議会での活動・一般質問など



2015年12月議会質疑・討論

2015年12月議会最終日「一般会計補正予算」反対討論 上野みえこ

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 2015年12月議会最終日「一般会計補正予算」反対討論 2015年12月15日
 日本共産党熊本市議団の上野みえこです。
 議第262号「平成27年度熊本市一般会計補正予算」に対する反対討論を行います。
 第1に、食肉センター機能代替施設整備関連経費として2266万7千が増額補正されています。センターの廃止に伴う敷地内にある卸売2者に対する建物・工作物・動産移転料等の移転補償関係費です。
 食肉センターの移転については、廃止条例が提案される以前からの、長年にわたる問題を引きずっています。廃止条例提案の時点では、牛・豚・馬の解体処分について、利用業者など関係者とのコンセンサスもないまま、豚や馬の処理施設の問題も解決されていませんでした。施設改修を先送りにし、施設の老朽化を理由に廃止を決めたことが関係者間のコンセンサスに大きな障害となりました。累積赤字の問題でも、処理頭数の減少はありましたが、雇用開発協議会や解体補助業務の委託等の問題が改善されないままに事業が行われてきたことも大きな原因であり、さまざまな問題を残しながら、見切り発車的に市が廃止を決めすすめてきたことに大きな責任があると言わなければなりません。
 現在、牛・豚がようやく業務を移転し、馬を残すのみとなりましたが、委員会でも報告されましたように、補正予算として計上はなされたものの、実際は移転に係る補償費についての協議は継続中であり、合意に至っていません。これまで根拠もあいまいなまま雇用開発協議会への多額の補償を行ってきたこととの整合性の問題もありますが、食肉センター問題では、再三にわたって指摘してきた「最初のボタンの掛け違い」が是正されず、ほころびが広がってきたことが今に至っていると思います。関係者の合意も得られないままの補正予算になってしまっていることが第1の問題です。
 しかも、市は12月末廃止と言うゴールだけを決めて廃止をすすめてきましたが、実際には移転先における屠畜料金に関する利用業者の合意形成に時間がかかったことや、移転先施設の屠畜の許認可にも手間取り、結局は県の認可がなされないまま廃止の期限を迎えてしまいました。1カ月廃止が延びることと合わせ、現食肉センターの管理費用等に1か月分400万円ほどかかるということです。当局は、予算の執行残で対応すると説明されたそうですが、本来ならば、そんな場渡り的な対応でなく、もっと早い時期に説明し、きちんと補正予算として提案すべきであったと思います。12月末をもって廃止と言うならば、せめて11月末には、移転先の屠畜許認可を受けて12月には試験屠畜ができるような準備が必要ではなかったかと思います。
 移転補償に係る関係者の合意形成、移転先の許認可等移転の準備の問題、いずれにおいても、市としての説明責任の不十分さ、対応の不十分さは問われるべきであると思います。
 第2に、時間外勤務手当の不足に伴い、3億4944万6000円の増額補正が行われています。昨年2014年度は前年に比べ残業時間が減ったためにこのような補正は行われませんでした。時間外労働時間の年次推移を見ますと、この間残業時間の縮減に取り組んできたこともあり、2012年度をピークに、2013年度・2014年度と減少してきました。しかし、一人あたりの平均時間外労働時間数で見たときに、本年度は12月1日時点で昨年度を上回る17・6時間となっています。長時間勤務の解消は、事務事業の効率化という面だけでなく、職員のメンタル的な面からも、健康で働ける条件の一つとして重要です。メンタル不調による休職者数は横ばいではありますが、心の相談室への相談件数や臨床心理士によるカウンセリングサービスは激増しています。時間外勤務が常態化している部署もあり、働きやすい職場環境づくりの面から、人員配置の拡充等によって、時間外労働時間の削減に努めていくべきであろうと思います。
 第3に、今回の補正予算には、年度当初からのスムーズな事業執行のためということでかなりの数の債務負担行為が提案されています。いくつかの問題点を指摘致します。
 一つは、多数の委託業務が含まれています。以前に比べると随意契約ではなく、入札へと切り替わっています。しかし、委託事業の入札の場合、予定価格がなく、コンサル業務など一部を除き最低制限価格がないために、競争が激化するとかなり低額での落札も出てきます。事例をあげますと、教育委員会における「共同調理場廃棄物収集運搬処理業務委託」は、今年度分で520万円の予算が予定されていましたが、入札によって270万円で契約されました。予定価格は公表されないので、予算額と対比すると約5割の価格です。しかし、「安上がりでよかった」と手放しで喜べるでしょうか。委託契約でも最低制限価格を設定しているものは、大体予定価格の7割強です。市の行った積算が妥当であれば、それを大幅に下回る契約は、その金額でまともな仕事ができるのか、あるいは委託の場合ほとんどが人件費となるものも多いので、そこで働く人の賃金がかなり安くなってしまうということが懸念されます。そうなれば、市が民間のワーキングプアを後押ししていることになります。「民間でできるものは民間で」という安易な委託は、まともな業務の執行と働く人の処遇確保に反することにもなります。事例として挙げた「共同調理場廃棄物収集運搬処理業務委託民間委託」は、数多い委託の一つであり、他にも大なり小なりそのような事例が見受けられました。この間ごみ収集運搬業務などもかなり拡大されてきましたが、民間委託には、さまざまな問題点があるということを指摘しておきます。
 また、債務負担行為の一つに、教育委員会のプレハブ教室設置経費1億300万円があります。現在熊本市には、小中学校合わせて95教室のプレハブ教室があります。今回の補正予算は、小中学校合わせて10教室を新たにプレハブで設置するものです。一方、次年度より学校の新設や増改築で22教室のプレハブが解消されますので、差し引き12教室のプレハブが減ることになります。プレハブ教室の解消は、今後の児童・生徒数の推移と大きく関係しますので、一挙に解消というのは大変難しいかとは思います。しかし、子どもたちの安全・快適な教育環境ということで考えるならば、なるべく早急に、着実に解消すべきであると思います。速やかなプレハブ教室の解消と子どもたちの教育環境整備の推進を強く要望しておきます。
 また、提案された中に、「舗装打換経費」があります。この経費は以前は債務負担とはされていませんでした。先にも申しましたように、年度当初から市民の要求にスムーズに答えられるようにと、一昨年前から、予算の一定額を債務負担として、前年度に補正されているとのことであります。このように年度当初からのスムーズな業務執行が必要な分野においては、現在債務負担の補正がなされていない事業でも、一度各事業検討して適切な処置をなされることを、合わせて要望しておきます。
 以上、主な問題点を指摘して、反対討論といたします。

2015年12月議会質疑・討論

「請願第11号「消費税10%への増税は先送り実施ではなく、増税の中止を求める意見書の提出に関する請願書」に対する賛成討論

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 2015年12月議会 日本共産党熊本市市議会議員 山部洋史
 日本共産党熊本市議団の山部洋史です。
 請願第11号「消費税10%への増税は先送り実施ではなく、増税の中止を求める意見書の提出に関する請願書」に賛成する立場で討論いたします。
 
 請願の内容は、2017年4月からの10%への消費税増税の撤回を求めるものであり、ならびに消費税が、憲法にてらしてみてもその趣旨に反するものであることを指摘しています。
 
 消費税は、憲法が要請する応能負担の原則に反し、低所得者ほど負担が重くなる逆進性の強い税制です。くわえて、人間が生きていくうえで必要な生活費には税金をかけないという生活費非課税の原則にも反しています。2013年総務省家計調査でも収入別の消費税家計負担割合は、年間収入が増えるほど消費税の負担割合が少なくなっています。
 消費税が2014年4月に8%へ増税されて以降、個人消費は落ち込んでいます。東京新聞が本年6月に行った全国調査でも、増税の影響で家計のやりくりが厳しくなったと感じた人が、約8割にものぼったとの結果が出ています。GDPの成長率を見ても、2014年は年率マイナス0.9%、2015年に入っても4月〜6月期、7月〜9月期の2期連続でマイナスになるなど、日本経済全体を冷え込ませています。
 
 2017年4月からの10%への増税では、酒類・外食を除いた食料品の税率を8%に据え置く「軽減税率」を導入するとしていますが、それでも1世帯の年間の負担が平均4万1000円増えるとの試算もでています。勤労者世帯に限れば4万6000円の負担増です。家計の消費税負担率は年収が増えるほど軽くなります。「軽減税率」などといっていますが、低所得者ほど負担が重い消費税の逆進性は、むしろかえって拡大します。増税は家計を更に圧迫し、景気を冷え込ませるだけです。
 
 地域経済を支える中小業者に与える影響はどうでしょうか。消費税を税務署に収める際、市場競争や元請け企業との力関係のなかで価格への消費税転嫁ができない中小業者が、身銭を切って払う「損税」で苦しんでいる現状があります。中小商工業研究所がおこなった2015年上期の営業動向調査によると、消費税を販売価格に転嫁できていないと答えたのは4割を超え、税率10%になった場合の見通しについては約6割の中小業者が「完全に転嫁できない」と答えています。課税売上高が1000万円を超えれば、赤字であろうと納税を迫られます。中小業者の経営悪化と廃業を加速させることは明らかです。
 少子高齢化がすすむなか、あらゆる自治体が若い世代の定住促進のためいろんな施策をうちだしていますが、定住のための一番の要因は何といっても雇用です。仕事がなければ生活ができません。
 以前ある中小企業の社長さんに聞き取りしたときのことですが、その社長さんは、「いま、自分が頑張っているのは、もちろん会社の経営を守るためではあるが、いっぽうで会社には、その地域の雇用を守る責任と義務があると私は思っている。だからがんばっているんだ」と仰っていました。こうして地域の雇用、経済を支えるために、歯を食いしばって頑張っている中小業者の皆さん努力に対し、今回の増税はまさに冷や水を浴びせるものです。
 その一方で、一握りの輸出大企業は莫大な輸出払い戻し税を還付されています。元静岡大学教授で税理士の湖東京至氏が、各社の最新決算にもとづきはじきだした本年の推算によると、トヨタなどの輸出大企業は消費税を税務署に納めたことは一度もなく、そのほか日産、ホンダ、ソニーなど上位10社の還付金の総額が7837億円にものぼる結果となりました。上位10社の本社がある税務署の消費税収入が、企業への輸出戻し税還付のために赤字になっていることからもこのことは明らかです。
 「消費税は、社会保障のために使われます」と、これまで繰り返し宣伝されてきました。しかし、2014年、8%引き上げでの消費税増収分の8.2兆円のうち、社会保障の充実策に充てられるのは、2割にも満たない1兆3500億円です。いっぽう、軍事費については、防衛相省が2016年度軍事予算の概算要求について、過去最大となる5兆911億円とすることを発表。安保法制の具体化としてその規模を拡大しようとしています。
  
 安倍政権は、消費税10%への増税を強行するために、その反発をかわすためか、食料品への「軽減税率」をうちだし、盛んに宣伝しています。連日の「軽減税率」報道に、まるで税負担が軽くなるような錯覚におちいりそうになりますが、実態はまったくの「まやかし」といわざるをえません。
 2%の増税分にあたる5.4兆円のうち、「軽減税率」で1兆〜1.3兆円を減税したとしても、4兆円を超える大増税となります。8%の税率は維持するのですから「軽減」という言葉自体が「まやかし」です。いっぽうで「軽減税率」の「財源」を確保するため、「4000億円の低所得者対策」を取りやめるとの報道もされています。低所得者への負担軽減というのであれば消費税を5%にもどすことが一番の対策です。
 そもそも今回の10%への増税には全く道理がありません。社会保障のためといいながら、医療、年金、介護、生活保護はすべて切り捨て。財政再建ためといいながら大企業には法人税引き下げの大盤振る舞い。国民の所得と消費が冷え込んだままで、増税すれば暮らしも景気も大きく破壊されます。「軽減」などではなく、10%への増税そのものを中止すべきです。
 いま求められることは、不要不急の大型開発や軍事費等の歳出の浪費をなくすこと、そして、大企業や高所得者への優遇措置をやめ、応能負担の原則を貫いて、憲法にもとづく税制を徹底することです。
 本議会におきましても、市民の生活、雇用、地域経済を守る立場からぜひ請願への賛同をいただきますよう訴えまして賛成討論といたします。

