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消費税問題
国民健康保険料
介護保険
子育て
教育
図書館の問題
公共施設の適切な管理・更新について
花畑町の「ひろば」整備
桜町再開発への300億円の大会議場整備
国連「生命の水」最優秀賞を受賞して
立野ダム計画の問題
日本共産党熊本市議団の上野みえこでございます。
時間の都合もありますので早速質問に入ります。発言通告の順序を一部変更してお尋ねしてまいります。納得できない場合は、何度でもお聞きしますので、市長ならびに執行部の皆様には、真摯な答弁をお願いいたします。
安倍政権は、8月21日、社会保障改革の「プログラム法案」骨子を閣議決定しました。いよいよ、本格的な形で、医療・介護・生活保護・保育などが改悪され、一方で、消費税増税も強行されようとしています。国の責任を投げ捨てる社会保障の改悪は許されるものではありませんが、国の悪政の防波堤となって市民のいのち・暮らしを守る自治体の役割はますます重要です。
安倍首相は、来年4月からの消費税増税を、10月初めにも最終決断すると言っています。8%への増税は総額8兆円の負担増となります。1997年の消費税5%への増税、住民税・所得税増税、医療費負担増による9兆円もの負担が長期不況の引き金になったことは、ご承知のとおりですが、それでもその時は国民の所得は着実に増えていました。しかし、今は勤労者所得も年金も減っています。そういう中での、今回の消費税増税です。本市の市民生活や地域経済への影響額をお示しください。
また、影響は重大です。市民生活・地域経済を守る立場から、国に対し増税中止を求めるべきではないでしょうか。
市長にお尋ねいたします。
(答弁)
どんな世論調査でも、「来年4月からの増税賛成」は20%前後にすぎません。しかも庶民と中小零細業者に3%の負担増を押し付けながら、そのうち2%分は、大企業への大幅減税等に充てるというのですから許せません。私たちは、「来年4月からの増税中止」1点での共同を広げ、国民運動の発展に全力を尽くす決意です。
熊本市の国民健康保険では、加入者世帯の所得は、1世帯当たりで、5年前の106万6600円が、昨年度90万8千円と、5年間で158600円も減っています。年間所得106万は、それだけでもかなり厳しい生活ですが、それが月13200円も減っています。一方、保険料は毎年上がっています。所得に占める保険料の負担割合は5年間で15・2%から18%に上がっています。所得が減って、保険料が上がって、全く逆です。保険料の政令市比較では、年間所得200万円4人世帯のモデルケースで、堺市・京都市に次いで高い方から3番目です。熊本市の市民所得は全国でも最低レベルで、国保料は大変重い負担です。本市は、この5年間、国保会計の財政健全化に取り組み、一般会計の法定外繰り入れを10億円ないし30億円程度行い、2010年度から単年度収支が黒字に転じました。5年前に80億円あった累積赤字は、昨年度22億円まで減っています。一方、加入者は負担の限界を超えた保険料を払っています。先ほどの4人世帯のモデルケースで、熊本市は426,690円で、政令市平均の358,000円より約7万円も高くなっています。収納率は現年度分で8割台で推移、支払いが厳しいことを示しています。国保会計の赤字は、一般会計繰り入れを増やし解消してきました。今度は一般会計繰り入れで、保険料をせめて政令市平均程度に引き下げるべきではないでしょうか。
また、本市は、2008年度から低所得者減免を実施しています。保険料負担は重くなっているのに、独自減免実績は、増えるどころか、減っています。保険料減免の拡充についてお尋ねします。
世帯の平均所得が100万円にも満たない、貧困層が多く加入している国民健康保険では、医療費も加入者にとって、大きな負担です。私どもは、生活困窮世帯の医療費軽減をと、国保法第44条に基づく一部負担金の減免・免除の適切な実施を求めてきました。しかし、東日本大震災関連を除いた政令市の比較で、本市の実績は年間たった7件で、制度がありながら運用されていない状況です。広島市のように年間2000件を超える実績の政令市もあります。生活の苦しい人は、金の切れ目がいのちの切れ目で、病気でも病院に行けません。国保のしおりへの丁寧な説明や市政だよりへの掲載など、周知徹底と、他都市より厳しい免除・減額の基準引上げ、減免・免除の適切な実施についてお尋ねします。
市長並びに健康福祉子ども局長に伺います。
(答弁)
私どもの市民アンケートでは、市政に望むことの第1位が国民健康保険料の引下げでした。その願いに応えていただきたいと思います。
また、保険薬局は、無料低額診療事業の対象事業所になれないことから、薬代が自己負担です。診療費よりも薬代の方が高いという実態もあります。現状では、診療は受けられても、薬が飲めません。国に対し、保険薬局も無料低額診療事業の対象となるよう働きかけていただくとともに、高知市・旭川市・青森市で実施されているように、保険薬局が無料低額診療事業の対象となるまでの期間、無料低額診療事業の対象者に薬代補助を実施していただくよう要望します。
この無料低額診療の薬代助成を行っている青森市の市長は、「市の財政も厳しいですが、困っている住民がいるのです。命にかかわる問題です。予算が限られているなら、教育や福祉を最優先でやるべきです」と、言い切られています。住民の福祉の増進を目的とする地方自治体の首長としてあるべき姿ではないでしょうか。
8月に出された社会保障制度改革国民会議の最終報告書では、介護制度の改悪が具体的な形で示されました。重大な問題のひとつは、「軽度」者の介護サービスからの締め出しです。介護保険では、65歳になると介護保険証だけは交付されますが、認定審査や利用料負担など、幾重にも高いハードルを越えなければ、サービスは使えません。本市の場合、65歳以上の第1号被保険者161,770人のうち、要介護・要支援に認定されているのは34,477人で、21・3%、65歳以上の5人に一人しか介護サービスの対象になりません。そして、高い利用料を払い介護サービスを受けているのはわずか17%です。8割を超える人が高い保険料を掛け捨てです。ところが、今でも少ない利用者をさらに締め出そうとしているのが今回の改悪です。
