意見書・申し入れ、議員団活動 2016年分



熊本市長へ、熊本地震の復旧・復興に関し、被災者支援の強化を求める申し入れ

熊本地震の復旧・復興に関し、被災者支援の強化を求める申し入れ(PDFファイル 370KB)

熊本市長  大西一史 様

 2016年11月28日
 日本共産党熊本地区委員会委員長 重松 孝文
 日本共産党熊本市議団 上野 美恵子
            那須  円 
            山部 洋史

 熊本地震の復旧・復興に関し、被災者支援の強化を求める申し入れ
 熊本地震の発災から7カ月以上が経ちました。発災当初の避難から、仮設住宅・みなし仮設への入居へとすすみ、今後は、いよいよ本格的に住まいの再建や、生活・生業の再建を進めていかなければなりません。私ども、日本共産党市議団は、仮設住宅はじめ地域訪問の中での聞き取りや全市的に行ったアンケートによって、被災者の方々の声の一つ一つをできる限り丁寧に聞き、緊急性のある問題は、その時々に市の担当部局へ現状を伝え、改善・解決に努めてきました。
 「地震を機に、生活が変わってしまった。夜も安心して眠れない」「水も食料も電気もない避難生活を10日以上続けたのに、家は一部損壊なので何の支援も受けられない」「まさかの地震に、年金収入は少なく、家の修理は半部しかできず無念」
 このような小さな声に今こそ応え、1日も早い復興に向け、行政が住民の目線で取り組んでいく時ではないでしょうか。
 限られた財源の中で、多額の費用を必要とする地震からの復旧・復興を速やかにすすめていくためにも、(仮称)「熊本城ホール」のような不用不急の大型開発事業はやめて、復興財源の確保こそ最優先で図っていただきたいと考えます。
 暑い夏・短い秋を過ごし、いよいよ寒い冬がやってきています。被災されたすべてのみなさんが、安心して暖かく冬を過ごし、住まい・生活・生業の再建を着実にすすめていくために、以下の点を要望いたします。
 
 1、冬を迎える被災者への支援について
 @ 仮設住宅の壁・床下に断熱材を入れること
 A 仮設住宅・みなし仮設住宅ともに、暖房器具を設置するなどの寒さ対策に万全を期すこと
 B みなし仮設入居者に対しても物置や貸倉庫を提供すること
 C 仮設・みなし仮設入居者への見守り・援助を丁寧に行っていくこと      
 
 2、「一部損壊」世帯への支援の在り方について
 @「100万円以下」を切り捨てずに、(最低でも)5万円の支給をすること
 A義援金だけでなく、県と市による支援制度を新たにつくること
 
 3、液状化や擁壁被害・がけ崩れなどの地盤被害への支援を強化すること
 
 4、災害公営住宅の建設を拡充すること
 
 5、国へ支援強化を要望すること
 @熊本地震復興に向けての特段の財政措置を講じるための特措法制定を求 めること
 A住宅の再建ができるような額へと支援金を拡充するよう求めること 
 B一部損壊世帯への支援を国の制度として実施するよう求めること
 C液状化や壁面の崩壊などについて、すべての被災者が支援対象となるよう支援の拡充を求めること
 D 「被災農業者向け経営体育成支援事業」については、復旧が先行し、事業が完了しているにもかかわらず、行政の事務手続きの遅れから、補助金の支給が遅くなっているので、速やかな補助金支給ができるよう国・県に強く要望すること

 以上

熊本市長へ、仮設住宅の改善を求める申し入れ

仮設住宅の改善を求める申し入れ(PDFファイル 181KB)

熊本市長  大西一史 様

 2016年9月16日
 日本共産党熊本地区委員会
 委員長  重松孝文
 日本共産党熊本市議団
 団 長  上野美恵子
 仮設住宅入居者一同
 仮設住宅で安心して健康でコミュニテイを大事に暮らすために
 震災から5カ月が経過しました。この間の市職員はじめ、県内外の多くの職員とボランテイアのみなさんの献身的なご努力で、やっと仮設住宅やみなし仮設で生活できるようになりました。私たち日本共産党は、仮設で暮らしている被災者が、これまでどんなご苦労をされてきたのか、仮設が安心して暮らせる住居になっているのか、健康上の問題はないか、さらには、仮設を出た後の暮しの見通しが立っているのか、等々について、聞き取り調査を行ってきました。その中で、行政として支援すべきことがまだまだ残っていること、支援する上で、被災者の立場に寄り添うことの大切さを痛感しました。
 羅列的になりますが、被災者が仮設で安心して暮らす上で、以下のような要望が出されましたので、すぐできることには直ちに着手していただくとともに、少し時間が必要な項目については、いつごろになるのか、また国や県の支援がないとできないものがあるのかなども明らかにして、きめ細やかに住民の立場で改善に取り組んでいただきたいと思い、下記の申し入れをすることにしたものです。
 記
 
 《秋津中央と東町の仮設》
 〇仮設団地担当の職員を配置して巡回してほしい。保健師や看護士さんにもお願いしたい。
 〇部屋が狭くて、ベッドや家財道具が置けない。高齢者にとっては寝起きがつらい。
 〇今度受験する子どもがいるが、部屋が少なく狭いので、肩身が狭い思いで勉強している。
 〇家財道具を捨てずに済むように、仮の倉庫・コンテナを設置してほしい。
 〇出入口の庇が短いので雨の時玄関まで振り込むので広くしてほしい。窓の二重サッシはありがたい。
 〇釘が打てないので、それに代わるものを設置してほしい。狭いので棚がどうしてもいる。
 〇花に水をやったり散水をするために、外に水道蛇口をつけてほしい。
 〇仮設と仮設の間に水がたまるので雨の時に見に来てほしい。
 〇玄関の鍵がかかりにくい。
 〇部屋に小さな虫(コバエ)が沢山いる。何とか駆除してほしい。
 〇駐輪場がほしい。今は雨ざらしになっている。
 〇入居期間が2年と聞いているが、自宅はまだ解体もいつから始まるかもわからず、2年で自宅に戻れるか心配。自宅に戻れるまで仮設で暮らせるのか。
 〇家族の入・通院する病院が遠くなったので、交通費が大変。支援してもらえないのか。
 〇ネットを利用できる環境にしてほしい。
 〇倉庫・小屋がないので、家財を処分するしかないが、それでは、また戻るときに買わなくてはならない。
 〇益城や甲佐の知人の話を聞くと、熊本市が仮設の設備でも一番遅れているがどうしてか。
 〇駐車場が若い世帯には一台分では不足する。まだ用地はあるので設置してほしい。
 〇大きな黒アリがいっぱいいるので家の中に入ってくるのではと心配。
 〇2年後、安いアパートに入れるか心配。 復興住宅はどれくらいつくる計画か。
 〇靴箱が置けるようにならないか。
 〇知り合いが一人もいないので心細い(半数位の人)
 〇洗濯場が狭い。 集会所がまだ出来てない。
 〇「一部損壊」世帯に、なぜ何の支援もないのか。義援金は一部損壊にも本来回すべきではないか。
 
