費用が必要となるために、経済的な理由から症状が軽ければ受診を控えるなどの状況も生まれます。重症化を防ぎ、適切な診療を受けるために、保険料や一部負担金の減免制度の果たす役割には大変大きいものがあります。実際、東日本大震災で減免制度を打ち切った宮城県では、通院を減らしたり、慢性疾患の治療が中断するなどの実態が明らかになりました。
 連合長は、「国の財政支援もなく、今後減免を半年延長した場合、保険料分と医療費分で23・5億円の費用が必要になる、広域連合としての独自の財源もない」と言われました。しかし、減免を延長する場合、その財源は、8割を国が財政的に支援する制度となります。残り2割が23・5億円で、この部分の財政負担をどうするのかが課題ですが、広域連合と各市町村で分担し合えば、負担は半分になります。決算にありますように、後期高齢者医療広域連合の会計は、ここ数年、毎年70億円を超える剰余金があります。その一部を活用すれば可能ではないでしょうか。また、各被災市町村には、基金が配分されているので、その一部を活用すれば、市町村としても復活は可能ではないかと思われます。東日本大震災の被災地でも、国の財政支援は同じく8割です。財源確保が難しいからできないというのであれば、東日本でも延長はできないはずです。
 東日本でも、いったん制度を打ち切った宮城県が世論に押され、限定的にではありますが、免除制度を復活させています。
 被災者のみなさんが、今後多額の費用を費やして住まいの再建等をすすめていかれる中で、健康に復興へと向かって歩んでいただくために、いったん打ち切りとなったとはいえ、本広域連合でも、保険料・医療費一部負担金減免を是非復活していただきたいと思います。せめて、東日本同様、医療費分でも減免を復活すべきではないでしょうか。強く要望いたします。
 
 つづいて、保険料軽減のための特例見直しによる負担増への対応についてお尋ねいたします。
 制度開始以来行われてきた保険料軽減のための特例措置が、今年度より段階的に見直され、被保険者の負担が増やされています。突然の負担増に、私どもの方にも、高齢者の方々から負担増に対する驚きや困惑の声が届けられています。
 そこで、伺います。
 1、保険料軽減のための特例見直しによる、一人一人の高齢者の負担増の状況の実態について、どのように把握されていますか。内容も含めて、ご説明ください。
 2、軽減措置廃止による負担増について、広域連合として負担軽減のための緩和策を実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 以上2点、広域連合長に伺います。
 
 (答弁)
 
 答弁にありましたように、所得割額の軽減、被用者保険の被扶養者であった被保険者に対する軽減の2つが見直されることとなりますが、今年度は、所得割額の軽減見直しによって、全体としての負担増は2億2000万円、一人当たり、年間7500円の負担増です。被用者保険の被扶養者であった被保険者に対する軽減の方が、1億4000万円の負担増で、対象となる人は一人当たり年間9600円の負担増となります。
 先日、党市議団に「保険料が5倍になりました」と、驚いて電話をされてきた方は、被用者保険の被扶養者の部分で9割軽減が7割軽減となり、年間9600円の負担増でしたが、4月から9月までの半年間が仮算定によって、半年間で2400円の支払いであったために、後半は12000円を払うことになり、2カ月で4000円という5倍もの保険料が請求されたというものでした。この方の場合、さらに次年度年間9600円もの負担が増え、年間保険料は1・7倍になり、さらに仮算定となれば、後半の保険料は今年度の1・4倍となります。被用者保険の被扶養者の見直しは、保険料を5倍に引き上げるもので、とんでもない負担増です。年金はどんどん減っていくのに、保険料が逆に引き上げられたら、高齢者から悲鳴が上がるのも当然です。
 答弁では、今回の見直しは、制度本来の姿に戻すものであるとのお答えでしたが、高齢化がすすめば何らかの医療行為が必要となってくるのは当然です。私の義母も90歳で家事全般をこなし、元気に暮らしていますが、高血圧の薬は欠かせません。後期高齢者医療保険というのは、そういう方々を一般の医療保険から切り離し、かかる医療費は加入者の負担にする、保険料が高くなる仕組みそのものが間違いです。
 これまで10年間、保険料の特例軽減で被保険者全体の55%が軽減対象となってきたのは、低所得・低年金の加入者が多いということであり、制度発足にあたり、特例軽減なしに制度が組めなかったこと自体が問題です。特例軽減がなくなれば、少ない人で2倍、9割軽減の人は5倍から10倍もの負担となることがわかっており、月64400円の年金収入の人は、年間5650円の保険料が、10倍の5万6500円に跳ね上がる計算です。このような実態を見れば、制度本来の保険料にするとは、簡単に言えないのではないでしょうか。
 制度の矛盾をなくすためには、国や自治体に財源の補てんを求め、負担軽減を継続していくことが必要です。他県の様子見ではなく、高齢者の暮らしの実態に即し、特例措置の復活を国に求めるとともに、広域連合としても何らかの形で特例の軽減を行っていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