要支援1・2、全国で154万人の保険給付外しは、軽度者とは言え、日常生活に支障があり、サービスが受けられなくなれば、要支援から要介護へと重症化する恐れも指摘されており、何より援助がなければ生活が成り立たない高齢者の生きる権利を奪うものです。重症化で、介護度が上がればより多くのサービスが必要となり、介護費用はさらに増大、むしろ介護財政の負担は増えます。このように矛盾だらけの「軽度者切り捨て」はすべきではありません。「軽度者はずし」により、熊本市では、何人の人がサービスから外され、受けられなくなるサービスの事業費額はどの程度になるのでしょうか。
また、外された人たちへのサービスは市町村へとゆだねられますが、本市としてその対応が十分にできる見通しはあるのでしょうか。
また改悪案のひとつ、一定の所得がある人の利用料を2割へとの引き上げが検討され、対象は住民税課税者という意見もあります。この場合、第1号被保険者の何割が2割負担となるのでしょうか。
年々と年金が減る中、介護保険料は、事業計画更新のたびに引き上げられ、基準月額で、制度発足時の3250円は、今や5280円へと1・6倍にも増え、年間24,360円もの負担増です。市の「介護サービスアンケート」でも、保険料は、約50%の人が「負担が重い、少し負担」と回答しています。今年10月分からは年金の大幅削減が予定され、高齢者の暮らしはますます厳しくなることが予想されます。負担の重い保険料は、引き下げるべきではないでしょうか。また、保険料の独自減免は、毎年40〜50人程度の申請です。低所得者への独自減免拡大について伺います。
また、本市で、介護認定を受けているのは34,477人、うち居宅・施設合わせて利用者数は27,476人なので、約7000人、20%の人が利用していません。市のアンケートでは、約4割の人が、利用料にも負担感を持ち、3人に一人がサービス控えているという回答です。全国では、2割の自治体が利用料の独自減免を行っています。本市でも、利用料の独自減免を是非実施していただきたいと思います。
特別養護老人ホームの待機者は、年々増え続け、この10年間に全国で4倍にも増え、40万人を超えています。本市でも、昨年度時点で3352人、介護保険施設の整備は需要に全く追い付いていません。2012年度から2014年度の第5期「くまもとはつらつプラン」介護保険施設整備計画では、特別養護老人ホームの322床増床を含め、グループホームなどの整備も併せて781床の整備計画です。介護施設は圧倒的に不足しています。計画を抜本的に見直し、整備を促進すべきではないでしょうか。
(答弁)
要支援1・2の介護はずしでは、介護認定を受けた人の3分の1、1万人が、介護サービスを使えなくなります。介護保険の改悪を許さず、負担の重い保険料や利用料の軽減こそすすめるべきです。
また、介護施設不足の中で、ケア付きマンション、有料老人ホームが次々に建設されています。しかし、その多くが月額入所費10数万円で、圧倒的な方が本人の年金では入れません。高齢者への安心の住まい確保のため、低所得者への入居費助成等を検討していただくよう要望しておきます。
続いて、子育てです。
児童虐待や、子どもたちが犠牲となるような孤独死や餓死事件が相次いで発生、今年5月、大阪市での、母親が「もっと食べさせたかった」というメモを残し、死後数か月後に発見された母子餓死事件などは、子どもが犠牲になった痛ましい事件のひとつでした。貧困と孤立化が一層進み、子どもの貧困は新たな段階へ深まっていると、識者も指摘しています。
一方、内閣府の「意識調査」では断然トップが「経済的支援」で7割を超える回答者の要望です。中でも「保育所または幼稚園費の軽減」が一番の要望でした。日本は、欧州諸国に比べて家族政策全体への財政的支援が小さく、家族関係社会支出の対GDP比をみると、日本は0・79%で、フランスやスウェーデンなどの欧州諸国に比べ、4分の1しかありません。子育て世帯への経済的支援は差し迫った課題です。
第1に、次年度から予定される保育料改訂は、市民税非課税世帯は引下げとなるものの、現行の所得区分細分化で、引下げと引上げの世帯とがあります。保育料が引上げとなる世帯数とその割合、影響額をお示しください。 また、政令市中6市は、非課税世帯が無料です。本市でも、非課税世帯の無料化や、その他の階層でも、せめて政令市平均程度になるよう、保育料の引下げを実施していただきたいと存じますがいかがでしょうか。
また、熊本市の待機児・保留児は、今年度4月1日時点で1,266人に上ります。認可保育園に入所申請して入れなかった児童数を就学前児童数に占める割合で政令市比較すると、川崎市・さいたま市に続いて、熊本市はワースト3位です。市長は、今期の公約で「暮らしやすさ実感・子育てしやすいまち」の第1に「保育所の待機児ゼロの実現」を掲げられています。ところが、待機児・保留児は、過去5年間、減るどころか増え続けています。今年度は、540人分の増員予定ですが、次年度以降の保育所整備計画はどのようになっているでしょうか。本来、待機児ゼロというのは、入所希望の子どもがすべて入所できることです。待機児・保留児合わせた解消計画を策定し、実施していくべきではないでしょうか。
2番目は、子どもの医療費無化制度です。私どもの市民アンケートに、「東京・山口・福岡・熊本と転勤してきましたが、熊本は子どもの医療費助成はひどいです」という残念な声がありました。この声を裏付けるように、政令市で比較すると、入院では政令市20市のうち16市、なんと8割が中学校終了まで無料です。その他、2市が小学校終了まで無料なので、熊本市は政令市でワースト2位です。通院でも、6市が中学校終了まで、2市が小学校終了までを無料化しており、小学校3年生止まりの本市は遅れた状態です。政令市で最低ともいえる状態を改善すべきと思います。入院・通院含め、速やかに中学終了までの無料化を実施できないでしょうか。また、中学校終了までの無料化に必要な費用はいくらでしょうか。