 《城南町の仮設》
 〇家の前を車の出入りが多く、ほこりがひどい。柵をつくってほしい。
 〇家財道具は、小屋とコンテナを借りているが、財政的支援をしてほしい。
 〇自宅の解体申請はしているが、いつになるかわからないというので、2年後が心配でたまらない。
 〇長い避難生活だったので、食事をつくるのも面倒になり、生活の意欲が出ない。
 〇生協やスーパーが販売に来るので買い物の心配はいらない。
 〇農業が続けられるか心配だが、やらないと農協までつぶれる。
 〇病院と歯科医院が遠くなったので、前のようにいけない。辛抱している。
 〇さくらカードはありがたいが、嘉島が通れないので改善してほしい。
 〇市内に共同作業者があるので、バスを2回乗り換えて通っているが交通費が工賃より高い。
 〇行政から誰も来ないので情報が入らない。なぜ、一人ひとりの様子をうかがいにでも来ないのか。
 〇健康上の不安があるので、時々健診や医療相談をしてほしい。
 〇震災で、神経痛とアナフラキーショックになり、5月に救急車で2回病院に運ばれた。再発が心配。
 〇全壊だが、300万円くらいでは到底、家の再建が出来ない。どうすればいいのか。
 〇合併したので、合併前と比べて、役場の対応が悪いし、遅い
 
 《富合町の仮設》
 〇2年後の計画が立たない。家を建て直せればいいが、見通しがない。
 〇風呂について―介護の人が入れない、ふちが高くて高齢者にはきつい。対応できるものに変えてほしい。
 〇物置を月1万7千円のリースで借りているが支援できないか。(敷金は10万円)
 〇集会所に外用の水道蛇口をつけてほしい。
 〇解体業者は熊本市内でないといけないと言われたが、益城の業者位良いのではないか。
 〇コンテナが必要。
 〇玄関に雨が入る。
 〇部屋が狭く、フトンでギリギリ。2年後に、ベッドを持って帰れない。
 〇2年後、移転する時、ネコや犬などのペットが飼えるところがあるかどうか心配。
 〇アブの駆除をお願いします。
 〇集団花壇を何カ所か置いていただきたい。
 以上

立野ダム問題で国土交通省九州地方整備局・立野ダム事務所への抗議

立野ダム問題で国土交通省九州地方整備局・立野ダム事務所への抗議文(PDFファイル 181KB)

平成28年9月16日 国土交通大臣 石井啓一 様
 国土交通省九州地方整備局長 小平田浩司 様
 国土交通省九州地方整備局立野ダム工事事務所 所長 宮成秀一郎 様
 
 立野ダムによらない自然と生活を守る会 代表 中島康
 ダムによらない治水・利水を考える県議の会 代表 西 聖一
 立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会 代表 田上辰也
 
 立野ダム建設に係る技術委員会に関する抗議文

 私どもは、「立野ダム建設に係る技術委員会」に対し、毎回要請書を提出し、検証内容の提案や現地調査のや り直し、住民への説明責任などを求めてきました。しかし、それらを検討することもなく、同委員会は初会合か らわずか3週間で3回の会合を行い、あっという間に「立野ダム建設に技術的な課題はない」との結論を出しま した。国土交通省が選んだ7名の委員も、国土交通省の見解に疑問を呈することはありませんでした。委員会の 開催についても、わずか2日前に国土交通省立野ダム工事事務所のホームページに掲載するだけで、ほとんどの 住民が委員会の開催を知ることさえできませんでした。 住民の主張に対し、同委員会の見解は「立野ダム建設予定地に考慮すべき断層はなく、岩盤の健全性に問題は ない」。流木や巨石で立野ダムの穴(高さ5m×幅5m)がふさがる懸念については「ダム本体の200m上流 に建設するスリットダムと、穴の前に設置するスクリーンによってカットでき、穴がふさがることはない」と結 論付けました。 しかし、今回の地震による土砂崩壊とその後の増水で、熊本市内など下流の橋脚には多くの流木が引っかかり ました。有明海にも大量の流木が漂着・漂流し、7月末までに1万6000立方メートル以上が回収されたと報 じられています(熊本日日新聞2016年8月15 日付)。それらの大半は阿蘇カルデラ内で発生し、立野ダム地点 を通ったわけであり、スクリーンやスリットダムで防げる量ではとてもありません。現に、直径約10mの立野 ダム仮排水路トンネルの入り口は、土砂と流木でふさがっています。 国土交通省が立野ダム下部の穴が流木などでふさがらない理由として、穴の上流側を覆うスクリーン(柵)を ふさぐ流木が、ダムの水位が上がると浮いてくるとしています。その元となった模型実験では、ダムの穴をふさ ぐツマヨウジなどの円柱材が、ダムの水位が上がると浮いてくるとしています。しかし、実際の流木は根や枝が ついており、水を吸って比重も大きくなっています。流木を穴が吸い込む力は、流木の浮力よりもはるかに大き いのは明らかです。実際の洪水では、流木も岩石も土砂も一緒に流れてきますが、今回の検証では流木、岩石、 土砂、それぞれ単独で模型実験やシミュレーションを行っただけです。立野ダムの穴がふさがらないとする国土 交通省の主張はありえないこと
 です。 立野ダム完成後にこの地震が起こったとしたら、ダム水没予定地周辺の大半の地盤が大きく崩れていたわけで あり、ダム上流は多量の土砂や流木で埋めつくされ、立野ダム下部の幅わずか5mの穴がふさがり、ダムへの流 入量を貯め込むばかりとなり、洪水調節機能を果たせないばかりか、非常に危険な状態になっていたのは明らか です。にもかかわらず、国土交通省の従前の主張をそのまま容認した「立野ダム建設に係る技術委員会」の結論 に強く抗議するとともに、下記3点について強く要請します。
 