2015年12月議会質疑・討論

2015年12月議会・予算決算委員会締めくくり質疑「国民健康保険」 上野美恵子

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 日本共産党市議団の上野美恵子です。
 国民健康保険会計の補正に関連してお尋ねいたします。
 今回の補正予算には、国民健康保険会計において高額療養費・5億9400万円の増額補正が行われています。確かに毎年一定の補正はありますが、当初予算化されていた65億1900万円の1割近い補正額です。委員会で、ここ数年の補正額を伺いましたが、昨年の補正額3億円に比べ、2倍近い補正額となっており、高齢化もすすむ中で、改めて医療費の自然増は想定以上に大きくなってきていると思いました。
 今回の補正額も含めた今年度2015年度末の国民健康保険会計の単年度収支は、約36億円の赤字と見込まれており、累積収支では56億円を超える赤字となる予測です。収納状況を見ても、かなり厳しい取り立てをしながら、収納率は依然として8割台にとどまっており、保険料支払いの厳しい実態を示しています。
 今回補正予算で提案されました大幅な医療費の伸びによる高額療養費の増額補正を踏まえた、国保会計の収支等について、市長にお尋ねいたします。
 @ 国民健康保険加入者の方々の暮らしの実態をどのように受け止めておられますか。
 A 那須議員の一般質問に対し、健康福祉子ども局長は、「被保険者の年齢層が高く、医療費が高い一方、低所得者が多いという構造上の課題がある」との認識を述べられていました。このような国民健康保険の構造的な問題点があるにも関わらず、市長は今年度の予算において赤字補てん分の一般会計繰入を前年度より12億円も削られました。これで、国保会計の収支が均衡できるとお考えだったのでしょうか。
 B 今年度、各自治体の国民健康保険会計に投入された国の保険者支援制度拡充額1700億円の本市への交付額と、その効果についてご説明ください。
 C 平成27年度から29年度の国民健康保険会計収支推計において、保険料の値上げを行うシミュレーションをされています。それは、保険料を総額で5億円引き上げた場合に単年度収支は7・8億円の赤字、10億円引き上げても2・9億円の赤字、14億円の引上げで1・1億円の黒字と言うものです。要するに、このシミュレーションは、仮に保険料を5億円、10億円引き上げても単年度収支は黒字にはならずに、14億円・ひとり年額7920円の値上げをして初めて1・1億円の収支黒字になるという推計です。一方、この場合、赤字補てん分の一般会計繰入は毎年8億円に止められています。減らされた一般会計繰入のもとで、保険料は大幅に引き上げるという推計です。熊本市の国民健康保険料の負担は、所得200万円・4人世帯のモデルケースで比較した場合、今でも政令市20市の中で高い方から2番目です。一般質問の答弁で「保険料の負担感は高いものと認識している」と答弁されています。今以上に保険料を引き上げるようなシミュレーションが妥当だとお考えなのでしょうか。
 D こういうシミュレーションで、本市の国民健康保険の問題が解決するとお考えなのでしょうか。
 以上、5点お伺いいたします。
  (答弁)
 
 これまでも述べてまいりましたように、国民健康保険は、年金生活者や離職者、自営業者など、生活が厳しく所得水準の低い加入者で構成されていることもあり、高齢化による医療費の伸びが大きいなど、収支の均衡が大変厳しいという構造的問題を抱えています。
 今年5月に行われた国民健康保険法改正にあたっての国と地方の協議の前段で、厚生労働省も、国民健康保険制度は、加入者の年齢構成が高く、医療費水準が高いこと、加入者の所得水準が低いこと、保険料の負担が重いこと、収納率が低下していること、市町村による一般会計繰入・繰り上げ充用が多額に上っていることなどを課題として掲げ、国民健康保険に対する財政支援の拡充、低所得者に対する保険料軽減措置の拡充などを行うことを方向として示しています。
 熊本市には、国保の構造的な課題解決のための保険者支援制度拡充費用は、今年度9億円が投入されるとのことですが、実際には加入者の保険料負担の軽減・低所得者の保険料負担軽減はなされていません。全国的には、約1万円の保険料引き下げが行われています。政令市でも、所得200万円・4人世帯のモデルケースで比較して、20市のうち11市が昨年度に比べ保険料が下がっていますが、熊本市は全く下がっていません。
 特に今年度の1700億円は、「低所得者対策強化のため、保険料の軽減対象となる低所得者数に応じた財政支援」とされているので、保険料の軽減、特に低所得者の負担軽減として活用されるべきであります。
 また、国民健康保険は、厚生労働省も指摘しているように大きな構造的課題を抱えています。今年度からの1700億円の支援や、平成30年度からの3400億円の支援を示していることからもわかるように、国保会計に対する様々な支援なしには収支の改善や制度の維持が困難です。ところが、熊本市は前市長のもとで行われてきた「国保健全化10カ年計画」が終了した途端、法定外一般会計繰入を大幅に削減しています。健康福祉子ども局長は、一般質問の答弁で、「財政健全化計画にとりくんだ結果、過去最大で82億円あった累積赤字が平成25年度末には14・9億円まで縮小した。しかし、平成26年度は医療費の突出した伸びによって単年度収支が赤字となり、累積赤字は20・4億円となった」と述べられていました。確かに、医療費の伸びもあったとは思います。今回の補正・高額療養費に係る増額補正も医療費の伸びにかかるものではありますが、平成26年度の決算では、前年に比べ、一般会計繰入赤字補てん分を前年に比べ約8億円削ったことが単年度収支で5・5億円の赤字と言う結果を生んでおり、平成25年度同様の一般会計繰り入れを行っていれば、単年度収支で2・5億円の黒字、累積収支でも前年を下回る12億円の赤字に抑えられていたはずです。今年度以降3年間の見通しにおいても、このままいけば平成29年度末には累積96億円の赤字になってしまうとの推計ですが、この推計では今年度以降の3年間、一般会計繰入の赤字補てん分をH25年度と比べ、毎年20億円も削っての財政運営となっており、この点でも、平成25年度水準の一般会計繰り入れをきちんと実施すれば、赤字は3年間で60億円圧縮されて、どんなに医療費が伸びても96億円もの累積赤字にはなりません。
 先ほど市長は、一般会計繰入の赤字補てん分を大幅に削ったことに関して、「国の支援制度が拡充される予定であったので、8億円の繰り入れを行えば収支が均衡できるものと考えていた」とお答えになりました。ここには問題が二つあります。第1は、支援制度拡充による財源補てんは9億円ですから、平成25年度と比べ12億円も削って、収支が均衡できると考えられたのは、あまりにも見通しが甘いと思います。もう一つは、今年度拡充された支援制度は、国民健康保険料の負担軽減・低所得者対策が目的とされていたのですから、その財源とせずに、国保会計の赤字の穴埋めに使ってしまったことが問題です。国保会計を語るときに、赤字が増えている原因は医療費の大幅な伸びにあるかのように述べられていますが、それは高齢化の進行の中で、当然の要因であり、それを踏まえ財政の収支均衡を考えていく時、法定外の一般会計繰入を大幅に削減して黒字を見通すということはあまりにも、甘いと言わざるを得ません。構造上の問題があるからこそ、市が一定の財政支援を行うことなしには収支均衡が難しいということを認識すべきであります。
 そこで、市長にお尋ねいたします。
 今まで指摘した点を踏まえて、
 第1に、今年度9億円措置される予定の国の保険者支援制度拡充額によって、国が目的としている国民健康保険料の負担軽減・低所得者対策こそ、きちんと行っていくべきではないでしょうか。
 第2に、大西市長になって大幅に削減されている法定外一般会計繰入の赤字補てん分を、「国保財政健全化計画」実施中の平成25年度水準に戻し、繰入額の堅持・増額こそ行うべきではないでしょうか。
 以上2点伺います。
 
 (答弁)
 
 いよいよ国民健康保険は、今年の法改正に基づいて、平成30年からの県単位の広域化に向けてすすんでいきます。国民健康保険の広域化もまた、さまざまな問題点を孕んでいます。安定的な財政運営等に中心的な役割を果たす県が、標準保険料を示したり、医療の供給体制を担うことなどから、資格や保険料徴収・保険事業を実施するなど、被保険者に対する直接の仕事を担っていく市町村は、県のコントロールのもとにおかれ、市町村ごとに全く違った状況の中で、保険事業を行っている市町村は様々な矛盾に直面することが危惧されます。
 しかしながら、国の制度の元での大きな矛盾を抱えている国民健康保険は、生活の厳しい被保険者の加入する国民皆保険制度の大切な一つとして、今後も被保険者への適切な医療を提供していかなければなりません。都道府県が国保の財政運営の責任主体にはなっても、市町村は、地域住民との身近な関係の中で、被保険者の実情をきちんと把握し、地域におけるきめ細かな事業を行っていく役割が課せられます。広域化がすすめられても、県とともに国保の運営を担っていく熊本市としての責任をきちんと果たしていかなければなりません。最初の質問への答弁で、市長は、「国保加入者の暮らしの実態については、国保の世帯は被用者保険に比較して、低所得者が多く、相対的に被保険者の保険料の負担が高くなっており、生活が厳しい世帯もあると認識している」と言われました。本当に認識しているならば、シミュレーションとはいえ、一般会計繰り入れを削って保険料を引き上げるような推計を安易に示せないと思います。もともと1700億円の支援制度拡充額は、加入者の所得水準の低いことや保険料負担が重いことなどを考慮して低所得者に対する保険料軽減措置の拡充のためと、国の予算措置がなされています。そのことを踏まえるならば、支援制度拡充財源を保険料の負担軽減・低所得者対策の財源とし、一般会計からの繰り入れも応分に行い、保険料の引き下げにこそ努めていくべきであろうと考えます。現在市が行っている収支推計では、10億円の保険料改定を行えば、一人あたり約5400円の保険料負担となるということですから、仮に国の支援制度拡充分9億円が保険料の負担軽減に使われるならば、一人あたり5000円程度の引き下げが実施できるのではないでしょうか。一般会計からの繰り入れを減らすことなく、負担の限界を超えた保険料の引き下げを強く要望致しまして、質疑を終わります。

2015年12月議会質疑・討論

12月議会最終日質疑・「森都心プラザ指定管理」について 上野みえこ

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 2015年12月17日 日本共産党熊本市市議会議員 上野みえこ
 経済委員長報告に関連して、森都心プラザの指定管理者指定について伺います。
 森都心プラザは、2011年10月に開館し、図書館・観光情報センター・ビジネス支援センター・ホール・会議室等を有する複合交流施設として運営されてきました。開館当初から指定管理者制度が導入され、今期の4年半は、(株)九州総合サービス・(株)パブリックビジネスジャパン・(株)紀伊国屋・(株)雇用促進事業会・(株)朝日放送・(株)メディアプランニングによって構成される「くまもと森都心プラザ管理運営共同企業体」が管理運営してきました。今回は、2回目の指定となり、前回と同一の共同企業体が選定されました。
 森都心プラザの指定管理者指定には、一つは指定管理者制度そのものに係る問題点、もう一つは指定管理者制度になじまないと以前から指摘されてきた図書館の指定管理という問題点です。それを踏まえてお尋ねいたします。
 @ 図書館は、長期的視野に立った専門性の高い運営が必要です。司書資格者の配置はもちろん、配置された職員の専門性の向上が極めて重要です。森都心プラザ図書館では、職員の研修はどのように行われているのでしょうか。
 A 指定管理者制度は、経費縮減もその効果の一つとされています。森都心プラザの募集要項に示された指定管理者制度指針に基づく森都心プラザの人件費額と、今回の指定管理者指定にあたって「くまもと森都心プラザ管理運営共同企業体」から提出された事業計画に関する収支予算書に示された森都心プラザの人件費をお示しください。そして、その内、図書館分もそれぞれお示しください。
 B 熊本市立図書館設置条例では、第2条「事業」の項で「移動図書館に関すること」が掲げられ、大江本館・植木・城南に移動図書館があります。森都心図書館でも、移動図書館の設置、あるいは団体利用など、西区にある図書館として、これまで以上に利用を広げていくような取り組みはできないのでしょうか。
 C 図書館は、図書館法はもとより、教育関係法の定めにもありますように、教育委員会が所管することは、明らかです。森都心プラザ条例の規則では、プラザ図書館も教育委員会の所管であるとは定めてありますが、市立図書館の分館の位置づけにはなっていません。本館に次ぐ蔵書数を擁する市立の図書館として、教育機関の役割をより一層鮮明に発揮し、他の図書館との連携をスムーズにしていくためにも、是非市立図書館の分館に位置づけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 D 図書館への指定管理者制度導入は、以前からなじまないと指摘されてきましたが、昨今全国的には「書店」が管理運営にかかわる図書館で、選書をめぐる不正常な事態が発生したり、膨大な個人情報の管理の問題なども指摘されるに至っています。そういう点で、果たしてプラザ図書館を指定管理者制度の下におくことが適切であると言えるのでしょうか。
 関係局長にお尋ねいたします。
 