以上、市長にお尋ねします。
(答弁)
昨日は、敬老の日でした。長寿日本一の村・長野県松川村は、1万人の小さな村ながら人口が増え、子ども医療費は高校まで無料です。大きいことはいいことだと、合併して政令市になったはずです。こうした分野でこそ、「合併してよかった」となるよう頑張っていただきたいと思います。
第1に、文部科学省のとりまとめでは、少人数学級は子どもたちにとって、『学習意欲の向上』、『勉強が好きになった』などの効果に結びつく、学校や教員にとっても「一人ひとりに目が行き届き、学習の躓きの発見や個々の学習進度等に応じた指導が可能となる」、「子どもの悩みや相談に親身に応える時間が確保できる」、家庭・保護者にとっても、学校・家庭の連携が密になることによる子どもの見守り・課題への対処がすすむと評価しています。国も評価する「少人数学級」について、熊本市は、国や県の施策に上乗せをし、積極的に取り組んできました。しかし、いじめや不登校、学力向上、障がい児への対応など、子どもたちが抱える様々な困難に、より丁寧なかかわりが必要です。小中学校すべての学年への少人数学級導入に関するお考えをお聞かせください。また、必要となる事業費をお示しください。
第2に、6月議会で給食費値上げ問題が急浮上し、予算決算委員会の締めくくり総括質疑で、益田議員も取り上げました。
全日本教職員組合の2011年・2012年全国自治体調査では、981自治体から回答があり、122自治体、12%以上が給食費の自治体独自補助を行っていることがわかりました。うち、11の自治体は小中学校で全額補助、給食費は無料です。このように、深刻な少子化や貧困の中、全国各地の自治体が、2010年度以降、給食費への様々な補助制度を打ち出しています。昨年も紹介した山梨県早川町は、全国に先駆け給食費だけでなく、通学費・教材費・修学旅行費など、義務教育にかかる経費を完全無償化した自治体ですが、その流れは広がっています。熊本市と合併しなかった益城町では、子ども医療費無料化を中学校卒業まで実施し、さらに今年度からは学校給食費に一人・月500円の補助も始めました。うらやましい話です。
今回の給食費値上げは、教育委員会も指摘したように説明が不十分です。保護者への十分な説明と理解・納得は大前提ではないでしょうか。 また、保護者世帯の収入が減っている昨今、家庭の実情を考えるならば、給食費の値上げはすべきではありません。食材費の増大分には一般会計から補助し、給食費値上げは中止すべきではないでしょうか。
第3に、義務教育は無償ですが、図書・学用品・教材費等ほとんどが保護者の負担です。一方、全国の1割の自治体では、入学時の学用品や副読本・体操服・ランドセル・補助教材購入費や入学・卒業祝い金、制服購入費補助などの現物や現金の支給、あるいは、学級費・児童生徒会費・図書費・卒業アルバム代などの一部または全額補助を行っています。山梨県早川町・高知県東洋町では教材費全額、東京都府中市でもほとんど全額公費負担を行っています。生活困窮世帯が増える中、すべての子どもたちが安心して学べる条件整備と、義務教育の無償化に近づくためにも、教材費等の就学費用に対する助成について全国の自治体の取り組みを調査し、実施の方向で取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、就学援助に項目として追加された「PTA会費・生徒会費・クラブ活動費」の支給にかかる費用と、速やかな支給実施についてお尋ねします。
市長ならびに教育長に伺います。
(答弁)
文部科学省も、給食は大切な教育の一環と位置付けており、本来無償とすべきです。給食費の値上げ中止を強く求めておきます。
日本共産党市議団は、この7・8月、学校現場からの要望に基づいて学校ウォッチングを行いました。
今年は、記録を次々更新する猛暑の夏となりました。清水小学校・音楽室は3階にあり、東西に窓が空き、入った途端、ムッとする暑さで、入口の寒暖計は38度でした。窓のワイヤーガラスは何度取り替えてもひびが入るそうで、専門業者の話しでは、あまりに室温が高いからということでした。入口の寒暖計を窓側に持っていくと、ひびの入ったガラスの横で、寒暖計はあっという間に40度を超えました。
先日、人吉市を視察しました。人吉市は、3年前の2010年度、すべての小中学校のすべての教室にエアコンを設置しました。事業費は4億2700万円、国の補助金や交付金を使い、電気料軽減のため、各学校には太陽光発電も設置してありました。アポなしの訪問にもかかわらず、快く懇談してくださった田中市長は、「今の異常気象は昔と違う。子どもたちには、快適な環境でしっかり学んでもらい、世の中に貢献できる人材になってほしい。いろんな特性を生かした子どもに対応できる教育環境の整備は、私たちでないとできない」と言われました。全校全教室へのエアコン設置は、市長の英断であったと思います。訪問した中学校でも、「子どもたちが落ち着き授業に集中できるようになった。体育の後でも、誰も下敷きで扇がない。先生も授業がやりやすくなった」と言われました。
最近の夏の熱さは尋常ではありません。国の基準では、適切な教室の温度は28度です。本市では、今年度から、音楽室と各学校一つの特別支援教室にエアコンが設置されることになりましたが、今年度は設計のみ、設置は来年度以降です。補正予算を組んででも、速やかに設置すべきではないでしょうか。 適切な子どもの学習環境確保の観点で、普通教室も含めた、すべての教室へのエアコン設置について伺います。