 記
 1.熊本県民の人命・財産を危険にさらす立野ダム建設を即時に中止すること。
 2.住民も含めた「立野ダム建設に係る技術委員会」を再結成し、立野ダム建設予定地周辺の岩盤や活断層、 地すべりなどについての十分な再調査・再検討を行うこと。
 3.立野ダム建設に関して住民の疑問に直接答える説明会を開くなど、流域住民に対し説明責任をきちんと果 たすこと。
 以上

立野ダム問題で、熊本市長へ申し入れ

立野ダム建設要望に対する抗議文(PDFファイル 1113KB)

平成28年9月16日 熊本市長 大西一史 様
 立野ダムによらない自然と生活を守る会 代表 中島康
 ダムによらない治水・利水を考える県議の会 代表 西 聖一
 立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会 代表 田上辰也
 立野ダム建設要望に対する抗議文

 報道によると、8月19日の「白川改修・立野ダム建設促進期成会」の国土交通省への要望で、貴職は立野ダ ム建設事業を着実に進めるよう求めたとのことです。 国土交通省の「立野ダム建設に係る技術委員会」は、初会合からわずか3週間で3回の会合を行い、あっとい う間に「立野ダム建設に技術的な課題はない」との結論を出しました。国土交通省が選んだ7名の委員も、国土 交通省の見解に疑問を呈することはありませんでした。委員会の開催についても、わずか2日前に国土交通省立 野ダム工事事務所のホームページに掲載するだけで、ほとんどの住民が委員会の開催を知ることさえできません でした。 住民の主張に対し、同委員会の見解は「立野ダム建設予定地に考慮すべき断層はなく、岩盤の健全性に問題は ない」。流木や巨石で立野ダムの穴(高さ5m×幅5m)がふさがる懸念については「ダム本体の200m上流 に建設するスリットダムと、穴の前に設置するスクリーンによってカットでき、穴がふさがることはない」と結 論付けました。 しかし、今回の地震による土砂崩壊とその後の増水で、熊本市内など下流の橋脚には多くの流木が引っかかり ました。有明海にも大量の流木が漂着・漂流し、7月末までに1万6000立方メートル以上が回収されたと報 じられています(熊本日日新聞2016年8月15 日付)。それらの大半は阿蘇カルデラ内で発生し、立野ダム地点 を通ったわけであり、スクリーンやスリットダムで防げる量ではとてもありません。現に、直径約10mの立野 ダム仮排水路トンネルの入り口は、土砂と流木でふさがっています。 国土交通省が立野ダム下部の穴が流木などでふさがらない理由として、穴の上流側を覆うスクリーン(柵)を ふさぐ流木が、ダムの水位が上がると浮いてくるとしています。その元となった模型実験では、ダムの穴をふさ ぐツマヨウジなどの円柱材が、ダムの水位が上がると浮いてくるとしています。しかし、実際の流木は根や枝が ついており、水を吸って比重も大きくなっています。流木を穴が吸い込む力は、流木の浮力よりもはるかに大き いのは明らかです。実際の洪水では、流木も岩石も土砂も一緒に流れてきますが、今回の検証では流木、岩石、 土砂、それぞれ単独で模型実験やシミュレーションを行っただけです。立野ダムの穴がふさがらないとする国土 交通省の主張はありえないことです。 立野ダム完成後にこの地震が起こったとしたら、ダム水没予定地周辺の大半の地盤が大きく崩れていたわけで あり、ダム上流は多量の土砂や流木で埋めつくされ、立野ダム下部の幅わずか5mの穴がふさがり、ダムへの流 入量を貯め込むばかりとなり、洪水調節機能を果たせないばかりか、非常に危険な状態になっていたのは明らか です。にもかかわらず、国土交通省の従前の主張をそのまま容認した「立野ダム建設に係る技術委員会」の終結 直後に、貴職が同事業を着実に進めるよう同省に求めたことに強く抗議するとともに、下記3点について要請し ます。 記 1.熊本県民の人命・財産を危険にさらす立野ダム建設を即時に中止するよう、国土交通省に求めること。 2.住民も含めた「立野ダム建設に係る技術委員会」を結成し、立野ダム建設予定地周辺の岩盤や活断層、地 すべりなどについての十分な再調査・再検討を行うよう、国土交通省に求めること。 3.立野ダム建設に関して住民の疑問に直接答える説明会を開くなど、流域住民に対し説明責任をきちんと果 たすよう、国土交通省に求めること。
  以上

人命・財産を危険にさらす立野ダム建設の即時中止を国土交通省に求める要請書

人命・財産を危険にさらす立野ダム建設の即時中止を国土交通省に求める要請書(PDFファイル 176KB)

熊本市長 大西一史 様
    2016年5月17日
 立野ダムによらない自然と生活を守る会       代表 中島康
 立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会 代表 田上辰也
 ダムによらない治水・利水を考える県議の会     代表 西 聖一
 代表連絡先 熊本市西区島崎4丁目5−13  中島康