 (答弁)
 
 いろいろ答弁いただきましたが、まずは人件費の問題です。
 森都心プラザ全体では、市が指定管理者制度の指針に定めている基準額を上回る金額を、事業者側の予算として計上されています。要するに人件費の総枠は決して削減されていません。ところが、プラザ図書館の部分に限ってみますと、仕様書通り34名の人事配置をしながら、指定管理の事業者が予算化している額は、市の積算額の約7割です。図書館部分の人件費はかなり低く抑えられています。安く雇用されている訳です。
 1番目の質問で、図書館職員の方々の研修について伺いましたが、民間事業者としても、一定の努力をしているという答弁であったかと思います。公立図書館は、住民の知る権利・学習権を保障するための公共機関です。人々が多様な知識や情報に接することで人生の質を向上させ、その主権を十分に行使し、日々の生活、生業を豊かなものにしていく、そこに欠かせない役割を持っているのが公立図書館ですから、そこで働く図書司書の方々の役割もまた極めて重要です。司書資格を持つことはもちろん、日々の研修、経験の蓄積が絶対に必要だと思います。研修には力を入れているが、その処遇はなおざりということで、求められる業務に対してレベルの高い仕事ができるでしょうか。私どもは、指定管理者制度の問題点の大きな一つがそこに働く人の処遇が保証できないということを、繰り返し指摘してきました。
 そこで、教育長にお伺いします。プラザ図書館では、市の積算の7割という低い賃金で仕事をされています。それで、専門性の高い業務が日々行っていけると思われますか。市の積算賃金と変わらない処遇で働いていただくべきではないでしょうか。
 
 (答弁)
 もともとプラザ図書館の市の積算そのものも、正職員であれ、嘱託であれ、各区分の最低ランクで計算されています。そのことも問題だと思います。これは、他の市立図書館にも共通する課題だと思いますが、図書司書の資格は専門課程を経て得られるものではありますが、国家試験を受ける国家資格とは違うために、その専門性が評価されにくく、一般事務職として扱われています。この点は、一定の改善を図り、専門課程を経た専門員としての処遇をすべきではないかと思います。指定管理になれば、今回指摘しましたように、おのずと人件費が削減され、専門性が求められながらその処遇が悪くなってしまいます。2008年6月の参議院・文部科学委員会では、文部科学大臣が「公立図書館への指定管理者制度の導入は、長期的視野に立った運営が難しくなり、図書館になじまない」とも答弁されています。知と情報の専門機関として求められる役割を十分に果たしていくためにも、図書館の指定管理者制度は見直し、直営とすべきであると思います。
 また、最初の質問の答弁で、プラザ図書館は指定管理であっても、図書の選書については市立図書館が一元管理していることや、モニタリングによってのチェックも市立図書館で行われているので、指定管理による問題の発生は心配ないとのことでした。そのことは、市立図書館が公設であるからこそできることです。一方、指定管理で、管理運営を民間に任せてしまえば、住民は消費者となり、指定管理者の提供するサービスを購入するということになり根本が変わってしまいます。このようなあり方が社会教育として適切なのかも、問われるのではないでしょうか。
 熊本市は政令市になりましたが、東区には図書館がありません。他の政令市では国複数の図書館を持つ市も少なくありません。より多くの人が利用でき、誰もが公平なサービスを受けられるよう、身近なところに図書館をつくるべきであり、せめて区に一つは図書館が必要だと思います。
 また、プラザ図書館では、5年前に1億300万円あった資料購入費が、昨年度は約2割も減って8900万円弱になっていました。資料費は図書館のいのちです。市立図書館全館に共通する課題として、年々減っている資料費の拡充も合わせて要望いたしまして、質疑を終わります。  

2015年12月議会質疑・討論

TPP意見書賛成討論 那須円 熊本市議会 2015年12月17日

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 日本共産党熊本市議団の那須円です。市民連合より提案された意見書「TPP参加に対する情報公開と国会審議の徹底を求める意見書」について、賛成の立場で討論を行います。
 TPP環太平洋連携協定には、日本や米国をはじめ、12か国が参加し、関税分野とともに、貿易に関わるルールを全面的に見直し、域内の貿易拡大を図ることを目的とした交渉が行われてきたことはご承知の通りです。しかし、国会において、無条件にTPP交渉参加が認められたわけではありません。重要5品目においては除外または再協議の対象とすること、段階的な関税撤廃も含め認めないことなど8項目を盛り込んだ国会決議を前提に、政府は交渉参加に至った経緯があります。
 こうしたなか、今年10月5日に、TPP交渉が大筋合意したとする閣僚声明が発表され、関税分野と非関税障壁について30項目からなる「TPP協定の概要」が明らかにされました。また、11月5日には、全文が記載された英語版の協定案が明らかにされています。いったいどのような内容であったのでしょうか?
 聖域とされた重要5品目について、米に関しては、無関税の特別輸入枠を新設しアメリカ向けに7万トン、オーストラリア向け8400トンの新たな受け入れ枠ができたほか、米の調製品、加工品についても関税は5〜10%引き下げるとされています。小麦については、アメリカ、オーストラリアに国別輸入枠を新設するほか、事実上の関税であるマークアップを9年目までに45%削減。牛肉については、現行38.5%の関税を、当初27.5%、10年目からは10%、16年目以降9%に引き下げ、輸入急増時のセーフガードも発動条件を緩和、16年目以降4年間発動がなければ廃止されます。本市でも出荷額の多い豚肉については、低価格の肉の関税は10年目に撤廃、高価格の肉の関税は現行キロ当たり485円を125円に、10年目以降50円に引き下げます。乳製品は、TPP輸入枠の新設で脱脂粉乳とバターの輸入を生乳換算で、6年目以降7万トンに増加。甘味資源作物は、高糖度の製糖原料の関税を撤廃。加糖調製品にTPP輸入枠を設け品目合計で11年目以降には9.6万トン増加させるとしています。これだけではありません。重要品目以外について、これは本市の農業を支える野菜果物も含まれますが、248品目のうち関税が残るものが27品目、わずか10%であります。現時点において、農業に与える影響額などについて政府は明らかしていませんが、東京大学の鈴木のぶひろ教授のまとめでは、農業分野の被害額は1兆1千億円、農業生産額の13%もの減少となるとされており、農業を基幹産業とする本市においても深刻な影響が及ぶことが容易に想像できます。
 安倍首相は、「国民との約束は守られた」とおっしゃいますが、大筋合意の中身をどこからどう読んでも、国民との約束や国会決議は反故にされ、重要5品目を守るどころか、日本の農林水産業を裸で国際競争にさらす譲歩に次ぐ譲歩を行っていたことを示す内容となっています。10月28日付日本農業新聞が掲載した意識調査において、大筋合意は国会決議に対して、遵守していると答えた方が7%に対して違反すると答えた方が69%に上っている結果にも示されていますが、農業関係者はじめ多くの国民から、不安と怒りの声が挙げられていることも当然ではないでしょうか。
 さらに政府は、あたかも大筋合意をもってTPPが批准されたかのように、その対策や今後の方針を定めた「総合的なTPP関連政策大綱」なるものを11月25日に発表しました。しかし、この中身についても、強い経済の実現、中小企業を後押しする新輸出大国、農政新時代などが提唱されていますが、具体的な対策は来年秋となるなど、裏付けの乏しいスローガンの羅列という感が否めません。輸入拡大を約束した米については備蓄対策の改善、関税を大幅に引き下げる牛肉・豚肉についても経営安定の補てん率引き上げなど当面の対策が打ち出されているものの、聖域とされた5品目においてもこうした対策を取らざるを得ないことがそもそも大問題であり、重要5品目には手を付けさせないという国会決議が守られていないことを政府自身が認めたことになります。国会を軽視したやりかたは許されません。
 さらに、農林水産分野以外にも様々な影響が及びます。
 食の安全の問題についても、政府が発表した概要には、日本の制度変更は必要ないとされ、あたかも食の安全が確保されたかのような報告でありますが、全文が記載された英語版の協定案では、アメリカが求めていた食品添加物の認可数を増やすことを決めた閣議決定を誠実に実施することを約束しています。日本の皆保険制度など、各々の国が制定した社会保障などのルールが多国籍企業の活動の妨げになると判断されれば、企業が国を訴えることができるISD条項についても、濫訴防止のために「3つの抑制規定」を設けたと成果が強調されていますが、いずれもこれまでのISDの規定にすでに含まれている条項であり、抑制の保障たりえるものではありません。政府調達についても、もっぱら日本側の企業がベトナムやタイなどに進出可能となるなど、日本からの企業進出について述べられている一方で、では日本にどのような企業が進出してくることが想定されるのか、また、その際公共事業の入札などにどのような形で関与してくるのか説明がありません。
 さらに薬の価格・薬価については、日米間の合意文書がかわされ、TPPより厳しい規制は認めないことを基本的な考え方とし、薬価の高騰を防ぎ、安心した医療を保障してきた日本の薬価の公定性の見直しが迫られる余地が残されました。安価な後発薬の開発の遅れや、医薬品などの価格高騰につながるなど日本の薬価制度が一層脅かされる危険が示されています。
 以上、様々述べてきましたけれども、今回明らかになったTPP  大筋合意の内容は、私たちの暮らしや本市農業、経済に深刻な影響を及ぼすものです。大切なことは、大筋合意と協定案の全体、交渉経過などの情報を全面的に公開し、国会、国民の中で徹底的な議論を行うことです。国会決議に違反していないか、日本の農漁業や経済、国民の暮らしにどう影響するのかを検証することが求められます。また、その影響や課題を政府のTPP大綱が解決しえるものであるのか?残念ながら野党が求めた臨時国会が開かれない状況で、詳細な検証・議論は現時点では行われていません。こうした検証をなしに、TPP 批准に突き進むことは許されません。
 私個人は、協定への署名や批准を行うべきではないという立場ですが、まずは意見書が求めているように徹底した情報公開と国会での徹底審議を求めることが、農業を基幹産業とする本市の議会としての最低限の役割であると考えます。
 意見書への議員各位の賛同を求め、意見書への賛成討論といたします。

2015年9月議会質疑・討論

「安全保障関連法に反対する意見書」に対する賛成討論 山部洋史

「安全保障関連法に反対する意見書」(PDFファイル 0.26MB)

 2015年9月議会 日本共産党熊本市市議会議員 山部洋史
 日本共産党熊本市議団の山部洋史です。
 私は、本議会に提案されました「安全保障関連法に反対する意見書」について、この意見書に賛成する立場で討論をいたします。
 
 まず、私がこの安保関連法に反対する理由の第一は、集団的自衛権の行使を可能とする本法制が、日本国憲法第9条を真っ向から蹂躙するものだからです。
 
 国会での審議を通じて、本法制が、アメリカなど他国が海外で行う軍事行動に日本の自衛隊が「集団的自衛権行使」の名の下に協力し荷担していくことを許す、憲法違反の法制であることが明確となりました。圧倒的多数の憲法学者をはじめ、元最高裁判事、内閣法制局の元長官までもが憲法違反と断じています。
 日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、海外で武力を行使することになれば、日本の側から武力紛争を引き起こすことになります。国際紛争を解決する手段として、国権の発動たる戦争と武力による威嚇、武 力の行使を禁じた憲法9条への明白な違反にほかなりません。
 いっぽうで、衆参の国会審議を通じ、この法制を正当化する政府の論拠はことごとく崩壊しました。最高裁砂川判決には集団的自衛権への言及はなく、引用部分は判決を導き出す論理とは直接関係のない「傍論」であることが国会の審議を通じて明らかになりました。安倍総理は「ホルムズ海峡での機雷掃海」を、衆議院では集団的自衛権行使の典型例としてあげ、「それ以外は念頭にない」とまで述べていたにもかかわらず、参議院審議の最終局面で「現実には想定していない」と全面撤回しました。
 