「保険料の負担軽減」について

2017年11月・後期高齢者医療広域連合議会一般質問 上野 美恵子

2017年11月6日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル232KB)

 「平成28年度熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について」質問します。
 第1に、平成20年度から28年度までの実質保険料剰余金の推移についてご説明ください。
 
 第2に、実質保険料剰余金の処理と、その考え方についてご説明ください。
 
 第3に、予算議会でお尋ねした保険料の軽減実績は、2016年度、減免者数が87名、被保険者に対する割合で0・04%ということでした。実際には、特別な事情での減免は行われていないというのが実態です。多くが少ない年金で暮らす高齢者の実態を見るときに、このような減免の実績についてどのように思われているでしょうか。
 1点目と2点目は事務局長に、3点目は連合長に伺います。
 
 (答弁)
 
 答弁にもありましたように、ここ数年間の実質保険料剰余金は70億円を超えて推移し、昨年度が約76億円の見込みとのことです。毎年前年度分の決算剰余金は、次年度の繰越金として計上されます。実質剰余金は、医療給付費の不足分に対する予備費として計上されるとの説明でした。しかし、医療給付費の年度ごとの執行率は99%台で推移し、昨年度は熊本地震の影響もあってか、97%台でした。よって、毎年5億円、15億円、昨年度は68億円以上の不用額を出しています。結果的に、剰余金は予備費として執行されないまま機械的に繰り越されているというのが実態です。例えば、今年度の実質剰余金約76億円は、被保険者数一人当たりに直すと3万円近い金額になります。
 また、保険料の減免実績についてはその少なさを認識しながら、その対応は、さらなる周知を図るとのことです。しかし、現行減免制度の特別な事情の内容というのが、高齢者の実態にそぐわないものではないかと思います。もっと柔軟な発想が必要ではないかと考えます。
 そこでお尋ねいたします。
 第1に、実質保険料剰余金を財源に、保険料の負担軽減を行うべきではないでしょうか。
 
 第2に、実際にはあまり運用されていない保険料の軽減措置については、もっと運用されていくように制度を見直していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、広域連合長に伺います。
 
 (答弁)
 
 実質保険料剰余金を財源に保険料の負担軽減を行えば、次期保険料率の財源不足で保険料が上昇するとの答弁です。しかし、先ほども述べましたように、制度発足以来、実質保険料剰余金は、漫然と繰り越されて、保険料見直し時に、その分負担が軽減された形にはなっていません。保険料抑制の財源としては機能していません。何も剰余金のすべてを使い果たすということではなく、その一定部分を財源とすれば1人、1万円でも保険料を軽減することができます。
 保険料の減免につきましても、低所得者についての軽減措置が設けられているから現行通り運用していくとのことですが、その軽減措置が今年度から後退して、被保険者の保険料負担が大幅に増加していくわけですから、減免制度についても検討すべきではないでしょうか。
 もともと、後期高齢者医療保険制度は、75歳以上の高齢者に大きな負担を求める制度設計になっています。そのことを広域連合としても十分に認識し、県下の高齢者の実態に即した制度の運用がなされるようしっかり取り組むべきであると考えます。決算を見ますと、県下の高齢者の実情を考え、制度を運用しているというよりは、国の決めた制度でただ漫然と運用しているとしか思えません。
 今回指摘致しました点をふまえ、今後の制度運用を行っていただくようお願い致しまして、質疑を終わります。

「H28年度特別会計決算」反対討論

2017年11月・後期高齢者医療広域連合議会 上野 美恵子

2017年11月6日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル239KB)

 議第12号「平成28年度熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について」賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
 昨年度は、未曽有の被害を生んだ熊本地震の発生に伴い、広域連合としても、保険料や医療費の減免など、その対応がせまられた1年でした。
 