人命・財産を危険にさらす立野ダム建設の即時中止を国土交通省に求める要請書

  今回の熊本地震で、阿蘇では大動脈である国道57号と阿蘇大橋が大規模な土砂崩れで崩落しました。国土交通省は、そのすぐ下流の立野峡谷で、高さ90mもの立野ダムの本体工事に着手しようとしています。
 今回の地震で立野峡谷では他にも多くの土砂崩れが起こり、立野ダム本体予定地も両岸が大きく崩壊し、工事用道路や現場事務所、工事車両や各種工事用機材なども崩落した土砂に埋まりました。崩壊した土砂でせき止められた白川の流れの一部は、工事中の仮排水路トンネルの中を流れています。
 もし、今回の地震が昼間に起きていたら、工事に従事していた多くの人命が失われ、負傷者が出ていたのは明らかです。また立野ダム完成後にこの地震が起こったとしたら、ダム本体の両岸の地盤が崩れていたわけであり、ダム上流は多量の土砂や流木で埋めつくされ、ダムの施設が損壊していた恐れもあります。
 阿蘇大橋を崩落させた山腹の大崩壊の土砂は、黒川に流入しています。イタリアのバイオントダムの大事故では、ダム貯水池が大雨で満杯状態であったところに、ダム湖周辺の山腹が崩壊し、その波紋が「津波」となってダム堤体を越え、下流の人口密集地を襲いました。立野ダムの場合も、大雨の時に流木等でダムの穴(幅5m×高さ5m)が塞がり(塞がらなくとも)満水に近い状態の際に、今回と同様の大崩壊が発生すれば、ダム堤体両脇の崩壊と相まって津波が堤体を越流し、一気に熊本市等の下流を襲う可能性は十分考えられます。このケースは地震の際は無論ですが、今回の地震で地殻や地盤が変化した後ですので、大雨だけの場合にも十分考えられることではないでしょうか。
 そもそも、阿蘇外輪山が立野で切れた理由は、研究者の指摘では断層のはたらきで外輪山が落ち込んだからとされています。その後、中央火口丘からの溶岩で埋もれては、浸食のはたらきで削られることを繰り返して、立野峡谷は形成されました。今回の地震で活動した布田川断層帯は、阿蘇カルデラの中まで延びていたことも報道されています。そのような地盤が安定していない火山地帯は、巨大なダム建設の立地条件としては最悪だと思われます。詳細は、添付資料「熊本地震直後の立野ダム予定地周辺現地調査報告書(速報)」をお読みください。
 国土交通省は、これまで「立野ダム予定地の岩盤は十分な強度がある」「立野ダム建設を行う上で特に考慮する活断層は存在しない」「地すべりは起こらない」等と主張してきたのですが、今回の地震でそのすべてが否定されたことになります。立野ダム建設事業は、工事に従事する方々の生命を脅かすとともに、流域住民の生命・財産を脅かすことが十分に考えられます。白川流域の治水対策は、立野ダムではなく河川改修を進めるべきです。下記4点について市長が先頭に立ち、国土交通省に求められることを要請します。

 記
 1.立野ダムは立地条件が最悪であるので、白川流域住民の生命・財産を守るために、国土交通省にダム建設中止を求めること。
 2.今後の立野ダム事業予算の執行を直ちに停止し、国道57号や阿蘇大橋、俵山トンネルの復旧をはじめ、震災復興に充てることを国土交通省に求めること。
 3.白川流域の治水対策は立野ダムを建設するのではなく、河川改修などダムにたよらない治水対策を進めることを国土交通省に求めること。
 4.「白川改修・立野ダム建設促進期成会」の名称を「白川改修促進期成会」と変更し、期成会の事業の内容を見直すこと。
   以上

熊本地震に対する速やかな対応を求める申し入れ

熊本地震に対する速やかな対応を求める申し入れ(PDFファイル 163KB)

熊本市長 大西一史 様
    2016年5月7日
 日本共産党熊本地区委員会委員長 重松 孝文
 日本共産党熊本市議団 上野 美恵子
            那須  円 
            山部 洋史

熊本地震に対する速やかな対応を求める申し入れ

 4月14日の熊本地震発生から3週間が経ちました。過去に例を見ないような多数の余震発生は、未だ住民の大きな不安となっています。本市においても、亡くなられた犠牲者・けがをされた被災者のみなさん、あるいは家屋や建物に大きな被害を受けた方々、地震のショックからいまだ抜け出ることのできない方々など、今回の地震は74万市民に様々な形で、甚大な被害を及ぼしています。
 市内各地の避難所の人数も減ってきて、いよいよ自宅の再建をはじめ本格的な復興が始まろうとしている状況の中、残った避難者の長期化の問題への対応、速やかな罹災証明の発行などスムーズでスピーディな行政手続きの執行、自宅が住めなくなった方々への住まいの確保と住宅の再建など、差し迫った課題が山積しています。
 特に、5月になって行われた避難所での意向調査については、説明にあたり、拠点避難所への移動が強調されたことにより、避難者の不安がさらに増大していること、不便なところが多い拠点避難所の問題、現行避難所・拠点避難所ともに国が示す避難所の「基準」には程遠く、劣悪な環境での避難が長期にわたっています。避難所には高齢者・障がい者・有病者も多く、きめ細かな支援が必要であるとともに、住み慣れた地域を離れての避難はリスクも多く、拠点避難所への移動にはさまざまな困難があります。仮に拠点へ移るにしても、拠点避難所の収容人数の問題もあり、希望するところへ入ることは保障されていません。このまま、多くの人を市の示した方向で、拠点避難所へ移動ということになれば、多くの問題が発生することは間違いありません。一方、拠点避難所へ行かない人は、不安のままに自宅へ戻る人、避難所難民となる人なども予想されます。
 私ども日本共産党熊本市議団は、この間市内各地から寄せられる市民の切実な要望に応えながら、復旧・復興の支援活動にあたってきました。
 すべての被災者が1日も早く日常の生活に戻り、安心して暮らせることと合わせ、地震発生以来、昼夜分かたず奮闘してこられた職員・各政令市からの支援職員・ボランティアのみなさんの労が報われるような、被災者の立場に立った支援がすすめられるよう、当面する課題の中でも特に重要と思われる問題について、以下の点を要望いたします。
 