 理由のふたつ目は、自衛隊の中枢の暴走ともいうべき内部文書の存在が明らかになったという問題です。
 参議院の特別委員会で明らかになった統合幕僚監部の内部文書には、日米両政府全体にわたる「同盟調整メカニズム」を常設し、そこに「軍軍間の調整所」を設置することが明記されていました。これは、アメリカが世界のどこであれ、戦争を引き起こした場合に、米軍の指揮下で、あらかじめ策定した作戦・動員計画に基づき、自衛隊・政府・自治体・民間事業者がアメリカへの戦争協力を実行するものです。まさに「自動参戦装置」であり、わが国の主権を投げ捨てるものです。
 くわえて河野統合幕僚長が、昨年12月に訪米し、米軍幹部と会談した際、安全保障関連法案は「来年夏までには終了する」と米軍側に報告したことが、会談録と思われる内部文書で明らかになりました。国会に法案が提出さえされてもいないうちから、しかも第2次安倍内閣が組閣されていないうちにもかかわらず、自衛隊幹部が米軍に法案の成立を明言する行為は、内閣も国会もないがしろにした、許しがたい「軍の暴走」です。この内部文書について、政府は当初その存在を認めず、「会談の中身は公開できない」と言っていましたが、9月13日放送のテレビ番組で、はからずも高村副総裁自身が会談録の存在を事実上認める発言を行い、内部文書の存在を裏付けました。
 国会閉幕後、安倍首相は「『戦争法案』といったレッテル貼りは根拠のない不安を煽り、無責任だ」とのべましたが、しかしこの安保法制が、自衛隊が海外で米軍と肩を並べて戦争するためのものであることを、この文書ほど露骨に示すものはありません。
 
 そして三つ目は、この安保法制を成立させることについて、国民の支持を得ることができなかったということです。
 安倍首相自身が9月14日の参院特別委員会で、安保法制について「支持が広がっていないのは事実だ」と、認めた上で「成立し、時が経ていくなかで間違いなく理解は広がる」とのべました。しかし実際はどうでしょうか。
 強行成立後の19、20両日に報道各社が行った緊急世論調査によると、「国会審議を尽くしていない」は8割近くに及び、政府・与党が「国民に充分説明していない」「説明が不十分」も7〜8割に。安保法成立について「反対」「評価しない」は、何れも過半数にのぼり、3割台の「賛成」「評価する」を大きく上回っています。「理解は広がる」どころか、民意との隔たりをいっそう広げています。
 
 学生が、研究者が、文化人が、ベビーカーを押したママたちが、そして戦争を体験した高齢者が、思い思いの自分の言葉で反対の声を上げ、全国各地でデモを行いました。なぜこれだけの人たちが、声をあげ、行動を起こさなければならなかったのでしょうか。
 15日に行われた中央公聴会で、国会前デモのリーダーのひとりである大学生、シールズの奥田愛基さんは、「私たちは、この国で民主主義のありかたについて、この国の未来について、主体的に一人ひとり、個人として考え立ち上がってきているのです」「政治のことは選挙で選ばれた政治家にまかせておけばいい。この国には、どこかそのような空気感があったように思います。それに対し、私たちこそが、この国の当事者、つまり主権者であること、私たちが政治について考え、声をあげることは当たり前なのだ」と口述しました。
 
 民主主義とはなんでしょうか。異論や批判に謙虚に耳を傾け、異なる立場であっても事実と道理に立って、真剣な審議を尽くすという不断のプロセスです。しかし安倍首相は「決めるべきときには決める。それが民主主義だ」と言い放ち、小選挙区制がもたらした“虚構の多数”、国会での数の暴力で採決を強行しました。
 
 権力をしばり、国民を守るはずの憲法を、時の政権が国民の声を聞かず勝手に覆し「海外で戦争をする国」につくりかえる―、まさに、今回の安保法制は、平和主義、立憲主義の破壊のみならず、民主主義をも真っ向から否定するものです。単に安全保障の問題だけでなく国民と国家のあり方そのものに関わる大問題だからこそ、立場の違いをこえた、幅広い層の人たちが声をあげ、行動しているのです。
 
 私たちには、この声に政治がどう応えるのかを示す責任があります。市民から付託を受けた議員として、この意見書をめぐる判断は非常に重いものです。日本の将来がかかった重要な局面であることを今一度考えていただくことを呼びかけます。
 以上のことから本議会におきましても、安全保障関連法の違憲性、危険性をしっかりと認識していただき、「安全保障関連法」に反対する意見書に賛同していただけますよう、お願い申し上げまして、私の賛成討論といたします。

2015年9月議会質疑・討論

請願第8号 「川内原発1号機の稼働中止と川内原発2号機の再稼働前に、九州電力に対して住民説明会開催を申し入れることを求める」請願への賛成討論 山部洋史

「川内原発再稼働反対等請願への賛成討論」(PDFファイル 0.24MB)

 2015年9月議会 日本共産党熊本市市議会議員 山部洋史
 日本共産党熊本市議団の山部洋史です。
 請願第8号 「川内原発1号機の稼働中止と川内原発2号機の再稼働前に、九州電力に対して住民説明会開催を申し入れることを求める」請願に賛同する立場で、賛成討論を行います。
 
 九州電力は2015年8月11日、川内原発1号機の再稼働を強行しました。しかし直後の8月20日、復水器の細管から海水が漏出する事故が発生し、九電から「出力上昇を一週間延期する」という情報が出されました。しかし、九電は復水器を部分的に止めて施栓をしただけで、出力を上げるとしています。
 住民にとって、なぜ配管が破損したのか、なぜ再稼働前の検査で発見できなかったのか、老朽化が深刻な状態でないのか、など疑問は尽きません。多くの住民の反対の声を無視して再稼働された川内原発は、立て続けに住民に不安を与え、改めて原発の安全性に疑問を投げかける事態となっています。
 
 政府は、2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」において、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」としています。
 一方で原発の再稼働にたいして、原発周辺の住民をはじめ多くの国民が不安を感じています。世論調査でも、再稼働に反対する最大の理由は、「安全性に疑問がある」(南日本新聞)「事故が起きれば深刻な被害が出る」(時事通信)というものです。また、原発再稼働で影響を受ける地域は、立地自治体とその周辺だけではありません。福島原発事故では、周辺数十キロメートルまで避難地域となり、放射能汚染は200キロメートル以遠にまでおよびました。
 2014年4月に出された、福井地裁の大飯原発運転差し止め判決では、250キロメートル圏まで被害が及ぶ可能性を認めました。判決が事故によって250キロメートル圏内の住民の人格権が侵害される恐れがあることを認めたように、本市から約160キロメートル圏内の距離にある川内原発の再稼働は、まさに本市市民の安全にかかわる重大な問題です。
 また、火砕流到達距離としている川内原発の周辺160km圏内には九電が将来活動する可能性があるとする火山が14あります。3万年前の姶良(あいら)カルデラの噴火では火砕流が今の川内原発のある場所に到達した可能性を九電自身が認めています。
 川内原発は、五つの巨大な火山のカルデラに囲まれており、火山学の専門家は「いまの火山学のレベルでは、噴火の予知はできない」といった発言を繰り返してきました。しかし、九電は適合審査のなかで「破局的噴火が起きる可能性は、極めて低い。もし起きたとしてもモニタリングで数十年前に破局的噴火の前兆をとらえることができる」「そのときは、原子炉を停止して、使用済み核燃料は移動させる」などと説明し、規制委員会もこれを妥当として追認したことは、重大問題と言わざるを得ません。
 
 避難計画もずさんです。一応の避難計画を策定しましたが、5キロメートル圏内の避難が終わってから、5キロメートル以遠の避難を行うという二段階で避難をおこなうことになっており、いっせい避難が想定されていません。福島事故の教訓をふまえるならば、あらゆる事態を想定すべきであり、現実的な対応とはなっていません。交通渋滞や、台風や大雨、地震などの複合災害も想定されていません。
 さらに、30キロメートル圏内の自治体にある医療・介護施設の中で避難計画を作成しているところはわずか4%にすぎず、施設の高齢者や患者の多くは、ひとたび事故が起きれば取り残される危険にさらされています。
 福島原発事故の避難のさい、原発の近くにあった双葉病院では、要援護者の避難が困難をきわめました。病院から避難を完了するまで5日間かかり、避難途中で病状が悪化して次々と亡くなって、月末までに40人の命が奪われたのです。その痛苦の教訓がまったく生かされていません。
 住民自身が「机上の空論」と呼ぶ、この避難計画について、規制委員会は審査の対象にすらしていません。避難計画策定を「自治体の責任」とし、実効性を問わない形式的な確認で、2014年9月に、安倍首相を議長とする国の原子力防災会議が「具体的かつ合理的」であるとして了承しただけです。まさしく、「福島のような事故は起きない」という「安全神話」の復活です。
 
 ところが、これらの問題がありながら、この間実施された住民説明会は、鹿児島県が昨年10月に薩摩川内市内など原発30キロメートル圏内の5カ所でおこなったものだけです。熊本の荒尾市、水俣市、大津町をはじめ、鹿児島、宮崎3県の10市町議会が、川内原発の「再稼働にあたって九電に公開の住民説明会を求める」決議や陳情を採択していますが、九州電力は応じようとしていません。政府も住民説明会を行っていません。
 「(住民説明会に応じようとしない)九州電力の対応をよしとするのか」との衆院予算委員会での共産党笠井亮議員の追及に対して、宮沢洋一経済産業大臣は「どういう形で理解を得る活動をするかは個々の事業者に任せている」と丸投げの態度で、安倍首相も「世界で最も厳しいレベルの新基準に適合した原発については、地元の理解を得ながら再稼働する」といつもの答弁をくり返すばかりです。
 説明責任を果たさない事業者とそれを擁護する安倍政権の政治姿勢は、住民の声を聞く耳さえ持たない、およそ民主政治とはかけ離れたものと言わざるを得ません。
 
 原発がなくても電力は足りています。日本中の原発が停止した“原発稼働ゼロ”の期間は約2年、九州では3年9か月に及びました。原発がなくても電力が足りていることは、この月日が証明しています。
 経営上の理由で再稼働を急ぐ九州電力とその言い分を丸呑みする国、原子力規制員会。世論調査でも6割の国民が反対するなか、周辺自治体・住民の声も聞かず再稼働を強行した安倍政権、―民意無視の強権政治のもとで強行された道理のない川内原発再稼働は決してみとめられません。
 福島原発事故を経験した日本が今とりくむべきことは、省エネの徹底と再生可能エネルギーの計画的かつ大量の導入に精力的に取り組み、「原発ゼロの日本」を実現することです。ここにこそ、日本社会と経済の持続可能な発展とともに、新しい科学技術と産業をつくりだす道があります。
 そのことを最後に申し上げまして、本請願に対する賛成討論を終わります。

2015年9月議会質疑・討論

労働基準法改正案の撤回を求める意見書、改正労働者派遣法の見直しを求める意見書についての賛成討論 那須円

「労働基準法改正案の撤回を求める意見書、改正労働者派遣法の見直しを求める意見書についての賛成討論」(PDFファイル 0.33MB)