また、学校施設の維持補修・改修では、現場に足を運ぶと、驚くようなことがあります。排水先のない流しが使えないまま何年も放置されたり、壁にバリバリっとひびが入ったり、楠中の国旗掲揚台ポールは、斜めに傾いていました。出水中学校では、その名のとおり、体育館倉庫の下から水が湧いて、棚に下駄をはかせないと倉庫としては利用できない有様でした。同じく出水中は、プールと水槽の間に指が入るくらいの隙間があるのに放置されていました。数校の訪問でしたが、どの学校でも、要望に何らかの対応がされてきたのは、ごくわずかで、要望事項のほとんどが手を付けられないまま、毎年同じ要求が繰り返されていました。 校舎・体育館・プールの改修では、築後40年以上経過しているものが、校舎で150棟、体育館で25校・プール15校です。耐震優先でこの間凍結状態だったので、改修計画を立て、これまでの数倍のスピードで改修を行うべきではないでしょうか。
また現場には、プールの隙間をはじめ、日常の使用に危険な部分も多数見受けられます。お金がないでは済まない、と何度も思いました。教育委員会の施設課関連予算や学校配当予算を抜本的に拡充し、危険と思われる部分はすぐに改修すべきではないでしょうか。
市長にお尋ねします。
(答弁)
教育予算の一般会計に占める割合は年々下がり続け、今年度、過去最低です。予算の抜本的拡充が必要です。
福井県永平寺町の子ども議会では、エアコンをつけてほしいという子どもの質問に、来年から設置していきたいと町長が答えられていました。兵庫県相生市では、幼稚園から小中学校すべての給食費が無料で、そのために年間約1億1300万円、市の予算の約1%が使われています。熊本市の予算1%は、一般会計で約30億円です。それだけあれば、給食費の無償化はもちろん、子ども医療費無料化中学校卒業までの6億円、学校プールならば30個も建設できます。
子どもの声に応え、小さくても輝く自治体を見ると、何のための政令市かと思わずにいられません。子ども達の小さな声にも耳を傾けていただくようお願いします。
時間の関係で、子どもの問題2点を要望に替えます。
第1は、来年2014年は、1994年に日本政府が子どもの権利条約を批准して、20周年を迎えます。条約は、子どもを権利の主体とし、意見表明権を保障するとともに、「子どもの最善の利益」を考慮することを求めています。日本政府と自治体は、条約を踏まえた対応が必要です。全国には、子どもの権利条約を自治体で積極的に取り組む立場で、川崎市などの総合条例、兵庫県川西市の子どもの権利救済としてのオンブズパーソン条例、中野区の子どもの意見表明・参加を謳った条例など、さまざまな子どもの権利に関する条例が制定されています。子どもの権利条約批准20周年に向け、本市でも、ぜひ「子どもの権利条例」を制定されるよう要望します。
第2は、昨年の花園小でのプール事故発生を受け、再発防止の立場で、本年四月「市立小中学校夏休みプール開放事業実施要項」がつくられました。プール開放に教育委員会も責任を持ち、市教育委員会・単位PTA・学校で構成される「プール開放運営委員会」が主催者となることや、監視体制も定められ、28万円上限の専属監視員配置経費・薬剤費を教育委員会が負担しています。しかし、今年のプール開放実施は、小学校55校、中学校1校でした。夏休みにプールに行けなくてがっかりした子どもたちもいたようです。教育委員会の経費負担の増額や専属監視員の増員など、教育委員会の責任のもとに、すべての子どもが、夏休みの学校プール利用ができるよう取り組んでください。
合併して5年となる富合町は、10月5日で合併協議に基づく「特例措置」が廃止され、富合図書室の開館時間が短縮されます。現在7時までの開館が、5時までに短縮される予定ですが、時間別利用状況では、短縮される夕方5時以降に2割以上の人が利用しており、働く人は利用しにくくなります。そもそも合併の原則は、「サービスは高い方へ、負担は低い方へ」です。ところが、合併により国民健康保険料は大幅に引き上げられ、4人家族・所得200万円のモデルケースで、合併前と比べ、年間7万7400円もの負担増です。さらに今回、合併特例がなくなれば、事業所税・法人市民税引上げはじめ、保育料引上げや体育施設使用料有料化など、原則に反する負担増が実施されます。
もともと、富合図書室は、町の時代に図書館として開設され、兼務とはいえ館長を置き、運営されていました。624uあるフロアは、畳の「おはなしのへや」もあり、ゆったりとして、環境も優れています。アスパルのロビーとフラットになった床は、靴を脱いで使用するようになっており、そのため館内がきれいです。スペースが広いので、蔵書数も多く、51747冊、他の公民館図書室の2〜3倍です。本来ならば、合併時に市立図書館の分館として位置づけるべきでしたが、町の要望が聞き入れられず、公民館図書室になったことにボタンのかけ違いがあります。
第1に、富合図書館のサービスを後退させず、すべての公民館図書室を拡充し、利用者へのサービスアップこそ図るべきです。働く人も含め、利用者の条件に合わせ、利用しやすくなるよう、公民館図書室の夕方7時まで開館時間延長についてお尋ねします。
第2に、現在、市内の公民館併設図書室は、市立図書館が図書の選定を行い、図書館・分館・公民館図書室はすべてオンラインで結ばれ、全市的な図書の交流もあり、実態は市立図書館の分館です。埼玉県所沢市では、公共施設への併設も含め、市内8カ所すべて「分館」として位置づけ運営されています。本市でも、館長の配置や司書職員の体制拡充を図り、公民館図書室・図書館の充実に向け、市内各公民館図書室の位置づけを見直し、市立図書館の分館とするよう、図書館事業の拡充を図っていいただけないでしょうか。
(答弁)
教育長がお答えのように、図書館は、利用者の要望や社会の要請に応え、地域の実情に即した運営が重要です。市全体の図書館サービスのあり方を検討されるとのことですので、今回指摘の点を踏まえ、サービス後退しないよう要望しておきます。