 1、健康に配慮し、安全・安心・快適に過ごせる避難所へと改善すること
 @ 拠点避難所だけでなく、市内すべての避難所において、「内閣府が示した避難生活基準」(災害弱者に配慮する、プライバシーを守る、栄養にも配慮した三度の食事の提供など)を順守した避難所運営を、市が責任を持って行うこと、
 A 避難者の意に反する「拠点避難所」への移動はさせず、避難者の意向に基づき、安心して居住できる自宅に近い避難所での避難を確保すること
 B 高齢者・障がい者・子ども達については、特段の配慮を行い、手厚い支援を行うこと
 C 在宅の避難者、長期の「車中泊」となっている被災者への支援も直ちに取り組むべき重要な課題となっており、行政として責任を持った対応を行っていくこと
 
 2、安心して住み続けられる住まいの確保に、市が責任を持って取り組むこと
 @ 住まいの確保・再建に欠かせない「罹災証明」の発行については、遅くとも五月中に完了できるように、他都市の支援も含め体制を確保し、一挙にやりきること
 A 多数ある市営・県営など、公営住宅の空き部屋を最大限活用するために、提供のための改修を地元業者に発注し、一挙にやりきること
 特に、熊本市の特優賃住宅については多数の空き室を有する住宅もあるので、その実態を直ちに明らかにし、災害住宅として活用していくこと
 B 公務員住宅など、国が所有する集合住宅についても、廃止でなく、緊急に整備して災害住宅として活用するよう国に要望すること
 C 「仮設住宅」と「災害復興住宅」の建設に一日も早く踏み出すこと
 D 壊れた住まいの再建を速やかにすすめていくため、家財の損壊・住宅の一部損壊も含めた被災住宅の再建に対する支援制度(無担保・無利子融資制度、災害復旧支援金給付など)を実施すること
 E 被災建築物応急危険度判定を引き続き早急に実施していくこと
 
 3、白紙にされている市民病院の建替えを速やかに実施し、災害時の拠点としての機能を一日も早く取り戻すこと

熊本地震緊急申し入れ

熊本地震緊急申し入れ(PDFファイル 189KB)

熊本市長 大西一史 様
    2016年4月26日
 日本共産党熊本地区委員会委員長 重松 孝文
 日本共産党熊本市議団 上野 美恵子
            那須  円 
            山部 洋史

熊本地震緊急申し入れ

 14日の地震発生から10日あまりが過ぎました。余震が続き、また大きな地震が来るかもしれないという不安と恐怖の中で、多くの市民は、全国的な支援を受けながら、お互いに励まし合い、助け合いながら、過酷な避難生活を送っています。初期の混乱したときと違い、現在は中長期的な立場で被災者の生活環境を整えていくことが求められています。中でも、高齢者や障がい者等の要配慮者、小さな子どもがいる世帯や外国人などについても十分な配慮が求められています。
 避難しているみなさんの要望も、安定した三度の食事とともに、プライバシーの確保、入浴及び洗濯の機会確保、健康・衛生面での配慮などが切実です。
 同時に、今後の住居の確保や生業について、見通しが立たない状況を一刻も早く解決したいという願いも切実です。
 以上の立場に立って、提案を致しますので、今後の対策に生かしていただきたいと存じます。
 
 1.被害の全体像と被災者の実態を早急に把握し、今後の支援に反映させること。
 @ 被害の全容を早急に明らかにすること。
 A 被災者の実態について、避難所だけでなく、公園、空地、ショッピングセンター等での車中泊による避難者、また自宅にいる人も含め、すべての被災者の実態とニーズを把握すること。
 
 2.避難所における良好な生活環境の整備を
 @ 2016年4月15日、内閣府政策統括官・参事官より指示された「避難所の生活環境の整備等について(留意事項)」を各部署に徹底し、その内容に沿った適切な対応を取ること。具体的には、マンパワーを確保しながら、以下の点に取り組むこと。
 ・各避難所への情報提供に務めること。
 ・簡易ベッド、畳、マット、カーペット等の整備、プライバシー確保のための間仕切りの整備、仮設洗濯場(洗濯機、乾燥機を含む)、簡易シャワー、仮設風呂等の設置、洋式の仮設トイレを増設するなど、生活環境の改善を図ること。
 ・食事の提供は、メニューの多様化、適温食の提供、栄養バランスの確保、高齢者や病弱者に対する配慮を図るため、地域の民間事業者とも協力・連携をしながら、市の責任で適切に行うこと。
 ・福祉避難所の増設を図ること。
 A 避難所生活が長引く中、医療・保健体制を抜本的に強化することが求められています。主要な避難所には常設の医療チームを配置し、感染症防止やエコノミークラス症候群の予防対策等、健康対策を図ること。また、車中泊・在宅者も含め指定避難所以外でも、医療チームの巡回による健康チェックを行うこと。
 B 安全・安心・快適な避難所にするため「避難所場所開設・避難所運営マニュアル」を市職員、施設職員、地域住民代表、ボランテイアなど関係者に徹底し、関係者による運営委員会(仮称)を毎日開くこと。
 C 行政などが発信している被災者支援に関する情報が周知できるよう避難所への掲示板を設置するなど必要な手立てをとること。
 D 被災者の要望などが、区役所、災害対策本部に届くよう情報伝達を徹底すること。
 E 機械的な避難者の締め出しを行わないよう、避難所の管理者に周知徹底すること。
 