 第1に、保険料負担の問題です。特別会計の決算は、制度開始以来9年間、毎年黒字決算で、実質保険料剰余金は平成25年度以降70億円を超えるほどになっています。質疑の答弁にありましたように、実質剰余金は、保険料改定時の抑制財源で、それがないと保険料に大きく影響するとのことですが、実際には、ただ漫然と繰り越しが行われ、抑制財源としては使われず、また、医療給付費も毎年執行残を出しており、予備費として医療費が増えた場合に不足額を補てんするということにも使われていません。この9年間で、保険料は、料率引き上げが2回、均等割額の引き上げが2回、限度額引き上げが2回行われ、4回の改定のうち3回で、何らかの保険料引き上げが行われてきました。後期高齢者医療広域連合では、資格証明書発行はないものの、短期保険証発行者数は平成28年度で1312人です。年金天引きとなる特別徴収には滞納はないので、普通徴収となっている年金額の低い人1300人以上に短期保険証が発行されていることになります。平成28年度決算に関し出された監査委員の意見書では、広域連合は被保険者が安心して医療サービスを受けられるよう、適切な対応を図ることを求めています。保険料が払えない高齢者に、ペナルティとして短期保険証を交付するような措置はやめるべきです。そのためにも、改定の度に引き上げられてきた保険料の負担を軽減すべきです。70億円を超える実質剰余金の額は、被保険者一人当たりに直すと3万円近くにもなります。このような財源を使い、高齢者の保険料負担を軽減すべきであると思います。
 また、保険料の減免についても、現行制度のままではほとんど運用されません。今年度からは、国の特例軽減も段階的に廃止されていくことにもなるので、減免制度についても検討すべき時であると考えます。高齢者の負担軽減の立場での検討を要望致します。
 
 第2に、保健事業費の執行率は82・5%で、7,426万円もの不用額が出ています。健康診査及び歯科口腔健康診査の受診率を市町村ごとにみると、健康診査で一番高いのが五木村の54・36%、最低が広域連合長のいらっしゃる熊本市の6・28%です。歯科口腔健康診査では、最低が0%で6市町村あり、最高が津奈木町の13・4%です。早期発見早期治療は高齢であっても医療費低減につながります。市町村の受診率格差をなくし、どの市町村でも受診率が上がるためには、受診券の郵送等、受診勧奨の取り組みを改善が必要です。また、もともと医療機関を定期的に受診している方が多いためか、目標値自体も低いことも指摘しなければなりません。健康診査は義務ではないものの、法令に基づき、高齢者の方々が生涯にわたり健康で長生きできるよう取り組んでいただきたいと思います。
 
 第3に、被保険者にとっても、保険者にとっても、医療費の負担軽減となるジェネリック医薬品の利用は積極的に取り組むべきです。昨年度の利用率は68%ですが、全国平均を大きく上回るような利用率となるよう積極的な取り組みを求めます。制度の周知・広報等、さまざまに取り組まれていますが、患者への周知とともに、医薬品を処方する医師や医療機関への広報が効果的であると考えますので、よろしくお願いいたします。
 また、合わせて高齢者が安心して医療にかかれる制度にするためには、国の制度そのものが、被保険者の立場に立ったものになっていかなければなりません。保険料の負担軽減や広域連合への財政支援等、国への要望もしっかりと行っていただくようお願いいたしまして、討論といたします。

2017年2月後期高齢者医療広域連合議会・一般質問

2017年2月20日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル171KB)

 熊本市議会議員の上野みえこです。一般質問を行います。
 後期高齢者健康診査と、人間ドック助成・保健事業の実施についてお尋ねいたします。
 第1に、健康診査の受診率の年次推移、ならびに自治体ごとに受診率の高いところ、低いところ、それぞれ5カ所ご紹介ください。
 第2に、健康診査受診率の他県比較データについて、ご紹介ください。
 第3に、健康診査の受診率向上についての考え方と、その取り組みについてお聞かせください。
 第4に、県下の市町村別の人間ドック助成と市町村実施の保健事業の取り組み状況についてご説明ください。
 第5に、人間ドックや市町村実施の保健事業を取り組んでいないところがかなり多くありますが、それはなぜでしょうか。
 第6に、後期高齢者医療広域連合としての、早期発見・早期治療と、健康増進についての考え方をお聞かせください。
 以上、3点目と6点目を連合長に、その他の点は事務局長に伺います。
 