 2015年9月議会 日本共産党熊本市市議会議員 那須円
 日本共産党熊本市議団の那須円です。
 労働基準法改正案の撤回を求める意見書、改正労働者派遣法の見直しを求める意見書について、一括して賛成討論を行います。
 まず、労働基準法改定の撤回を求める意見書についてですが、同法案は、労働時間を「1日8時間、週40時間」とする労働法制の大原則を、「高度プロフェッショナル制度」の名で、一定の職務や年収の労働者を労働時間規制の対象外とし、何時間働いても規制はなく、残業代や夜間・休日出勤の手当もなくすことを可とする内容になっています。財界団体のかねての要求であり、かつて第1次安倍政権で導入をたくらみながら労働者の反対で断念させられた「ホワイトカラー・エグゼンプション(除外)制度」の復活といえるものです。
 労働時間ではなく「成果」で評価するとした「高度プロフェッショナル制度」のもと、実際に労働時間規制がなくなれば、「成果」が出ない場合は成果が出るまで長時間労働が余儀なくされ、また成果を出したとしても、使用者から新たな成果が求められれば、さらなる労働が強いられるなど、長時間労働が常態化、横行するのは明らかで、まさに「残業代ゼロ」「過労死促進」制度と指摘される原因はここにあります。また、法案では職種を限定し年収1075万円以上と一定の制限を設けていますが、経団連からは、さっそく職種の拡大や年収要件の緩和が要求されており、制度がいったん導入されればどこまでも広がる危険は明らかです。
 これらの内容は、安心して働くことができる労働環境を労働者から奪うものであり、労働者の健康被害は一層深刻さを増すことは間違いありません。法案には、医師の面接指導を強調していますが、残業時間が月100時間を超えた場合としており、過労死ラインの80時間を超える残業を容認しています。命の危険にさらされる状態にならなければ医師の面接指導を受けることができない。労働者を守る歯止めになっていないことを指摘したいと思います。また、例え過労死ラインを超える労働があったとしても平均してならして8時間に収まればいいという考えに基づいた「裁量労働制」についても、対象業務の拡大等が狙われており、さらなる長時間労働・健康被害を招くものであり、大きな問題であることを指摘したいと思います。
 
 次に、労働者派遣法の見直しを求める意見書についてでありますが、一番の問題点は、1985年の労働者派遣法成立以来30年間、「臨時的・一時的業務に限る」「常用雇用の代替とはしない」とする大原則を投げ捨て、派遣労働者を切れ目なく受け入れることを可能としたことです。
 これまで原則1年、最長でも3年といった期間制限をなくし、過半数労働組合等からの意見聴取さえすれば、際限なく延長できる、また個人単位でみても、有期雇用の派遣労働者は課を変えれば使い続けられるため、いつでも、どこでも、いつまでも、派遣先企業が派遣労働者を使い続けることを可能にします。
 政府は雇用安定措置が「正社員への道を開く」と言いますが、派遣元から派遣先に「お願い」するだけで、直接雇用される保証などありません。塩崎恭久厚生労働大臣も、雇用されるかどうかは「経営判断だ」と認めざるをえませんでした。
 「キャリアアップ措置がある」とも言いますが、正社員になれないのはキャリアがないからではありません。派遣労働者としても、正社員と同様な仕事をされている方は多くいらっしゃるなかで、実効性のないキャリアアップ制度は慰めにすらならないことを厳しく指摘するものです。
 第2の理由は、派遣労働者の待遇を改善するものでもなければ、正社員との均等待遇を実現するものでもないことです。法案の「均衡処遇確保措置」には、なんの実効性もありません。派遣元企業は「均衡処遇」を考慮した内容を労働者に説明さえすればよく、派遣先は、同種の業務に従事する派遣先労働者の賃金情報提供などについて「配慮」さえすれば、実現しなくてもよいものだからです。派遣労働者の86%が年収300万円以下という低賃金の是正も、正社員との賃金格差解消も、世界で当たり前の「均等待遇」の実現にもほど遠いものと言わなければなりません。先日開かれた経済分科会においても、昨年度本市において企業誘致により生まれた1071名のうち、実に868名が非正規労働者として雇用予定であることが問題としてとりあげられ、量だけではなく、質の面の向上にも取り組んでいくことが大事だというやりとりもありました。日本経済新聞社などの調査では派遣労働者の68%が、「派遣社員の根本的な地位向上にならない」「派遣社員が固定化する」という理由で反対しています。「正社員になりたい」「労働条件改善と安定雇用を」と望む労働者の切実な声を踏みにじることは許されません。
 第3の問題は、昨日10月1日から始まる「みなし雇用制度」を骨抜きにするために、その直前に、なりふり構わず駆け込みで施行させたことです。
 「みなし雇用」では、期間制限違反の労働者があった場合、受け入れ先に直接雇用の義務を課し、少なくとも違法派遣から労働者を救済することがその内容でした。当然のルールであり、だからこそ、3年前自民党も公明党も賛成し、成立したルールです。
 このまま10月1日を迎えれば、当然、企業側に直接雇用の義務が生じることになったのですが、こうしたことを避けるかのように、期間制限を撤廃した改定労働者派遣法を、ぎりぎりの9月30日にねじ込みました。
 労働者派遣法の期間制限違反があっても「みなし雇用」を適用させないなど、言語道断です。3年前に成立した法令を前提として契約した派遣労働者には「みなし雇用」の権利が発生しています。それを新法施行で奪うという過去に例を見ない非道なやり方は許されるものではありません。
 今求められることは、労働者を過労死の危険まで追い込むような法改悪ではなく、また生涯不安定な非正規雇用の枠に労働者を閉じ込めるような法改悪ではありません。
 人間らしい労働(ディーセント・ワーク)の実現は、世界の流れです。2013年9月のG20サミット(サンクトペテルブルク・サミット)の宣言でも、「質の高い 雇用を通じた成長」を課題にかかげ、「生産的でより質の高い雇用を創出することは、強固で持続可能な均衡ある成長、貧困削減および社会的一体性の向上をめざす各国の政策の核である」とのべ、「非正規雇用を減少させるため」の効果的な対策をよびかけています。
 安倍政権の「企業がいちばん活躍できる 国」とのスローガンのもと、労働法制を規制緩和し、働く人間の「使い捨て」を野放しにすることは断じて許されません。
 市議会においても、一般質問等などで、若年者の雇用の改善、所得の引き上げについて指摘をされた議員もいらっしゃいました。ぜひともこの意見書可決のため、議員各位の賛同を心から呼びかけ、討論といたします。

2015年9月議会質疑・討論

平成27年度熊本市一般会計補正予算反対討論 なすまどか

「平成27年度熊本市一般会計補正予算反対討論」(PDFファイル 0.17MB)

 2015年9月議会 日本共産党熊本市市議会議員 なすまどか
 日本共産党熊本市議団のなすまどかです。議題181号「平成27年度熊本市一般会計補正予算」について賛同できない点を指摘し、反対討論を行います。
 一点目は、おでかけ乗車券ICカード化関連経費についてです。この補正予算については、先日の予算決算特別委員会においても指摘をしましたが、ICカード化に伴い年間2000円のおでかけパス券が廃止される方針が含まれています。締めくくり質疑では、就労継続支援事業所に通う方の実態を紹介しましたが、パス券は、通所や通院、余暇活動なども含め、障がい者の社会参加を保障するために、なくてはならない存在になっています。障がい者への1割負担ということで金額が設定されスタートしたおでかけパス券でありますが、カードリーダーに通せない方のためという当初の目的に加え、就労機会が限られ、所得も限られている障がい者にとって、社会参加を促す大切な役割が現に存在しています。こうしたなかで、このパス券をばっさり切り捨てることは、障がい者への負担は、平均でも3.5倍、多い方は5倍以上の大きな経済的な負担を強いることになるばかりでなく、障がい者の社会参加の機会や権利を制限することにもつながるもので、許されるものではありません。おでかけパス券の存続とともに、他都市と比べても異常に高い障がい者への1割の受益者負担をなくすことを求めるものです。
 2点目は、小学校給食調理等業務委託費についてです。本年9校に続き、来年度さらに9校の民間委託を進める経費となっています。小学校の給食調理業務については、食育の観点から非常に大事な役割を担っているものですし、アレルギーなどへの配慮や災害時の炊き出しなどの緊急的な対応など大変重要な業務であり、民間ではなく市が直接責任をもって運営が行われるべきものだと考えます。行財政改革のもとで、財政面つまりは人件費の削減に重きが置かれている感が否めず、人材派遣会社なども担うことになる調理業務の民間への委託は、学校給食が果たす役割の質的な低下、さらには、実際は多くの非正規労働者に置き換わるなど雇用の面からしても、大いに問題があると考えます。給食調理業務の民間委託は改め、直営で行うべきであることを改めて指摘したいと思います。
 3点目は、くまもと森都心プラザへの指定管理料についてです。森都心プラザが担う図書館業務については、同制度導入の際にも、人件費の抑制が雇用の悪化につながること、ノウハウ・技術の蓄積が困難になることなどを理由に、図書館に同制度はなじまず、直営で行うよう求めてきました。近年自治体における図書館への民間委託や指定管理者制度の導入は、増加傾向にある一方、下関市では、指定管理者制度を導入した結果、人件費が抑制され、利用者に応じたサービスやレファレンスなどの充実を期することが難しいとの理由で5年前に指定管理者制度を本年度から市の直営に戻しています。こうした自治体は少なくありません。民間に図書館業務を委託した佐賀県の武雄市図書館では、スターバックスや蔦屋書店が併設され、当初全国的に大きな注目を集めました。しかし、リニューアル時に委託業者が購入した図書1万冊に古い実用書などが多数含まれている問題が発覚し、現在は市民グループが小松政武雄市長を相手取り、武雄市図書館の業務委託は違法だとの裁判にまで発展しています。また、武雄市と同じ民間業者が関わり図書館建設が進められている愛知県小牧市では、市民の間に「図書館の質を落としかねない」などと反対論が広がり、あさって投票の住民投票まで行われます。図書館運営に民間が関わるというのは、これだけ重要な問題であるということを象徴的に表しています。図書館業務は貸本業務ではなく、住民の学ぶ権利、知る権利を保障することで、市民住民が民主的な社会、豊かな地域を作るために、自ら情報を知り学ぶ場をしっかりと保障する大切な役割を担っています。だからこそ、プラザ図書館については、直営により運営されるべきであり、指定管理者の更新経費には賛同できません。
 最後の4点目は、教育総務行政経費、つまりは教育委員長をなくし、新たに教育委員を追加するための経費についてです。今議会冒頭に上野議員より指摘があった通り、戦後から続いてきた、教育行政の一般行政からの独立という基本原理を大きく転換する法改定が今補正予算の背景にあります。自治体に策定が義務付けられる「教育大綱」を通じ、また首長により任命された新教育長に大きな権限が付与されることにより、教育行政の独立性が大きく損なわれ、時の首長・また時の国家の教育観や国家観が、大きく教育行政に介入されることは、住民自治機関として教育の自由・自主性を守る本来の教育委員会の役割が大きく損なわれることにつながるものであり、こうした法改定に基づく予算には賛同できません。
 以上4点、賛同できない点を述べ、反対討論といたします。

2015年9月議会質疑・討論

2015年9月議会最終日・「MICE施設整備」質疑・経済委員長報告 上野みえこ

「2015年9月議会最終日・「MICE施設整備」質疑・経済委員長報告」(PDFファイル 0.17MB)

 2015年9月議会 日本共産党熊本市市議会議員 上野みえこ
 経済委員長報告に関連し、請願第7号のMICE施設建設についてお尋ねします。
 民間事業者の行う桜町再開発の保留床を取得する形で整備されるMICE施設には、市政史上最大、323億円もの事業費が費やされます。補助金も含めれば総額450億円です。私どものもとには、「450億円もの税金投入」に疑問の声が引きも切らずに寄せられてきます。
 市長は、就任直後、桜町再開発とMICE施設整備についての精査・再検討に取り組まれましたが3月に出された「報告書」では、9億円も事業費が増えるというとんでもない結果でした。そこでお尋ねいたします。
 @ 今年3月にだされた「精査・再検討に関する報告書」では、桜町再開発の事業費の今後の変動要因の一つとして、「資金計画熟度向上」が上げられていました。あれから約半年たち、再開発事業が認可され、権利変換計画も認可されました。「資金計画熟度向上」によって、現時点での再開発事業の資金計画は、どのように変わっているでしょうか。総事業費、補助金、MICEの建物関係費・土地関係費、従前資産額について具体的にご説明ください。
 また、震災復興・東京オリンピック開催等による建築物価の変動については、今の時点でその影響をどの程度とお考えでしょうか。
 A 権利変換計画におけるホテル、マンション、商業施設、MICE施設、それぞれの床単価をお示しください。
 B 再開発事業全体の事業費抑制について、再開発事業者に今後の検討が投げかけられていましたが、今の時点で具体的な提案がなされているでしょうか。なされていなければ、今後いつ頃、どのような形で提案されていくのか、その見通しについてご説明ください。
 C 経済波及効果は、精査・再検討で約2億円増えて、年間生産誘発額が約170憶円とされました。その内訳、直接効果額・間接1次波及効果額・間接2次波及効果額をお示しください。また、直接効果額の内容別効果額について、ご説明ください。
 以上、関係局長に伺います。