 3.住まいの確保と生活の再建
 @ 応急危険度判定を一気に実施するため、全国的支援を受け判定士を確保すること。また、判定を要請する窓口の電話回線(建築指導課)がパンクし、ここ数日大変つながりにくい状況が放置されています。電話回線を増設し、連絡先を市民に周知すること。
 A 被災者生活再建支援制度による支援金(現行は、全壊で基礎支援金100万円、加算支援金200万円)の抜本的な拡充を国に対して求めること。同時に、県と市で上乗せすること。
 B 自宅に戻ることができない被災者のために、公営住宅、特優賃住宅、民間住宅借り上げなどで必要な住居を直ちに確保すること。仮設住宅の建設については、地域のコミュニティーをなるべく壊さないように配慮して、心的ストレスが最大限軽減できるよう、立地場所や建築物について検討すること。壊滅的被害を受けた益城町、御船町などから「熊本市でも受け入れをしてほしい」との要望が強くなっていることも考慮して、仮設住宅対策を立てること。
 C 災害住宅リフォーム助成制度を創設し、住宅再建に向けた支援を強めること。
 D 地震によって壊された店舗や事業所を再開するために、融資制度を上乗せすること。
 E 企業の倒産や事業休止などによる失業者対策を図ること。
 F 全ての被災者に、行政などが発信している様々な情報が周知できるよう手立てをとること。広報車も出して、細やかに伝えること。
 G 生活保護受給者が、新たな住居を探す際には、減額前の住宅扶助額を基準とし、住居確保を支援すること。
 H 地震災害に対する子どもたちの心的ストレスに対応できるようスクールカウンセラーの配置を充実し、様々な不安や悩みに対応できるよう手立てをとること。
 I 罹災証明の手続き、住宅支援に関する申請、片づけボランティア等の申し込みなど、移動手段や連絡手段を持っていない高齢者等について、速やかな申請ができるよう援助すること。生活再建に向けた様々な支援制度の周知を図るとともに、支援制度の申請窓口やワンストップ相談窓口を区役所だけでなく、総合出張所、出張所に設置すること。
 J 「罹災証明」は家屋に限定されており、今回とくに被害が大きかった家財に関する「被災証明」も発行すること。
 K 災害救助法による救助について、被害状況等によっては「一般基準」では対応できない場合もあることから、特別基準を柔軟に設定すること。
 
 4.その他
 @ 学校給食費を集めることに難儀しており、4月分については免除すること。
 A ゴミステーションには災害ゴミがあふれ、通行の妨げとなっている個所もあります。抜本的に体制拡充を図り、早急に回収を行うこと。

熊本地震による避難生活者への支援対策についての申し入れ

熊本地震による避難生活者への支援対策についての申し入れ(PDFファイル 168KB)

熊本市長 大西一史 様
    2016年4月19日
 日本共産党熊本市議団 上野 美恵子
            那須  円 
            山部 洋史

熊本地震による避難生活者への支援対策についての申し入れ
 熊本地震被災者救援のため、大西市長はじめ、市職員のみなさんの昼夜を分かたぬご奮闘に心より感謝申し上げます。
 終息の見えない余震が続くなかで、こわくて自宅に戻れない住民は体育館、公民館などの避難所や公園、ショッピングモールなどで「車中泊」し、不安を抱えながら生活されています。
 日本共産党熊本市議団は、各避難所での聞き取り、避難生活の皆さんからの要望を踏まえ、下記のとおり緊急に講ずべき対策をまとめました。
 市としてもすでに対策に取り組んでおられることと存じますが、これらの実現に向け万全を期されますよう申し入れます。
 
 記
 
 1、避難所対策
 
 今回の地震は大きな「前震」に続き「本震」でさらに被害がひろがり深刻になっています。市内をとおる三つの断層「不知火断層」「立田山断層」「布田川断層」が動き出し、余震がくるたびに住民はこわい思いをしています。そういうなかで、被災者の不安を解消する支援が届いていません。
 全ての避難生活者の声をよく聞いて、食料、水など生活物資の確保に万全を期すとともに、避難所におけるマット、寝具、座布団、日常品や、乳児のミルク、おむつ、トイレの設置など、きめ細かな支援を講じること。特に、生理用品など衛生用品の手配については女性職員によるケアができるようにすること。
 市の指定外の避難所(コミセン、公民館、団地集会所、老人憩いの家、福祉施設など)には支援物資がまったく届かない事態が続いています。こうした住民に身近な施設も避難所に指定し、自治会などと連携して、自主避難されている方々の把握につとめ、物資をきちんと届けること。
 避難所に医療班を常設し、医療提供体制を充実するとともに、感染症予防や内科疾患の対応につとめること。 
 避難している高齢者、障がい者、患者、女性、子どもなど、災害弱者の個々人の状況・ニーズを把握し、バリアフリーの確保、移動手段の確保、情報提供など、各個人に応じた適切な支援措置を講じること。
 「車中泊」のみなさんのエコノミークラス症候群の対策でも万全を期すること。
 避難所の管理運営を適切に行い、避難者への最大限のサポートをするためには、市の担当者の役割が大きいと思います。「避難所マニュアル」を策定し、徹底すること。
 避難生活の長期化により、避難者同士のトラブルも発生しています。避難生活によるストレスをケアする対応に万全を期すこと。
 ライフラインが復旧した学校施設については、調理室と共同調理場の活用により、避難者に温かい食事が提供できるようにすること。
 
 2、住宅支援について
 罹災証明書の発行を区役所だけでなく、身近な総合主張所や出張所でおこなうこと。ワンストップ・サービスでの市民の相談窓口を早急に設置すること。
 地震により住めなくなった市民に対して、市営住宅、県営住宅、雇用促進住宅、くわえて民間住宅も視野にいれ、空き室の提供をすること。
 帰宅時の二次災害を防止するため、罹災している住宅の被災状況や速やかな危険度の判定をおこなうこと。
 自宅の改修等に対しても、災害救助法などによる支援ができるよう県・国に働きかけること。
 
 3、その他
 避難者に十分な説明がないままで、学校やコミセンなどから、事実上の追い出しを中止すること
 小中学校においては、被害状況は様々であることから、安全を最優先し、学校再開時期も十分検討すること。

2016年度の予算編成にあたっての市長への要望



申し入れ書(PDFファイル 274KB)

熊本市長 大西一史 様
    2015年11月5日
 日本共産党熊本地区委員会委員長 重松 孝文
 日本共産党熊本市議団 上野 美恵子
                 那須  円 
                 山部 洋史