 (答弁)
 
 健康診査の受診率は、これまでも広域連合議会で話題になっていたようですが、答弁にもありましたように、年々伸びているとは言いましても、昨年度で13・62%というのは低すぎるように思います。九州各県の受診率を、一律には比較が難しいということを条件でお示しいただきましたが、一番低い長崎県でも15・25%、一番高い沖縄県は3割を超え、31・5%となっています。連合長が答弁なさいましたように、健康診査の受診は、疾病の早期発見・早期治療、そのことによる生活習慣病に起因する疾病の発症や重症化予防につながり、受診率向上は重要な課題です。そういう点で、他県と比べても低い受診率の引き上げは、本広域連合としても力を入れて取り組まなければなりません。
 同様に、保健事業につきましても、実施目標である「生活習慣病にかかる疾患の発症・重症化の予防および加齢に伴う心身機能の低下防止」に鑑み、大いに効果ある事業として推進すべきであると思います。事務局長は、マンパワーの関係もあるので、保険事業の取り組みは市町村の判断にゆだねるとのお答えでしたが、そうではないと思います。早期発見・健康増進の取り組み、その一番の目的は、当事者である高齢者の方々が健康で幸せな毎日の暮らしをおくっていかれること、長生きが喜べるためのものであることです。しかし、それに医療制度の実施事業者側にもメリットがあるということです。それが、早期発見・早期治療による医療費抑制の効果であり、後期高齢者医療制度の安定した制度運用にもつながっていきます。
 これらの点を踏まえ、再質問をさせていただきます。連合長に伺います。
 第1に、疾病の予防、健康の増進に効果のある健康診査の受診率を引き上げていくためには、受診率の低い自治体での受診率向上策の取り組みをさらにすすめていくことが必要です。特に、低い自治体の中でも人口の多い自治体の取り組みが決定的であります。それは、先ほど連合長自身が「受診率が10%未満の自治体、特に人口の多い自治体に対しまして、市町村を訪問し、連携の強化を図っている」とお述べになった、そのとおりです。具体的には、最も低い上天草市の5・43%、2番目に低い熊本市の5・63%、3番目の八代市の6・27%、この3自治体は県下自治体の平均受診率の半分以下です。ここを早急に引き上げることが必要です。とりわけ、人口74万人、後期高齢者医療の被保険者では県全体の32%にもあたる88,000人が加入する熊本市の受診率向上は避けて通れない課題です。今後の受診率向上の取り組み、特に熊本市はじめ上天草市や八代市など、受診率の最も低い自治体における向上策にどのように取り組んでいかれるのか、決意も含めてお答えください。
 第2に、人間ドックについての助成は、年々増えているとの報告でありました。しかし、それでも平成27年度で受診者は614名であり、わずか0・2%です。低い理由はいろいろあると思いますが、500人に一人では、目的に照らしても、極めて不十分であると言わざるを得ません。受診の勧奨が必要であるとともに、大事だと思いますのは、実施市町村数を増やすことだと思います。各市町村が事業に取り組まなければ、多い少ないにかかわらず、受診したいと思う人が受けられません。平成27年度現在13市町村ですから28・8%、約3割の市町村で取り組まれています。昨年の2月議会で連合長は、「市町村担当者研修会や主管課長会議において、制度の紹介および勧奨をしているほか、今後、未実施の市町村を個別に訪問し、人間ドック助成への取り組みをお願いしてまいりたいと考えている」と答弁されていました。この1年間、各市町村への取り組みはどのように行われてきたのでしょうか。連合長ご自身が市政運営を担当しておられる熊本市へはどのように伝えられたのでしょうか。
 以上2点について伺います。
 
 (答弁)
 