先ほど、学校施設について伺いましたが、施設改修は教育現場だけの問題ではありません。全国的にも、1980年代以前の高度経済成長期に膨大につくられた公共施設の多くが、老朽化し、今後一斉に更新の時期を迎えつつあります。一方で、超高齢化社会、少子化の進行で生産年齢人口は減少、税収減や社会福祉費の増で、各自治体は、膨大な公共施設の維持管理・補修・更新に頭を痛めています。そういう中、全国各地の自治体は、この問題に対応に、全公共施設の実態を把握し、今後数十年間にわたり、公共施設の維持管理・補修・更新にどの程度の事業費が必要かを明らかにし、限られた財源で対応するための方針を定めることをはじめています。これがアセットマネジメントです。現在、政令市6市がすでに策定し、5市が策定中又は検討中です。
本市の今後40年間に必要となる公共建築物・インフラ等の維持管理・改修費用の推計額と、今後の管理・改修の基本的な考え方をお示しください。本市でも、早急にアセットマネジメントに取り組んでいくべきと考えますが、総務局長にお尋ねします。
(答弁)
他都市のアセットマネジメントの取り組みを踏まえ、本市でも今後の施設のあり方を検討されるということですので、人口減少など時代の要請に応えた適切な取り組みをお願いしておきます。
花畑町・桜町地区の整備は、3月議会後、各会派代表による特別委員会で種々論議されました。これまでの論議を踏まえ、お尋ねします。
まず産業文化会館解体と広場整備です。
@ 私どものもとには、未だに「市民の大切な税金を4億円も無駄にした責任はだれが取るのか、反省がない」と、厳しい声も聞こえてきます。花畑地区再開発が破たんした原因と責任を市長はどのようにお考えでしょうか。また破綻を確信した時期はいつごろですか。
A花畑再開発が破たんした時点で、産文会館の再活用は全く考えなかったのでしょうか。それはなぜですか。市長は「産文会館の耐震化による再活用には26億円かかる」という理由で、再利用はしないが、他の施設については、今後は長寿命化の方向で取り組みたい」と表明されていますが、産文会館だけ、例外扱いするのはなぜでしょうか。
Bひろば予定地の隣にある民有地の駐車場の買収交渉は進んでいますか。買収見込みはあるのでしょうか。
以上、市長にお尋ねします。
(答弁)
ただいまの答弁に疑問がありますのでお尋ねします。
第1に、市長は、花畑再開発の破たんを確信したのは、平成24年の11月だとお答えです。しかし、「花畑地区開発協議会」の会議録を見ますと、平成24年6月25日・第97回協議会に、NHKの花畑への単独移転が報告され、対象地区と協議会構成員名簿の変更が提案され、決議されています。この日、大成建設からは、資金協力と事業協力を7月より一時中断することを含めた回答がなされています。市長は、NHKが単独移転を発表した段階でも、「再開発に弾みがつく」とコメントされましたが、大成建設が協力しないと言った時に、再開発が破たんするとは思われなかったのでしょうか。
また、同じく花畑開発協議会・10月19日の会合では、今後の事業の進め方として、協議会の解散も選択肢に入れた協議をすすめることを全員の賛成により決定し、解散を前提とした民間地権者間の債権債務整理や、大成建設の資金立替の精算についても協議されています。ここまでくれば、どんな素人でも再開発は破たんと確信するのではないでしょうか。 11月に破たんを確信したというのは、事実と違います。それとも、市長は、こんな大事なことを把握しておられなかったのでしょうか。
第2に、11月27日、花畑町再開発破たんと花畑町の広場整備計画が報告された市議会全員協議会には、すでに立派な広場の予想図が準備されていました。破たんを確信したのが11月だというのならば、破たんする前から裏でこっそり、再開発を計画した事業者の土地と建物を買収して「広場」と仮バスターミナルをつくる計画をすすめていたことになりますよね。それとも、行き当たりばったりに思いつきで「ひろば」計画を打ち上げたのでしょうか。私たち議会にしてみれば、花畑再開発破たんの経緯も知らないのに、突然の「ひろば」構想というのは、あまりにも議会や市民を軽視したやり方ではないでしょうか。本来なら、「花畑再開発は破たんしました。もう一度原点に戻って、市民と議会の意見を聞いて、花畑地区の在り方を根本から再検討します」と言うべきではなかったでしょうか。
(答弁)
ここで一番問題なのは、市民や議会にまともな説明をせず、裏でことをすすめ、一方的に押し付けている点だと思います。そこでお尋ねします。
第1に、3月18日の都市整備分科会で話題になりましたように、駐車場の地権者は、昨年末の12月26日に駐車場部分にはホールを整備したいと発言され、現在も駐車場を売却する意思はないようです。市長は民間2棟の建物買収をすすめながら、ひろば隣地の駐車場買収の交渉をすると答えられましたが、それは、議会の特別委員会の取りまとめに反するのではないでしょうか。一体整備の見通しが立つまで用地買収は見合わせるべきではないでしょうか。でないと、議会として取りまとめが踏みにじられたことになります。
第2に、今年3月議会の都市整備委員会で、寺本議員が「産文会館の解体は劇場構想があったから早急に廃止したといういきさつを聞いている。バスの停車場も民間駐車場を借りれば済むという発想もある。そういうことで、今回の産文を早急に解体して、隣接する2棟を取得、そしてなおかつ解体して更地になすのを早急にやる必要性がなかなか難しい感じがする」という意見を述べられていました。また、2009年に出された「産業文化会館廃止に伴う移転補償費の返還を求める監査請求」の監査委員の判断では、「再開発事業によって中心市街地をより活性化させる行政目的実現のために産文会館を廃止した市長の行為は、不当であったとまでは言えない」と述べられています。寺本議員の発言、監査委員の判断に共通するのは、産文解体の前提は、花畑町再開発だったという点です。そして、花畑町再開発がとん挫した今、前提条件を欠いている訳ですから、産文解体・広場づくりは監査委員の判断に反するものとは考えませんか、また緊急性はないのではありませんか。