2016年度予算編成についての要望書

 はじめに
 政令指定都市に移行し4年目を迎えます。熊本市における市民所得や最低賃金は全国最下位レベルにあり、市民の暮らしはたいへん厳しい状況です。小中学校の就学援助世帯や生活保護世帯は年々増え続け、格差と貧困は依然広がっています。年金の相次ぐ削減、昨年4月からの消費税増税・8兆円負担増に加え、本年4月より介護保険料も引き上げられました。一方で、生活保護基準の引き下げやインフルエンザ予防接種の値上げ等の負担増も相次ぎ、暮らしはますます追いつめられています。多くの人が「以前にも増して、暮らしは厳しい」「税や公共料金の負担が重い」「病院に行けない」「介護サービスが受けられない」などと暮らしの大変さを訴えています。このような市民の声に応える予算編成が求められます。
 市政史上最大のハコモノとなる桜町再開発へのMICE整備は、相次ぎ事業費が増え、大西市長になっての事業見直しでは、事業費は減るどころか、逆に9億円も増えて、再開発への補助金を含めれば約450億円もの税金投入が予定されています。桜町再開発は、今年5月に事業認可、その後権利変換計画も認可され、再開発事業はいよいよ実施段階へと移っていきます。本格的な事業が実施される年度となる次年度より数年間は、毎年数十億円から100億円近い事業費が予算化される予定です。一方で、暮らしに直結した各種予算はかなり影響を受け圧縮されることが予想されます。合わせて、国の厳しい予算編成見通しの中で、市税や地方交付税の確保も難しいと思われ、緊縮した予算編成が迫られることが考えられます。
 本市の2016年度予算編成方針では、その基本的な考え方として、(1)「熊本市第7次総合計画」、「熊本市まち・ひと・しごと創生総合戦略」及び「連携中枢都市圏構想」の着実な推進、(2)行財政改革の推進、(3)「選択と集中」による重点化の徹底を掲げていますが、その内容は、桜町再開発への450億円ものMICE施設整備は最重点として聖域にしながら、各種住民サービスは、効果・優先度と言いながら、徹底した予算の削減を図っていくものであります。
 政令市で3番目に重い国民健康保険料の負担を軽減することや、政令市・周辺市町村と比べても遅れている子ども医療費無料化制度の拡充や保育所の待機児解消、足りない特別養護老人ホームなど介護の基盤整備、市営住宅や学校施設など、公共施設の老朽化対策など、社会保障の充実や教育・地域経済活性化に向けた中小企業や労働者への支援策拡充、環境や防災への取り組みなど、市民の願いに応える市政の実現こそ求められています。
 安倍政権は、立憲主義を踏みにじる暴挙を行い安保関連の戦争法を強行するとともに、自国経済を外国へと売り渡すようなTPPへの参加を強硬にすすめ、国民の命と地球環境にも致命的な影響を及ぼす原発の再稼働も強行するなど、国民に背を向けた暴走政治が続けられています。一方では、医療・介護・年金・生活保護など、あらゆる分野の社会保障制度切り捨てもすすめています。雇用制度はますます改悪され、非正規雇用の広がり、ブラック企業の横行によって働く市民を取り巻く状況も一層厳しくなっています。
 このような国の悪政のもと、熊本市が、住民に一番身近な自治体として、市民の声に真摯に耳を傾け、いのち・暮らし最優先で、真に活気ある熊本市実現のための予算編成がなされることを強く願い、以下の点を踏まえた新年度予算編成を要望いたします。
 
【重点要望】
1.450億円もの税金投入となる市政史上最大のハコモノ・桜町再開発へのMICE施設整備は中止すること
 
2.暮らし・福祉・教育最優先の市政に
 @ 負担の重い国民健康保険料を引き下げること
 A 「さくらカード」は障がい者を無料にし、高齢者・被ばく者の負担は増やさず制度を存続すること。現行の障がい者パス券は存続すること。
 B「敬老祝い品」を「祝い金」にして金額を拡充し、介護手当を支給すること
 C子ども医療費無料化制度は速やかに中学校3年までに拡充し、待機児・保留児解消に向け認可保育所整備をすすめること
 D小中学校すべての学年を「35人学級」とし、すべての教室へのエアコン設置を速やかに実施すること
 E住宅・店舗リフォーム助成制度を創設し、地域経済を活性化すること
 F若者が地元で働けるような雇用の場の確保、ブラック企業の根絶に取り組むこと
 G原発をなくし、自然エネルギーへの転換を具体的にすすめること
 H熊本が世界に誇れる最大の自然環境を破壊する立野ダム建設は中止させ、ダムによらない白川の治水対策をすすめること
 
3.市民の安全・安心な暮らしを守るために、以下の点を国へ要望すること
 @違憲立法である安保法制をすみやかに廃止すること、立憲主義を否定する「集団的自衛権行使容認」の閣議決定を撤回すること
 A川内原発1号機の稼働停止、2号機の再稼働を実施しないこととともに、原発は廃止して、自然エネルギーへの転換を図ること
 B消費税10%への増税はきっぱり中止すること
 CTPPに関する条約締結を行わないこと
 Dマイナンバー制度実施を中止すること
 