 「受診率の向上」とか、「健康増進」とか言われますけれど、今の広域連合の取り組みは、目標達成に積極的なようには思えません。それはなぜかというと、結果がついて行っていないからです。 本気になって取り組んでいただくことを要望いたします。
 最後に要望を2点申し上げます。
 第1は、特別会計の質疑で申し上げました、熊本地震にかかる一部負担金ならびに保険料の減免措置の延長であります。紹介しました、国の事務連絡は、2月に終了とされていた一部負担金ならびに保険料減免について、国の財政支援を9月末日まで7カ月延長するというもので、事実上、一部負担金や保険料の減免を9月末日まで延期することを国自らが提起しているものであります。県下では、未だ19000世帯近い方々がプレハブ仮設やみなし仮設、その他の仮住まいで生活をされています。民間の調査ではありますが、これらにお住いの方々には、医療的ケアを必要とされる割合が高いとのことであります。調査にかかわった専門家の方は、熊本地震の被災によって、さまざまに痛手を受けている方々には、住まいの再建はもちろん、生活や健康の復興も必要であると指摘されていました。健康面での復興を後押しするためにも、国の通知にもとづき、減免を延長していただきたいと思います。
 第2に、広域連合議会は、各市町村議会と違い、県下45の市町村の首長や議員によって構成されているという特殊な条件があるために、頻繁に開くことが難しく、情報交流も限られています。事務局と私たち議員もメールやファックス・郵便でのやり取りが中心です。そして、市町村の住民にとっては少し遠い存在になっているのではないかと思います。そこで、なるべく開かれたものにするために、せめてホームページ上の情報量をもう少し増やし、そこを見れば、広域連合の状況がわかるように改善していただきたいと思います。制度の説明だけでなく、被保険者数や保険料の収納状況、減免実績や健康診査・保健事業等の実績なども含め、基礎的な資料等の掲載を要望しておきます。
 今後も、積極的に発言し、高齢者のみなさんの安心の老後につながる制度になっていくよう頑張りますので、よろしくお願いいたします。その決意を申し述べ、一般質問を終わります。

2017年2月後期高齢者広域連合議会・「低所得者保険料軽減廃止」反対討論

2017年2月20日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル145KB)

 熊本市議会議員の上野みえこでございます。
 議第8号「熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例の制定について」、反対討論を行います。
 2015年の総務省の家計調査では、年金収入で暮らす高齢夫婦世帯の収支は、収入が支出を上回り、月々の家計は赤字、貯蓄等を取り崩し何とか生活している状況があると報告されています。しかも、支出の中で、社会保険料等の非消費支出は15%を占め、食費に次いで2番目です。高齢者にとって、税や保険料の負担がいかに重いか、端的に示されています。
 今回の条例案一部改正で提案されております「後期高齢者医療の保険料軽減特例の見直し」というのは、制度施行以来行われてきた、保険料軽減のための特例措置を段階的に廃止していくというものです。保険料の所得割については、これまで5割の軽減措置だった方を、平成29年度は軽減を2割とし、翌平成30年度からは軽減措置をなくすというものです。平成29年度は、28455人の対象者の負担が増え、負担増の総額は2億1000万円に上ります。合わせて、実施されるのが、元被扶養者に対する応益分の均等割軽減を、これも段階的に廃止していきます。現在9割軽減でひとり月額380円の負担ですが、平成29年度は7割軽減となり1130円に、平成30年度は5割軽減で1890円、平成31年度以降は全額負担の3770円となります。平成29年度は15000人が負担増となり、その影響額は総額で1億4000万円です。要するに、新年度から、後期高齢者医療の被保険者の方々に総額3億5000万円の負担増を求めるという保険料の大改悪です。
 先ほど、年金生活の高齢者の方々の実態を紹介致しました。今でも家計のやり繰りに苦労をされていますが、その暮らしの実態は、改善方向に向かうどころか、今後さらに厳しくなっていくことが予想されます。2017年度は、物価変動への対応として年金給付が0・1%削減されます。しかも、昨年末の臨時国会では、年金カット法が強行されるという年金の大改悪が行われ、2018年度以降もその適用によって年金給付は一層抑制されていきます。今でも、たいへんな高齢者の暮らしは、お先がますます真っ暗です。
 2017年度の政府予算案では、社会保障費の自然増が1400億円削減されています。具体的には、70歳以上の高齢者医療費上限額の引き上げが8月から引き上げられます。療養病床居住費の負担引き上げが段階的に実施されていきます。介護の分野でも、8月から一定の課税世帯の利用料負担上限額が引き上げられます。高齢者をターゲットにして社会保障制度が次々と改悪されていきます。医療・介護の負担増と年金の削減で、高齢者の暮らしは、追い詰められるばかりです。これらの制度改悪は、高齢者に「死ねと言わんばかり」のように思えてなりません。
 すべての国民は、生まれてから老いるまで、幸福を追求する権利や健康で文化的な生活をおくる権利が、憲法で保障されています。現在の高齢者の方々の置かれた状況を見るならば、さらに追い打ちをかけるような今回の後期高齢者医療の保険料見直し、軽減措置の段階的な廃止は到底容認できません。
 すべての高齢者の方々の老後の安心と、生きる希望が持てるような社会の実現に向けて頑張っていく決意を申し述べまして、私の反対討論といたします。