第3に、特別委員会の取りまとめでは、民間2棟の買収にあたり、一般的社会通念に配慮した取得価格とすることが求められています。平成23年9月の花畑開発協議会の会合で、雇用促進事業会は、平成24年6月末までに「再開発のタネ地として取得した」フラワーズビルを自己資金で解体する意向を正式に報告していました。ところが、市が4億円も無駄にして花畑町再開発が破たんしたら、その計画立案者である雇用促進事業会の責任は問われないまま、自己資金で解体すると言っていた土地を高い補償費まで払って買収するというのは、一般的社会通念と言えるでしょうか。
(答弁)
特別委員会の取りまとめ、議会の決定をなし崩しにすべきではありません。民間2棟の用地買収先にありきでなく、一体整備という議会の方針を踏まえ、条件も整わないひろば整備の用地買収は見合わせるべきです。また、監査委員の判断に反する産文解体に正当性はありません。住民監査請求がなされる可能性が高いと思われます。
昨年の夏まで、市は公の場でシンボルプロムナードはかなり大きい空間なので、花畑地区に広場はいらないと言っていました。しかも、広場整備の費用対効果では、通行人までカウントした過大な予測など、「ひろば」の必要性そのものも問われる問題です。ひろば整備は問題山積で、行き当たりばったり、あいまいなこの計画では、中心市街地の真の活性化にはつながらないと思います。花畑町再開発の破たんも、民間企業ならクビになるような重大問題だと思います。市のいい加減さを象徴したような40億円の広場整備は、見直すべきです。
続けて、MICE施設整備についてお尋ねします。私共が春に行った市民アンケートの「桜町の大会議場整備」では、「ハコモノは維持費がかかるだけ。3000人規模の会議場など熊本には不要」「人口が減っていくのに、もっと必要なことがある」などの声がありました。特に多かったのが、「会議場の必要性がわからない」というものでした。
@MICEの四つの施設、メインホール・多目的ホール・国際会議ホール・イベントホールについて、国外・国内それぞれの需要について、詳細な調査結果をお示しください。
A今年5月、本市で行われた糖尿病学会の全国会議には一万二千名が参加されました。大型のMICE施設がない中、どのような方法でそれができたのでしょうか。
B県民百貨店から、再開発ビル完成まで、産業文化会館を仮店舗として利用させてほしいと市に要望されていました。その対応は、どのようになっているでしょうか。これまで桜町地区で営業を営んでこられた地元の方々の営業をしっかり守ることは、地域経済振興の面から大変重要です。県民百貨店とセンタープラザのテナントが、桜町再開発に残って営業出来るように、市としても要望されているのでしょうか。その見通しはどうでしょうか。
C桜町再開発の地権者は、九州産交ホールディングス1社ですが、MICE整備は、再開発の保留床を取得することになるのでしょうか。それとも、上通A地区再開発のように地上権を設定し地代を払うやり方でしょうか。
以上、市長にお尋ねします。
(答弁)
12000人規模の糖尿病学会が無事成功したにもかかわらず、ロスがあったと言われました。私も、全国規模のいろんな大会に幾度となく参加しましたが、シャトルバス運行は当たりまえです。8000人収容の大分ビーコンプラザでの大会にもシャトルバスがありました。今回は、会場が分散したことで、むしろ、電車やバスが利用され、街のにぎわいになっていたのではないでしょうか。また、九州のコンサートツアーの際、2000名以上の会場がないために、熊本では開催されなかったという理由が3000名収容のホール建設の根拠の一つとされていましたが、同じツアーが来年度は、「市民会館大ホール」で開催される計画になっています。
その他の答弁でも「熟度がきわめて低い」まま既成事実だけが積み重ねられていると言わざるを得ません。このままいけば、三百数十億円を投入しながら、「こんなはずではなかった」ということになりかねません。そこで、お尋ねします。
第1に、MICE施設の需要について、国内で開催された国際会議や学会等を紹介されましたが、大中小合わせ数千件とは言っても、それを一手に熊本で引き受ける訳ではないでしょう。コンベンション基本構想では、3000人以上規模を50件と見込まれていますが、150万都市の福岡市でも3000人以上規模の実績は年間20件です。どういう根拠で、福岡の2・5倍の開催が想定できるのでしょうか。
第2に、熊本市でのコンベンション開催の実績は、2011年10月のコンベンションシティ基本構想第2回誘致部会の資料では、開催件数は年々減り、2000人以上規模の実績は過去5年間の平均で年8回と報告されています。新規施設の利用見込は2000人規模が8件、3000人以上が7回と想定されました。しかし、決定した基本構想では、2000人規模35回、3000人以上を50回と大幅に引き上げられました。どんな考えで、過大な利用見通しとなったのか、全く理解できません。この見通しが現実のものになるのでしょうか。300億円もの事業費をつぎ込んで、利用見通しは、福岡程にもならず、下回り大幅に赤字となった場合、市長は、どのように責任をとるおつもりでしょうか。
第3に、県民百貨店やセンタープラザの存続については、傍観者のような弱腰の答弁でしたが、それで、地元中心の店舗・従業員の雇用が守れるでしょうか。残れる条件づくりを市が率先して、再開発事業者に要請すべきではありませんか。
(答弁)
とても納得できません。そこで、もう少しお尋ねします。
第1に、今回のMICE整備は、再開発に参加することで高くなっています。本市のコンベンションシティ基本構想に紹介された福岡国際会議場の建設費は約100億円、延床面積が22185uで、1uの床単価は45万円です。他都市のコンベンション施設も、1uあたり大抵45万〜60万円くらいです。一方、本市の場合、最低でも70万円以上で、最高100万円くらいが想定されます。どう考えても高すぎます。しかも、先ほどの答弁でもわかるように、事業者の言いなりです。駅前東A地区再開発がそうでしたが、これではもっともっと高くなることも考えられます。このようなばく大な投資に市民の理解が得られるでしょうか。