(答弁)

 熊本市が、MICE施設の保留床価額が適切なのか、MICE整備事業費が今後どのように抑制されていくのか、全く見えない答弁でした。

 まず、民間が取得する床の各単価は個人の財産状況にかかわるのでお答えできないということでありました。しかし、保留床価額が適切であるか検証としようと思えば、民間の各保留床単価と熊本市の保留床単価の比較は、当然すべきであります。
 今年1月の中心市街地活性化特別委員会では、再開発事業全体の保留床面積は112,930uと説明されました。熊本市が取得する保留床が30,980uなので、民間の所有する保留床面積は81,950uとなります。その時の資料で、民間の保留床取得金総額は266憶円と書かれてありましたので、住宅も含めて九州産交が取得する民間部分の保留床単価は約32万円ということになります。答弁にありましたように、市がMICE施設として取得する保留床の単価は、約99万円ですから、民間の取得する床単価の3倍以上だということになります。驚くような高い保留床単価を、なぜ熊本市が負担しなければならないのか、とても納得できません。
 そこで、少し詳しく見ていきます。市が払う保留床取得金の内訳は、建物関係費が218億円、土地関係費が90憶円です。そのうち、土地関係費の部分では、MICE部分の施設建築敷地面積のうち、熊本市の所有分は39%とのことなので、面積にすると11,800uです。市が負担する90億円の保留床取得金を面積で割ると、1u当たりの土地の価格は762,712円です。参考までに、周辺の路線価・固定資産評価額を見ると、桜町地区の一番高い地点で1u当たり37万円です。これを実勢価格に割り戻すと、1u当たり528,571円です。なぜ、一般的な不動産価格の1・5倍以上もの土地代金を熊本市が負担しなければならないのでしょうか。路線価から計算する実勢価格で建築敷地面積の価格を計算すると、約160億円です。熊本市は、39%・4割の土地を所有するのに、土地代の6割近くを負担することになります。どう計算すれば、こんな高い負担額になるのかわかりません。今回の保留床価額算出に当たっては施行地区内を一つの土地と考えて、計算されていると思いますが、土地を部分で分けるならば、一番奥まった路線価も安い部分の土地を使用するにもかかわらず、高い土地代を払わされるという極めて矛盾した状況にもなっている訳です。
 さらに言うならば、熊本市が負担する土地の単価で計算すると、敷地面積の土地価格は230億円にもなります。桜町再開発の従前資産は185億円なので、権利変換計画上土地の価格は不当に大きく計算されていることになります。それとも市の負担する土地代だけが不当に高いのでしょうか。
 私は、今年1月の中心市街地活性化特別委員会でも、桜町再開発の保留床取得金が民間に比べて高いという問題を取り上げました。そのとき、担当課からは、「まず大きな違いは、MICEの部分は内装まで全て終わった形である。民間のところは、引き渡し後、内装工事ということで、まず内装の単価が違う。また、MICEは、ホール等があるので、どうしてもグレードの分でいくと、平米単価は高くなろうかと思う。」との答弁がありました。しかし、そんな説明が一般論として通用するでしょうか。私は、民設・民営のコンベンション施設も見てきましたが、3倍もの建設費をかけるならば、民間によるコンベンション施設整備は成り立ちません。グレードが高く、仕上げもいいからと費用が3倍も高くなるようなムダづかい施設は建設を中止すべきです。
 一方で、今回指摘した法外な土地代には、そんな理由も通用しません。先ほど言いましたように、そこだけ買うとなればむしろ安いだろうと思われる土地に高いお金を払わされるのですから、どう考えてもおかしな話です。
 3月に出された「精査・再検討報告書」では、保留床価額の精査を、今年1〜5月までの権利変換計画作成の段階で再開発・工事費積算の専門家による精査と、今年5月の権利変換計画認可申請時の保留床価額の不動産評価と、今の時点でも、この二つの段階での検証が行われていることになっています。
 そこで、市長に伺います。
 @ 具体的に保留床価額の精査がどのように行われたのか、きちんと報告は受けられているのでしょうか。
 A 保留床価額、特に今回私が指摘した土地関係費の部分は、グレードがどうのこうのというような言い訳ができない、逃れようのない矛盾があります。市長は、そういうことを理解されて桜町再開発へのMICE整備を推進されているのでしょうか。
 B なぜ、高い保留床価額を負担しなければならないのか、今日この場での説明は難しいと思いますが、後日、詳しい積算根拠を示して、議会や市民に対して納得のいく説明をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上3点、お尋ねいたします。

(答弁)

 @ 議会と市民への納得のいく説明なくして、多額の税金をつぎ込むことは許されません。3番目の質問にあいまいな答弁でしたが、積算根拠を示した説明は、ぜひお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 A なんといっても、市政史上最大のハコモノとなります。お答えがありましたように、450億の事業費の大部分を占める308億円の保留床取得金については、その積算を市民に示し、納得のいく説明をされますよう要望して質疑を終わります。

2015年9月議会質疑・討論

2015年9月議会最終日・「桜町再開発・MICE施設整備」質疑A・都市整備委員長報告 上野みえこ

「2015年9月議会最終日・「桜町再開発・MICE施設整備」質疑A・都市整備委員長報告」(PDFファイル 0.14MB)

 2015年9月議会 日本共産党熊本市市議会議員 上野みえこ
 都市整備委員長報告に関連して、請願第10号「桜町再開発への多額の税金投入中止を求める請願」についてお尋ねいたします。
 市長は、先ほどの経済委員長報告に関連する質疑の中で、308億円の保留床取得金について、詳細な説明を行うことについて、・・・・
 
 (答弁)
 
 私は桜町再開発へのMICE施設整備について、市が支出する保留床取得金の積算は全く不透明で、いま公表されている数字を見ると、積算のあり方に大いに疑問がありだと思っています。
 
 もともとこの桜町再開発へのMICE施設整備は、前市長が公約し、整備をすすめてきた事業であります。しかし、民間企業の九州産交・HISがつくる「再開発会社」による施行という事例の少ない手法による再開発であり、しかも、これまで幾度も指摘してまいりましたように、地権者が1名というこれも超レアなケースであります。途中から借地権者が1名ということで、1地権者による脱法的な再開発をカモフラージュするかのようなやり方にもなっていますが、地権者である九州産交の所有する本社ほか老朽化した建物を、再開発という手法によって、税金丸抱えのようなやり方で建替えるという本質は何ら変わっていません。
 桜町再開発は、民間事業とはいえ、補助金ならびに保留床取得金で市が450億円もの税金を投入する市政史上最大のハコモノです。市民へ説明責任を果たしていくことと合わせて、徹底した情報公開と公正な事業としての実施が必要です。
 3月に出された「精査・再検討報告書」では、保留床価額の精査を、権利変換計画作成の段階で再開発・工事費積算の専門家による精査と、権利変換計画認可申請時の保留床価額の不動産評価と、現時点でも、二つの段階での検証が行われているはずです。
 現在事業は、5月の事業認可を経て、7月末には権利変換計画も認可されて、資産や権利関係は、書面の上ではほぼ確定した状況になっています。それなのに、熊本市が事業費の7割近く、450億円もの税金をつぎ込む事業の内容がほとんど説明されないというのは本当に問題だと思います。
 特に、308億円の保留床取得金の積算根拠について納得できる説明をいただくのは、市が多大な財政負担をするうえで不可欠であると考えます。いかがでしょうか。
 
 (答弁)
 
 熊本市が再開発に126億円もの補助金を出して、MICE施設整備も含めれば、450億円もの事業費を市が負担する大事業でありながら、支払う保留床代金が適切であるのか、検証もないまま、説明のつかない矛盾を棚に上げて、整備をすすめることは許されません。
 なんといっても、市政史上最大のハコモノとなります。(お答えがありましたように)、450億の事業費の大部分を占める308億円の保留床取得金については、その積算を市民に示し、納得のいく説明をされますよう要望して質疑を終わります。

2015年9月議会質疑・討論

2015年9月議会最終日・2014年度一般ならびに特別会計決算反対討論 上野みえこ

「2015年9月議会最終日・2014年度一般ならびに特別会計決算反対討論」(PDFファイル 0.21MB)

 2015年9月議会 日本共産党熊本市市議会議員 上野みえこ
 議題246号平成26年度熊本市各会計(公営企業会計を除く)決算について、賛成できない理由を述べて、反対討論を行います。
 第1に、市政史上最大のハコモノ建設となる「MICE施設整備」が強硬にすすめられた年度でありました。MICE施設が整備される桜町再開発には、桜町再開発会社に対し、基本設計ならびに資金計画・測量事業に2億95万円の事業費助成が行われました。
 桜町再開発は、九州産交(HIS)が行う民間事業でありながら、資金計画を見ると総事業費約700憶円の6割以上434憶円を税金で負担するもので、老朽化した九州産交の社屋を税金で建替えるような事業です。しかも、65憶円もの補償費は、再開発によって撤退を余儀なくされた県民百貨店やセンタープラザテナントには出されず、支出先の基準やその積算も不透明です。再開発会社が運転資金として借り入れる122億円の借入金は、その約半分を熊本市が調達し、利子は市が負担、無利子で再開発会社に貸付けるもので、事業費だけでなく、運転資金も市が面倒を見る形です。
 契約についても、「基本設計・実施設計等業務委託」の公募プロポーザルでは、1社の応募で競争性のない契約が行われおり、他の契約も銃殺情報すら公開されておらず、公に則った公正な契約というならば、すべての契約について予定価格・落札額・応札者など、入札状況を公開し、透明性のある公正な契約業務を行っていくべきです。
 昨年秋に「商業計画・商業運営管理方針等策定業務」の委託事業者が決まりましたが、商業スペースの入居テナントの決定状況は未だ不透明です。多額の事業費を市が税金で負担するだけに、事業の内容や進捗状況など、詳細を市民へ説明し、合意形成を図るべきです。
 昨年は、11月に市長選挙が行われ、年度途中で市長の交代となりました。450億円もの事業費を費やす桜町再開発事業については、新市長のもとで改めて事業の必要性等を検証し、市民にその是非を問うべきであったと思います。しかし、大西市長が行った精査・検討では、むしろ事業費は9億円もの増加となりました。しかも、市民に合意を求めるどころか、十分な情報提供も説明責任も果たされないまま、強硬に事業がすすめられており、再開発によって県民百貨店やセンタープラザが閉店となり、多くの失業者を生んでしまったことと合わせて、厳しく問われるべきであると考えます。
 また、多くの市民が反対する中、年間30万人もの市民が利用し、桜町周辺の賑わいの拠点ともなっていた産業文化会館は完全に取り壊されました。しかし、産業文化会館の廃止解体は、裁判でも争われていますように、廃止解体に合理的理由があったのか、耐震補強ではなく、解体となったその根拠資料がきちんと議会に示されていなかったことも明らかになり、議会が適切な判断を下せる状況にあったのか、改めて疑義が出されていることは極めて重大な問題であります。その跡地につくられた花畑広場は、今後桜町地区の賑わいの拠点になっていくのか、イベントの無い日の閑散とした状況を見ると心配されます。しかも、11億円もの予算が使われる産文跡地の隣接買収は、建っている2棟のビルのうち、1棟は未だ入居者の立ち退きが行われておらず、とってつけたような広場整備の矛盾を象徴しているかのように見えます。いずれにしても、中心商店街との回遊性を目的に掲げながら、その効果が見られない城彩苑の現状も含め、市民合意のないムダづかいの数々が決算に賛成できない理由の第1です。
 第2に、矛盾だらけのムダづかいの一方、市民からの切実な要求は置き去りです。
 大型ハコモノのムダづかいのツケは、各局の公共施設の建設や維持・管理・補修費に直接影響しています。
 教育委員会へ提出された小中学校等の修繕・維持管理に関する様々な要望では、
 維持補修予算が査定により減額となったことで、なかなか応えられず、次年度へと要求が繰り越され、毎年同じ要求を繰り返すという状況があります。
 政令指定都市移行によって、国県道の管理が市の仕事になりました。莫大な費用のかかる国県道管理のために、住民生活に密着した生活道路の整備費用の確保が難しく、昨年度は市民からの相談・要望のうち、78%にしか対応できませんでした。高規格となる外環道整備よりも、身近な生活道路の整備にこそ、予算を確保していくべきです。
 長いものは開設して23年にもなる地域コミュニティーセンターは、3分の2が建設から10年以上経ち、修繕要求がいっぱいです。ところが、修繕費が足りないために、簡易な修繕ですらも数か月待ちという状態です。
 市営住宅でも、未修繕の空き家は年々増え、昨年度500戸以上も残している状態で、畳替えや水回り、外壁など、必要な修繕に予算が追い付いていません。
 アセットマネジメントが作成されていますが、施設の長寿命化のためにも、大型ハコモノより、暮らしに身近な各種インフラの維持管理補修費の拡充を強く要望いたします。
 社会保障分野でも、特別会計では、国民健康保険会計が年度末の累積赤字20億円となりました。医療費等が増えたという要因もありますが、一般会計繰り入れの赤字補てん分が昨年に比べ減額になったこともあります。一方、負担の限界を超えた国民健康保険料は、所得200万円4人の標準的な世帯で比較した場合、政令市で高い方から2番目へと、政令市の中でもさらに負担が重くなりました。この間実施されてきた「国保会計健全化10カ年計画」昨年度末で終了しており、新たな形で国保財政が安定して運営できるような具体的な一般会計からの支援を速やかに実施すべきです。
 受診率が低下しているがん検診については、早急に無料化を実施すること、敬老祝品を祝金へ変えること、福祉タクシーなど障がい者の移動支援の拡充や国保の鍼灸マッサージへの助成など、ムダづかいの陰で犠牲になっている各種社会保障制度の拡充も急がれる課題であると考えます。
 第3に、大型ハコモノ優先の中で、住民サービスを切り捨てるような行財政改革も断行されてきました。職員数の抑制の中で、常勤職員は減らされ、身分の不安定な嘱託職員が次々に増やされ、官制ワーキングプアともいうべき実態が広がっています。加えて、経済分野では、企業誘致に力が入れられながら、実際には雇用は非正規が8割を占めるというような、住民の側から見るなら矛盾した雇用状況になっています。職員・労働者のモチベーションを高め、よりよい雇用と労働者の暮らし実現のためにも、熊本市自らが、非正規雇用を増やしていくような状況は改めていかなければならないと考えます。
 また、行政改革の柱の一つでもある民間委託の推進は、昨年度新たに、公立保育園・1園が民営化され、動物愛護センター業務の一部民間委託、浄書業務の民間委託、森都心プラザの市民サービスコーナーの民間委託など、さまざまな分野で広がりました。これも、また民間に委ねることで不安定雇用を増やすことになるとともに、仕事のノウハウが積み重ならないこと、人材育成の面からもマイナスであるなど、問題はさらに深まるばかりです。
 最後に、議員の不当な圧力が行政を歪めている問題は、市議会にとっても、行政にとっても大変由々しき問題です。昨年度、北口議員の暴言や圧力によって、食肉センター移転に係る契約が不成立に終わったことをはじめ、農業排水路等の工事がストップして、予算が次年度へと繰り越されてしまったこと、民間高齢者住宅の建築許可に係る問題でも不当に建築許可が遅れてしまったことなど、議員の不当な行いに行政が振り回され、結果的には、さまざまな分野において、速やかに行われるべき業務に支障が出てしまったことは、極めて重大です。今後、議会と執行部のゆがんだ関係が正されるとともに、市政に圧力をかけてきた議員本人についてもその責任が問われるべきであります。
 以上、昨年度の決算について問題点を指摘し、反対討論といたします。