2017年2月後期高齢者広域連合議会・「低所得者保険料軽減廃止」反対討論

2017年2月20日  上野 みえこ  質問の内容はこちら(PDFファイル145KB)

 熊本市議会議員の上野みえこです。初めての登壇ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議第7号「平成29年度熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計予算」で、保険料の負担軽減と保険料減免について伺います。
 第1に、後期高齢者医療制度は、平成29年度で10年目を迎えます。2年おきに保険料が見直されてきましたが、制度開始時に比べ、現在の保険料は、一人当たり平均でどのくらい高くなっていますか。
 第2に、財政安定化基金の平成28年度末基金残高と、これまでの運用状況を伺います。
 第3に、年金給付は減り続けています。しかも、昨年末の年金カット法によって今後も減り続けます。年金を命綱に暮らす高齢者の保険料の負担感をどのようにお感じでしょうか。
 第4に、制度に定められた申請減免の実績について、実人員と被保険者数に対する割合をお答えください。
 第5に、申請減免の制度周知はどのようにされていますか。
 以上、3点目は連合長に、残り4点は事務局長に伺います。
 
 (答弁)
 
 連合長のお答えは、まるで厚生労働省の説明のようで残念です。高齢者の暮らしの実態に心を寄せていただきたいと思います。
 保険料の抑制等のために積み立てられた財政安定化基金の残高は、今年度末で41億8797万円との見込みで、その運用実績はなしとのことであります。42億円と言えば、広域連合の保険料負担金の現年度分の3分の1くらいにあたる金額です。平成29年度予算にこそ繰入れ計上されていませんが、運用実績がないにもかかわらず、9年間基金繰入れが予算化されてきました。
 また、保険料額は減っているとのお答えでしたが、2年毎の見直しによる料率等改定は、平成22年度に保険料率が0・41%、均等割額が300円の引き上げ。平成24年度は保険料率が0・23%、均等割額が900円の引き上げ。平成26年度は限度額2万円の引き上げです。料率等に変更なしは、平成28年度だけです。保険料の料率改定は、保険料収入増のためです。これだけ算定基準が上がり、保険料負担が増えないはずがありません。平成29年度予算で、これまでの軽減特例が見直され、保険料負担金の現年度分が、前年度比で約3億5000万円増えているのがその証拠ではないでしょうか。
 そこで、再質問を致します。
 第1に、昨年の2月議会では、財政安定化基金について、「平成29年度は、必要額を当初予算に計上させていただくこととなります」との事務局長答弁がありました。まさに新年度は、その平成29年度であります。しかも「軽減特例見直し」は提案され、」3億5000万円の負担増となります。新年度こそ、財政安定化基金を活用し、保険料を引き下げるべきではないでしょうか。
 第2に、今月9日、厚生労働省は各市町村や広域連合に対し、「熊本地震に被災した被保険者等の一部負担金および保険料(税)の減免措置に対する今後の財政支援の取り扱いについて」という事務連絡を出しました。これは、2月末に終了することとなっていた一部負担金および保険料の減免を7カ月延長し、9月末日まで可能とする財政支援を内容とするものです。この通知を受け、後期高齢者医療広域連合としても、一部負担金ならびに保険料の減免期限を9月まで延長すべきではないでしょうか。
 連合長に伺います。
 
 (答弁)
 
 熊本地震にかかる一部負担金と保険料の減免は、差し迫った課題ですが、たいへん重要とかんがえますので、真剣な検討と実施を強く要望しておきます。
 基金を使った保険料の負担軽減と、実績があまりに少ない減免制度についての改善もお願いしておきます。
 以上で、議案の質疑を終わります。

連絡先

・日本共産党熊本市議団 熊本市中央区手取本町1−1 議会棟3階
電話 328−2656   FAX 359−5047
メール: kumamsu@gamma.ocn.ne.jp
ホームページ https://www.jcp-kumamoto.com/