第2に、先ほど「アセットマネジメント」でも申しましたが、今全国の自治体が膨大な公共施設のストックをどのように維持管理・更新していくのか、頭を痛めています。本市も、今後は他都市の状況も踏まえながら、公共施設のより効果的・効率的な管理に取り組まれていくということです。政令市で、先進的にアセットマネジメントに取り組んでいる自治体を見ますと、今後必要なる維持管理・更新費は、すでに策定している福岡市で30年間で2兆3140億円、年間770億円、名古屋市は40年間で4兆4900億円、年間1122億円、さいたま市が40年間で2兆7870億円、年間約700億円、策定中の静岡市が50年間で1兆7500億円、年間350億円となっています。各自治体は、今ある公共施設の維持と更新だけでも数兆円というばく大な費用が予想されることから、さまざまな方針を立てています。共通しているのは、徹底した公共施設の長寿命化、維持管理費の削減などで、さいたま市では、原則・新規施設は建設しないということも決められていました。本市では、そうした計画づくりや検討が今後の課題で、今後必要となる費用もわからないので、300億円もの費用を要するMICE整備の前に、アセットマネジメントこそ優先すべきではないでしょうか。
(答弁)
花畑再開発は迷走の末、失敗に終わりました。現在のような経済情勢の中で、桜町再開発がスムーズに進んでいくのか、心配です。都市計画決定の時期も、平成25年中から、平成25年度中にとトーンダウンしています。そして、現在9月です。桜町再開発の事業フレームはどこまで固まっているのでしょうか。特に、50,000uの商業スペースの床はどの程度埋まっているのでしょうか。
都市計画決定にあたり当然クリアすべき課題に、周辺環境の問題があります。交通問題や特別委員会で不可となったバスターミナルの問題は、現在どのように検討されているのでしょうか。
これらを踏まえ、都市計画決定の年度内の見通しはいかがでしょうか。
(答弁)
ただいまの答弁では、再開発事業がまともにすすんでいくとは思われません。続けてお尋ねいたします。
第1に、今回の再開発は、民間1事業者が実施する再開発なので、駅前東A地区再開発と違って、およそ10年前に竣工した上通A地区再開発事業と同様です。上通A地区再開発事業は、設計から本体工事まで、スーパーゼネコンとその関連会社が受注し、指名競争入札が行われたそうですが、談合情報が飛び交い、黒いうわさが流れ、発砲事件まで起こりました。下請けまですべて県外業者で、市が80億円近くも投入しながら、地元建設業界にも貢献できない有様でした。今回の桜町再開発事業は、公正な契約業務が行われる保証があるのでしょうか。市民や議会への説明責任と情報公開はきちんとなされるのでしょうか。地元業者が工事に参加できる道はありますか。
第2に、堺市は、総事業費350億円の堺東駅前再開発事業を、市民目線・現場主義の事業見直しということで中止しました。大事業の中止は、容易でないと思います。しかし、MICE整備は、とてつもない事業費がかかることがはっきりしており、一方で、国保や介護・子育て支援や教育など、市民から拡充要求の強いさまざまな施策は、大変遅れています。市民要求にこたえる意味からも、300億円のMICE整備は見直すべきではないでしょうか。
(答弁)
花畑再開発の失敗と産文会館、広場計画について、議会で様々に「熟度の低さ」が指摘されたにもかかわらず、「ハコモノ」優先で、整備の是非も問わないまま、MICE整備に突っ走っていることが問題です。350億円の再開発事業を中止した堺市市長は、「一旦決めたことを行政がひっくり返すのは大変なことだと思った。今後は、打ち出した構想や計画を実現に向け動かしていくが、忘れないでほしいのは、事業の費用対効果です。将来、『なんとムダなことをしたのか』と批判されることのないようにきちんと費用対効果を検証していただきたい」と職員に言われたそうです。
幸山市長も、立ち止まって、市民目線で今のハコモノ行政を検証すべき時ではないでしょうか。
続いて、3月22日、熊本市が、オランダ・ハーグ市で開催された「世界水の日・国際式典」で受賞した国連「生命の水」最優秀賞の受賞後の問題で伺います。
選考理由は、「さまざまな団体の協力体制のもと、水田を活用した地下水涵養や水源涵養林の保全を通じて、市の水供給を維持・保護する姿が模範例になる」ということでした。日本初の受賞であり、本市の地下水とその保全が世界的なレベルでの評価を得た意義は大きいと思います。同時に、私たちは、この地下水を守り、後世に伝えていく責任をしっかり果たしていかなければならないと思います。
地下水保全の歴史を振り返ると、熊本市議会では、1976年全会派一致で「地下水保全都市宣言」を採択1977年には熊本市は全国に先駆けて「地下水保全条例」が制定されました。地下水保全都市宣言では、「今日における無秩序な地下水の開発と自然環境の破壊は、今や地下水汚染をはじめその枯渇され憂慮される状態にある」と警鐘を鳴らしています。背景には、健軍水源地上流への日本住宅公団九州支社による健軍団地建設計画建設や素掘りの戸島塵芥埋立地から水銀・鉛・マンガン・カドミウムなどが検出され、大きな社会問題となり、専門家の調査結果に基づき公団団地建設中止や早急な対策提言が行われた経緯があります。地下水保全の歴史は、科学的な地下水の流れ等の解明と共に、自然の摂理を壊す開発との闘いでもありました。受賞を機に、こうした歴史の教訓に学ぶ必要があるのではないでしょうか。