2015年3月議会質疑・討論

2015年3月議会最終日「中心市街地活性化特別委員会報告」反対討論 上野みえこ

「中心市街地活性化特別委員会報告」反対討論(PDFファイル 0.18MB)

 中心市街地活性化特別委員会の多数意見として取りまとめられた「桜町再開発とMICE整備の推進について、中心市街地活性化に関する特別委員会としての要請」を含む、「中心市街地活性化に関する特別委員会報告」についての反対討論を行います。

 報告にもありますように、本委員会は、中心市街地のにぎわい創出と回遊性の向上を図るための、桜町ならびに花畑地区再開発事業と、中心市街地活性化のための諸施策についての調査・検討を行うこととし、4年間にわたって様々な論議を積み重ねてきました。本市がこの間策定してきた「2期中心市街地活性化基本計画」「コンベンションシティ基本構想」「桜町・花畑周辺地区まちづくりマネジメント基本構想」「コンベンショシティ基本構想」「桜町・花畑周辺地区まちづくりマネジメント基本計画」「MICE施設整備基本計画」等に意見を述べるとともに、桜町・花畑地区における再開発事業について、その時々における進捗状況に対し、意見交換・調査を行ってきました。

 この間の桜町・花畑地区の状況は、委員会設立当初の2011年は、大劇場構想に始まった花畑地区再開発事業が進行中であり、桜町地区の再開発がどのようになっていくのかも含め、両再開発の動向は不透明でした。一方で、前市長が3期目の市長選挙にあたって掲げた「中心市街地における国際水準のコンベンション施設整備」という方針に沿って、大型コンベンション施設・MICE施設の整備が具体的な形で検討されてきました。

 花畑地区再開発は、閉鎖された産業文化会館とその隣地に立つ2棟のビル、その横の民間駐車場部分をA街区とし、そこに業務や商業等の集積した民間中心の再開発ビルを建設すること、花畑公園を挟んだ今後NHKが建設される予定の地域をB街区として産業文化会館に代わる中規模市民ホールを中心に民間と一体になった再開発ビルを建設していく形で事業計画が検討されていました。しかし、B街区のビルへのNHKの参入断念を受け、結果的にはA街区を含め再開発事業はすべてがとん挫、事業断念という結果になりました。私ども日本共産党市議団は、花畑地区の再開発事業については、事業の推進は難しいという立場で繰り返し意見を述べてきており、事業断念は当時の社会情勢を見るならば、当然ともいえる結末でした。再開発事業の推進を理由に閉鎖された産業文化会館は、まだ30年も経っておらず、閉鎖のために2億6000万円もの移転補償費が払われていました。花畑地区再開発へも1億円以上の補助金をだしました。4億円近い税金を無駄にし、再開発事業がとん挫したことは、前市長が厳しく問われるべき問題であったと考えます。

 そこで、本来ならば、花畑再開発事業がとん挫した時点で、閉館した産業文化会館やその後の花畑地区のあり方については、原点に戻って論議をやり直すべきところでしたが、市が出した方針は、突然の広場整備というものでした。議会に何の相談もなく、方針を変更し、勝手に出された新しい広場整備の方針には議会もすぐには納得することはできませんでした。しかも、再開発事業は桜町地区へ大きくシフトし、九州産交を中心にした民間事業者が行う桜町再開発事業にMICE施設を整備し、市が200数十億円の床取得費と再開発補助金数十億円を出すということで、3000人収容の大会議場を建設するということが発表されました。花畑地区は、市が否定し続けてきた広場整備へと突如変わったこと、桜町地区へのMICE整備には300億円にも上るような莫大な市の負担が発生することで、市議会としてもさまざまな意見が出されました。そういう経過の中で、2013年3月議会で「桜町・花畑地区の附帯決議に関する特別委員会」設置が可決され、同年4月から6月にかけて、桜町地区・花畑地区の整備に関して集中的な審議が行われました。しかし、この附帯決議に関する特別委員会もまた、2013年6月議会に報告された特別委員会とりまとめに益田議員が反対討論を行いましたように、市民への十分な説明責任も果たされないまま、凍結されていた花畑広場整備予算が解除され、産業文化会館は解体へ、民間ビル2棟の用地買収へと進んでいきました。

 ところが、議会の懸念をよそに、広場整備費は最大で40億円、MICE整備は400億円と事業費はさらに膨れました。産業文化会館は、市民から解体予算の執行停止を求める住民監査請求が出され、その後予算執行停止を求める住民訴訟へと発展しました。その傍ら、産業文化会館は市民の抗議の中で解体が執行され、更地になってしまいました。裁判は、解体費の返還を求める訴訟へと切り替えられました。

 こうした経過を見ると、熊本市がまともな説明責任も果たさないまま、住民不在の状態で、強硬に再開発事業や広場整備をすすめてきたことがよくわかります。

 しかも、市が現在最優先の課題としてすすめているMICE施設整備は、昨年4月の桜町再開発事業都市計画決定時の補助金を含めた整備費400億円が、昨年の市長選後の11月には、さらに40億円増えて440億円となりました。そして、現在の予定額はさらに9億円増えて約450憶円であります。市政史上最大の投資となるMICE整備については、賛否両論ありますが、私ども日本共産党市議団は、不要不急のハコモノ建設として、その問題点を指摘し、計画の中止を求めてきました。補助金まで含め450億円という事業費があまりにも大きいこと、建設費のみならず、建設後の維持管理費負担が毎年10億円近くかかること、建設時の借金返済も毎年15億〜20億円を20年間払い続けなければならないこと、一方で収支黒字と言いながらその根拠があいまいなこと、中規模ホール機能追加に9億円もの費用負担増となるのに、なんにでもは使えない中途半端な中規模ホールでしかないこと、そもそも桜町再開発事業が市民の大切な税金を450億円も使いながら、市民のためでなく民間事業者の儲けのための再開発であること、しかもこの大事業が市民にほとんど説明もされないまま漫然とすすめられていること、こんな無謀な桜町再開発の事業認可はみとめられない、MICE整備も進めるべきではないと、先日の本特別委員会の席上で意見を申し述べたとおりです。

 特別委員会は、本来、調査のための委員会であって議決をする場ではありません。しかし、委員会の取りまとめとして、MICE整備を推進する立場でのまとめを多数決で強硬に採決したことは、委員会のあり方として極めて問題です。私だけでなく、他数名の反対者がいたことも、このMICE整備がまだまだ合意の得られていない状態であるということをはっきり示しているのではないでしょうか。賛否両論ある中で、委員会の多数意見として「桜町再開発とMICE施設推進」を取りまとめたことは、議会として大いに問われるべきであると思います。特別委員会の取りまとめとしては、多数がMICE推進というのでなく、賛否両方の意見を併記し、多数決で推進を決めるような締めくくりをすべきでなかったことを指摘いたします。

 また、 2014年9月議会に提出された桜町再開発事業へのMICE整備に係る陳情・3件は、「中心市街地活性化に関する特別委員会」に付託されながら、昨年9月議会でも、12月議会でも特別委員会は開催されませんでした。私どもは、議会として市民の付託に応えるべきと、9月議会の折から文書も提出し特別委員会開催を求めてきましたが、開催されたのは、年明けとなった本年1月でした。事実上、市民からの陳情は棚上げにされてしまい、この点でも議会としてのあり方は問われるべきと思います。

 以上のような理由から、私ども日本共産党市議団としては、今回の特別委員会報告には賛成できません。桜町再開発事業・MICE整備は、多額の事業費を税金として費やす大事業であり、今後とも市民への説明責任を果たし、住民合意なくすすめるべきではないこと、また議会のあり方としても、指摘した点を踏まえるべきであるということを申し上げて、反対討論といたします。

2015年3月議会質疑・討論

2014年度一般会計補正予算、15年度一般会計予算反対討論 益田牧子

「2014年度一般会計補正予算、15年度一般会計予算反対討論」(PDFファイル 0.33MB)