第1に、地下水をはぐくむ白川は、四万十川と並び、ダムがない貴重な1級河川です。黒川と合流した白川は、中流部には瀬と淵が多数あり、オイカワ・カワムツ・モズクガニなどが生息するとともに、砂礫地にはツルヨシなどが生育しています。熊本平野に入ると、緩やかな流れになり、コイ・ギンブナ・ガマカツ・アユが生息し、河口付近では、ムツゴロウ、サッパ、マゴチなどが見られます。特に、アユは日本一の尺アユが釣れます。白川は、さまざまな動植物の生息・生育の場であるとともに、自然豊かな地域住民の憩いの場となっています。白川には、河口から大津まで、歴史的な遺産ともいえる7つの堰がありますが、これらの堰はアユ・ウナギなどが上ったり、下ったりできるようにしなければなりません。一方、上流へのダム建設は、雨の度に堆積土砂による汚濁が懸念されます。私たちの身近な存在として、市中心部を流れる白川が、ダムのない1級河川、四万十川・長良川・安倍川と並び日本有数の自然な川として、豊かな自然と歴史が生かされ、地下水とともに、より魅力ある市民の財産となるよう、川の再生を図り、アピールすべきと考えますが、いかがでしょうか。
第2に、財団法人・日本交通公社の「日本の観光資源の選定」によれば、「阿蘇山と外輪山」は、わが国を代表する資源で、かつ世界にも誇示しうるもの、わが国のイメージ構成の基調となりうるものとして、九州では、世界遺産に登録された屋久島とともに「特A級」とされています。また、外輪山周辺の阿蘇は、世界ジオパークの登録を目指していますが、立野峡谷は重要なジオサイトのひとつです。ジオパークは、地層・地形・断層などを保護し研究に生かし、科学教育や防災教育の場、観光資源として地域振興に生かすことを目的にしており、ジオパーク内で絶対にしてはならないことが「自然を壊す行為」です。また、県の「世界遺産暫定一覧表追加資源に関わる提案書」では、立野一帯を含む阿蘇を、「国立公園法」基づき今後とも指定範囲内全体の保全に努めていく場所であるとしています。世界遺産の登録には、「顕著な普遍的価値」を有することが、不可欠の要件です。ドイツのドレスデン・エルベ渓谷は、2004年世界遺産に登録されました。しかし、そこに橋をつくる計画がすすめられ、ユネスコの世界遺産登録委員会は、橋ができれば、世界遺産としての「顕著で普遍的な価値」はないとして、2009年に世界遺産リストから抹消しました。世界の阿蘇への巨大なコンクリートダムの建設は、世界パークや世界文化登録に取り返しのつかない障害となることは確実です。自然を壊すダム建設はやめ、かけがえのない阿蘇の自然を守り、教育や観光・アフターコンベンションの要として、幅広く多面的に生かすことこそ必要ではないでしょうか。
第3に、立野ダム予定地は、外輪山の西側、黒川と白川が合流する地点のすぐ下流に位置し、熊本市の水源涵養林整備方針の事業対象地域内で、「最重要整備エリア」とされています。深いところにも高透水ゾーンがあり、地下水にとって重要な浸透域となっています。また、ダム予定地周辺は、地質の専門家から指摘されているように、左岸側で複数の断層が複雑な構造をなし、亀裂と破砕帯がめまぐるしく変わっています。右岸側では、立野溶岩で柱状節理が発達し、溶岩と溶岩の間、溶岩と基盤の間が不連続面となっており、力学的に脆弱であることから、他のダムの数倍の量のセメントミルクを注入する計画です。地下水浸透域に膨大な量のセメントミルクを注入し、水が漏れないようにすることは、地下水にも大きな影響を及ぼすと考えられます。国連「生命の水」最優秀賞を受賞した今、地下水に重大な影響が考えられるダム建設は中止し、まずは、ダム建設が地下水保全にどのような影響を及ぼすのか、詳細に調査すべきではないでしょうか。
市長にお尋ねします。
(答弁)
7・12白川大水害を検証する中で、小碩橋より下流においては堤防の未改修ヵ所で氾濫したことが明らかです。計画どおり、河川改修が進めば、1メートル20センチの余裕高を見ているので、「千年に一度」と言われる洪水にも十分対応できることは明白です。まして立野ダムによる洪水調整は国交省の計算で、毎秒2300トンに対して200トン、8・6%のカットで、川辺川の42%と比較してはるかに少ないのです。小碩橋より上流は、県が河川改修計画を明確にして実施すればダムは必要なくなります。立野ダム建設は、阿蘇の大自然と白川、地下水に影響がないのか、改めて検証する時ではないでしょうか。
熊本市役所本庁舎は高さ62メートルです。その1・5倍もの高さの巨大コンクリートダムの建設は、阿蘇の大自然、環境をぶち壊しにします。市長がどんなに言われても、一旦ダムが建設されれば、取り返しのつかないことになるでしょう。ダム推進の市長の姿勢は、数十年後、数百年後の後世、必ずや厳しく問われるであろうことを指摘しておきます。
最後に、要望を1点申し上げます。
昨年7月に発生した「九州北部豪雨」は、まだまだ爪痕を残し、移転問題や、国・県のすすめる白川改修など、住民の暮らしに直接かかわる課題が残されています。
その一つ、渡鹿と黒髪地区つなぐ「龍神橋架替え」で、6月に東部土木センターによる地域住民への説明会が行われました。河川改修と橋の架け替えが一体的に行われるために、龍神橋が現在よりも高くなり、現在の橋の位置が若干変わる見通しが示されました。「現在の場所に架け替えはできないのか」「もともと生活道路なので、地域の声を聞いてほしい」「急に提案されても、移転は難しい」など、参加者からさまざまな意見が出されました。その後、託麻原小学校区2町内・13町内会長の連名で、国土交通省熊本河川国道事務所長並びに、幸山市長あての要望書が提出されました。8月には測量も終了したということがわかり、橋の具体的な位置が決まる前に地域住民への説明と意見聴取を行ってほしいと、去る9月6日、両自治会長と、地域の「大井手を守る会」会長とで、都市建設局へ口頭で再度申し入れをされました。自治会の要望は、@計画の策定段階で十分に地域住民の意見を聞くこと、A地域住民の中には、住み慣れた地域の立ち退きはしたくないという強い意見もあるので、移転・立ち退きが最小限になるような計画づくりをすすめること、B国や市の財政も厳しい中、工事費は最小限に抑えることの、3点です。この点を十分に踏まえて、計画をすすめていかれるよう強く要望しておきます。
以上で、質問を終わります。