 2015年3月議会 日本共産党熊本市市議会議員 益田牧子

 議第22号2014年度一般会計補正予算、議第1号2015年度一般会計予算について一括して日本共産党の反対討論を行います。
 本日の地元紙一面には全国の自治体首長に実施したアンケート結果が掲載され、地域経済の活性化に向けた安倍政権の対応の対応は、「十分な実績があがっていない」と不満を示す声が約8割。必要な景気対策としては、「規制緩和など成長戦略の推進」が49,7%でトップ。「最低賃金引き上げ等の雇用条件改善」『所得税減税などの家計支援策』が続き、企業減税は9.8%、規制緩和は2.9%にとどまったと報道されています。
 国の2015年度予算に対して、日本共産党は、3つの大問題を指摘しています。第1は、「社会保障のため」といって消費税を増税しておきながら、社会保障の切り捨てをやろうとしている第2は、大企業の減税ばらまきをしようとしている、第3は、3年連続で軍拡予算を進めていることです。地方自治体には、国の悪政に対して、暮らしを守る防波堤の役割が求められています。
 補正予算・新年度予算の第一の特徴は、国の「地域住民生活等緊急支援のための交付金」等を活用した「熊本版地方創生・地域経済活性化の推進」事業です。大西市長の公約の1つであった江津湖での花火大会も、この交付金が当てられ、「熊本版」と言っていますが、国のメニューのプレミアム商品券に10億200万円(昨年は、1500万円の予算)も盛り込まれています。国の「地方選挙」を意識した拙速な予算措置が背景にあり、経済委員会では、「一過性であり、ばらまきではないか」との意見が述べられたところです。
 私どもが提案した「地域消費喚起・生活支援型」交付金を活用した「住宅リフォーム助成制度」は、個人消費を喚起し、地元建設業者の雇用と消費を呼込むことが全国や県内でも証明されているにもかかわらず、従来のできない理由を並べ「住宅リフォーム助成制度はできない」の一点張りであり、極めて残念です。中小企業振興基本条例の立場からも引き続き実現を求めてまいります。
 第2の特徴は、福祉・教育に不十分な冷たい予算であるということです。市民病院の耐震建替え予算が「凍結」されたことは、極めて残念であり、いのち最優先の立場から、1日も早い建設再開を行うべきです。また、重度障がい者の社会参加促進のための自家用車燃料費助成制度については、7年余りの陳情が、担当課によるアンケート等を経て予算要求されたにもかかわらず、2014年度は、0査定となり、9月議会で新年度に向けた準備予算が組まれ、2015年度1140万円予算化されました。那須円議員が、保健福祉委員会で指摘したように、予算を増やし、対象についても、知的障害A1・A2としていますが、タクシー券との選択性であり、必要な障がい者が利用できるようにするべきです。
 また、大西市長の公約の「子どもの医療費助成拡充」のための予算が、1円もつかなかったことです。一般質問でも述べましたが、熊本都市圏では、熊本市は最低水準の小学3年生まで医療費助成で、3歳児以上、歯科5歳児以上は月額1科につき500円の自己負担があります。「子育て支援」の最優先の事業として、中学3年生まで無料化を実現するべきです。
 教育に関しても、中学校空調設置設計経費5500万円が計上され、来年度設置し、小学校についても速やかな設置が表明され、現場から歓迎の声が聴かれています。一方では、これまで耐震化のため遅れていた体育館やプールの改修予算が減らされ、先送りにされています。また、人件費削減のために、これまで直営だった小学校9校の給食調理等業務が民間委託となり、1億5797万8千円が計上されています。子どもたちの健康を支えるおいしい給食は、ベテランの職員やパートの皆さんの努力によって支えられており、正規職員の雇用で直営・自校方式を存続するべきです。
 第3は、熊本桜町再開発株式会社への補助金9億4700万円に加え、無利子での20億円もの貸付に象徴される大企業奉仕の予算となっており、総事業費700億円の内、450億円MICE施設整備を聖域とした予算となっています。MICE施設推進の結果、「県民百貨店」は、2月末で、閉店を余儀なくされ、従業員など1000名以上の雇用を奪い、40年以上も営業を続けたテナント業者の皆さんも1円の営業補償・移転補償もないまま放り出されようとしています。しかも、熊本市の行う再就職相談窓口設置や就職面談会開催経費は243万2千円、スキルアップ講座開催経費、資格取得講座開催経費は250万円、空き店舗への移転の改装費助成は総額1000万円に過ぎません。誘致企業への助成は5億5458万8千円と優遇されているのに、撤退を余儀なくされた地元零細事業所は、1戸当たり100万円であり、余りにも差がありすぎます。再開発会社を監督・指導するべき熊本市の責任が問われています。
 第4は、行政見通しのない「行き当たりばったり」の予算計上があまりにも多いことです。その1つが、食肉センター機能代替え施設整備事業9583万8千円が未執行となり、七城畜産流通センターへの移転費12億円の不用額計上に続き、新年度へ繰り越されていることです。この事業が「食肉センター廃止ありき」で、先の展望がないままに、施設利用者との合意形成がないまま進んでいることに大きな原因があります。
 2つは、花畑広場等を利用した賑わい創出事業1300万円の計上です。花畑再開発が破たんしたにも関わらず産業文化会館を取り壊し、約30万人もの利用者を喪失し、挙句の果ての「賑わい創出事業」であり、見通しのない政策決定がムダに無駄を重ねていることを厳しく反省するべきです。
 第5は、市営住宅や小中学校、男女共同参画センターや富合ホール、火の君文化ホール、植木文化ホールなどの公共施設の維持管理費や道路橋梁整備経費などが予算要求に対してE査定(優先順位や全体の財源なども勘案し、事業の一部を先送りしたもの)となっていることです。また、熊本の近代化遺産に登録されている市役所花畑別館の取り壊しを前提としたビル借上げ経費1億6300万円が計上されています。産業文化会館があったらと思わずにはおれません。戦後70年の記念事業として、熊本大空襲で焼け残った生き証人としても、耐震リニューアルするなど花畑別館の存続を心から要望します。北九州市は、築80年以上の戸畑区役所を図書館にリニューアル、熊本市においても、新町の長崎書店が外観を保存し、リニューアルし、書店として、まちに潤いと落ち着きを与えています。
 大型ハコ物建設は時代遅れであり、その後の維持管理費も莫大になる事を肝に命じ、「長寿命化」への転換を求めて、反対討論を終わります。

2015年3月議会質疑・討論

「農協解体をやめ、TPP交渉からの撤退を求める意見書」について、賛成討論 那須円

「農協解体をやめ、TPP交渉からの撤退を求める意見書」について、賛成討論(PDFファイル 0.17MB)

 日本共産党熊本市議団の那須円です。意見書 号、「農協解体をやめ、TPP交渉からの撤退を求める意見書」について、賛成討論を行います。
 
 日米政府は、早ければ3月中の環太平洋連携協定(TPP)大筋合意を目指して、2国間協議の決着を急いでいる状況です。交渉参加12カ国の国内総生産(GDP)の約90%を占める日米の合意をてこに、全体の合意を推進する意向です。そのため、農産物重要品目の関税協議で、日本政府が国会決議に反して米国の要求を受け入れる危険が差し迫っています。
 本議会が2010年11月に全会一致で採択した意見書では、「TPPは、例外なき関税撤廃を前提とするものであり、米などの重要品目については例外扱いし、国内産業に悪影響を与えないよう最大限配慮されてきたこれまでのEPAとは比較にならないほど厳しい内容のものである。と指摘。さらに、農業生産の縮小ともなれば、疲弊している地域経済をより一層冷え込ませ、雇用環境を極度に悪化させる恐れがあると指摘し、具体的に次の2点を求めています。
 @ 関税撤廃が原則であるTPPへの参加は、国内農業へ甚大な影響を与えるのみならず、我が国の食料事情を危うくし、食料安全保障の観点からも、国民の生活を危機的状況に追い込むことが想定されることから、具体的な対策を示すことなく参加しないこと。
 A TPPへの参加が全産業分野に及ぼすメリット、デメリットについて、国会において慎重に審議するとともに、国民に対し詳細な情報提供を行うこと。を求めています。
 
 現状はどうなっているでしょうか?報道によると、日米協議では、日本政府は、主食用米の輸入を拡大するため、無税で輸入するミニマムアクセスとは別枠で「TPP特別枠」を新設し、米国産を含めて年間5万トン規模の拡大を検討していると伝えられます。甘利TPP担当相は1月27日、米国産主食米輸入について「1粒も増やさないということは不可能だ」と述べ、聖域であったはずの米において、早々に白旗を掲げました。
 牛肉の関税では、現行の38・5%を9%前後まで段階的に削減する方向で検討。豚肉では、高額の豚肉の関税を撤廃。1キロ=542円以下の豚肉については、セーフガードの導入を条件に、1キロ当たり最大482円の関税を50円前後へ段階的に削減する方向です。
 こうした政府の対応は、農産物重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)を交渉対象にしないよう求めた国会決議に反していることは明らかです。また、本議会の意見書に照らしても、具体的な対策どころか、農産物重要5項目の聖域も守ることができず、さらには、国民に対して詳細な情報提供もなされていません。このまま交渉を進め、妥結に至ることは、本議会が超党派で求めた意思にも反するもので、速やかな交渉撤退が求められるのではないでしょうか?TPPによる甚大な影響が懸念される北海道では、党派を超えた共同が大きく広がっています。「TPP問題を考える十勝連絡会議」は、保守も革新も、党派を超えて、自治体、議会、農協、労組、医師会、商工会議所、市民団体など30団体が参加し、TPP協定交渉からの撤退の一致点による連帯の輪が広がっています。本市の基幹産業でもある農業がかつてない危機に直面する今、党派の違いを超え、国に対して本意見書をあげるべきです。
 
 次に、農協解体についてでありますが、安倍首相は、通常国会の施政方針演説で「戦後以来の大改革」を掲げ、演説冒頭で、農協と農業委員会、農業生産法人の三つの「改革」をあげました。なかでも農協「改革」について、(1)農協法にもとづく中央会制度の廃止、(2)現在の全国農業協同組合中央会(JA全中)の一般社団法人への移行、(3)農協への会計士監査の義務づけ―などに言及ししています。安倍首相が持ち出した農協「改革」は、全中が立案した自主的改革案の主要部分を否定し、首相の強い意向として全中に強引に受け入れさせたもので、農家組合員や理事者、労働者の意思を無視した強権的介入と言わざるをえません。
 さらに今後、政府は“第2弾”の改革として、これまで農産物の共同販売などを行ってきた全農を株式会社化すること、単位農協から信用(金融)と共済事業を分離、JAバンク、JA共済を分離させること、准組合員の農協事業利用を制限することなど、金融、共済を引きはがし、市場に売り渡す方向性を示しています。
 「改革」案の骨格は、農家の要望からではなく、政府の規制改革会議において、財界代表が持ち出した内容が最優先されているほか、在日米国商工会議所の意見書や米通商代表部(USTR)の「2010年外国貿易障壁報告書」に示されているとおり、監査権廃止は農家の要求ではなく、日米財界の要求であること明らかになりました。
 安倍首相の、強い農業をつくるため、農家の所得を増やすための「改革」は、戦後農政の民主的なあり方を根本から崩壊させるとともに、地域に定着する家族農業とその共同組織が担ってきた農業生産・農地管理、販売・購買、信用・保険などを、営利企業のあらたなビジネス・チャンスとして提供するという、財界が繰り返し要求してきた規制解除にほかなりません。
 今求められていることは、農産物の生産・販売、信用・共済、医療など総合的な事業で地域の農業と住民の暮らしを支えてきた総合農協としての役割を生かすことです。
 国連は、協同組合の発展を重視するよう各国政府に働きかけています。2014年6月国際協同組合同盟理事会は声明を出して、安倍政権の農協制度改変について、「協同組合の特質に対する基本的な無理解について、深く懸念する」と批判したうえで、「日本の協同組合運動は世界の協同組合運動のなかでも特に優れたものであり、世界中の協同組合が高く評価し、そこから学んでいる」と大きな評価を寄せています。こうした国際的にも評価されている農協のあり方を根本からかえ、日米の営利企業の儲けのための農協解体は、改革の名に値にせず、農業と地域の衰退を招くものとしてきっぱり中止することを求めるとともに、TPPに対する農業者の反対運動の中心になっているJA全中を“弱体化”させるこうした企てについては断じて許されないことを厳しく指摘し、賛成討論といたします。

熊本市議会第1回定例会 (2月16日〜3月5日)
益田牧子議員の一般質問は、2月20日(金)午前10時〜12時(終了)

○2月16日(月) 開会
○2月18日(水)〜20日(金) 一般質問
  益田牧子議員の一般質問は、20日(金)午前10時〜12時
○2月24日(火)、25日(水) 総括質疑
○2月26日(木 各分科会・常任委員会
○3月3日(火) 締めくくり総括質疑
○3月5日(木 質疑、討論、表決、閉会
*請願の提出締め切りは、2月16日、開会日の午後5時までです。
*陳情も、2月20日(金)までに提出してください。

連絡先

・日本共産党熊本市議団 熊本市中央区手取本町1−1 議会棟3階
電話 328−2656   FAX 359−5047
メール: kumamsu@gamma.ocn.ne.jp
ホームページ https://www.jcp-kumamoto.com/