【各分野の要望】
1、いのちを守る社会保障制度の充実
 @誰もが安心して医療にかかれる国民健康保険制度に
 ・「県段階への広域化」に反対し、国庫負担引き上げを国に要望すること
 ・一般会計繰入れを増やし、保険料引き下げるとともに、減免制度を拡充すること
 ・国保料滞納者への機械的な差し押さえを止め、丁寧な収納相談を行い、健康悪化や受診抑制につながる資格証明書・短期保険証発行を中止すること
 ・人間ドック助成を復活し、特定検診の自己負担をなくすこと
 ・鍼灸・マッサージの助成回数を最高60回にすること
 A後期高齢者医療制度の改善
 ・速やかな制度廃止、70歳から74歳の高齢者の医療費2割負担の中止、現役並み所得者の3割負担をやめ1割負担にするよう国に要望すること
 ・短期保険証は発行をやめ、75歳以上の健康診断を無料化すること
 ・特定検診の受診票を全ての対象者に送付すること
 B高齢者が安心して利用できる介護保険制度に
 ・特別養護老人ホームなどの介護施設の抜本的整備をすすめること
 ・自治体独自の保険料・利用料の減免制度をつくること
 ・在宅介護を応援する介護手当てや在宅給食サービスを実施すること
 C障がい者福祉の充実
 ・切れ目のない障がい者福祉を実施すること
 ・重度心身障がい者医療の医療費現物支給を実施すること
 ・タクシー券を利用しやすくし、内容も拡充すること
 D憲法25条の精神を生かした生活保護制度の運用を行うこと
 ・夏期・年末・年始の見舞金を復活すること
 ・各区役所の福祉事務所は、ケースワーカー・査察指導員を増員し、精神保健福祉士及び社会福祉士等の専門性と経験のある職員を配置すること
 ・生活保護申請は、誰でも、どこでも、いつでも気軽にできるように、生活保護申請用紙をカウンターに設置すること
 E予防接種・健康診断の拡充・禁煙教育など健康づくりの推進
 ・新型インフルエンザワクチン接種への助成を、すべての市民を対象に実施すること、接種の無料化を図ること
 ・特定健診は、検診の項目を充実し、無料にすること
 ・各種ガン検診の無料化を速やかに実施し、前立腺ガン検診も実施すること
 ・子宮がん・乳がん検診への助成は隔年でなく毎年受診できるようにすること
 ・40歳以上の歯科検診を実施すること
 ・小学・中学生段階からのタバコに対する健康被害・ニコチン依存の情報を伝え、禁煙教育を実施すること
 ・公共施設の敷地内禁煙を徹底すること
 F「福祉金庫」融資を利用しやすくし、拡充すること
 G高金利の多重債務者対策に取り組むこと
 ・総合相談窓口の設置、全庁的なネットワークで生活支援を含めた解決に取り組むこ と
 ・消費者センターの環境整備を行い、相談員の待遇を改善すること
 H市税、保険料、医療費窓口負担等の減免制度について、市民に周知徹底し、制度の利活用を促進すること
 
2、子育てや教育の応援を
 @乳幼児医療費無料化制度は、中学3年までの対象拡大を速やかに実施し、月額500円の自己負担をなくすこと
 A保育の充実
 ・第3子以降の保育園・幼稚園の利用料はすべて無料とすること
 ・公立保育園の民間委譲をしないこと
 ・認可外保育園への助成を抜本的に拡充し、第2子・第3子の保育料減免を実施すること
 Bひとり親家庭の生活・就労支援の抜本的な対策を講じること
 C児童育成クラブの充実
 ・各クラブに専任指導員の配置と待遇の改善、専門性向上のための研修を実施すること
 ・利用料は、第2子・半額、第3子・無料とし、減免制度を拡充すること
 ・大規模化を解消し、保育環境を充実すること
 ・長期休暇時は、体制を整備し、8時から開設すること
 D5歳児検診を実施すること
 E貧困世帯への支援を強め、児童虐待予防策の抜本的な拡充を図ること
 F児童相談所の専門性を高め、職員体制を拡充すること
 G助産師による新生児訪問の単価を引き上げ、必要な訪問回数を認め、第2子も希望があれば助産師による新生児訪問を実施すること
 H小学校給食の民間委託は中止すること
 I就学援助制度を充実し、援助項目にPTA会費・部活動費・生徒会費も入れること
 J教職員はすべて正規雇用とすること
 Kすべての小中学校にスクールソーシャルワーカー・学級支援員を配置すること
 L肢体不自由学級ならびに病弱学級のバリアフリー化をすすめること
 M学校図書司書は有資格者を配置し、処遇改善を図るとともに、図書購入予算を抜本的に拡充すること
 N給付型奨学金制度をつくり、奨学金を抜本的に拡充すること
 O市立図書館の蔵書予算を拡充すること
 P公民館図書館の開館時間を地域の実情に即し、必要なところは延長すること
 
3、働く人の雇用とくらしを守り、地域経済の活性化を
 @「中小企業振興基本条例」を活かし、中小企業支援策を拡充すること
 A官公需の大企業発注は例外的なものに限り、地元発注を原則とすること
 B公契約条例を制定すること
 C小規模修繕登録制度は、小規模工事も対象とし、発注金額を50万円までに引き上げること
 D最低賃金時給1000円を実現すること
 E求職活動中で困窮している失業者への生活・居住支援を国・県とも連携し拡充すること
 F所得の少ない青年への住宅家賃補助制度・生活資金貸付制度など、市独自の自立支援策を実施すること
 G労働者の雇用と権利を守る「働く若者のハンドブック」を作成すること
 H中小企業青年雇用助成金制度をつくること
 I地域の商店街活性化支援策を拡充すること
 J中小業者への緊急的な少額融資制度をつくり、融資相談を市でも受けつけること
 K市独自の失業対策を実施すること
 L政府に対し、コメをはじめとする農産物の価格保障や所得保障など農業経営を守り自給率向上に必要な制度の充実を求めること
 M農業の担い手を増やし、定着させる抜本策を講じること
 N農業者と消費者の共同で「食の安全」を確保できるルール作りをすすめること
 O新規就農者の参入・定着を支援するため、市独自に以下の点を取り組むこと
 ・新規就農者に月15万円を一定期間支給する制度をつくる
 ・定年後に就農する場合の支援制度をつくる
 P環境保全型農業、地産地消、スローフードの取り組みや食文化の継承・発展を支援すること
 Q学校給食へ米飯給食週3回を増やし、市内生産の野菜など地元食材の比率を高め、地産地消を推進すること
 
4、かけがえのない自然と環境を守る取り組み
 @白川中流域などの涵養域の開発を規制し、涵水事業の拡充を図り、質・量ともに地下水を保全すること
 A地下水汲み上げ事業所から「協力金」を徴収し、涵養対策をすすめること
 B家庭ごみ袋の料金引き下げを実施すること
 C生ゴミの堆肥化やバイオマスなどによる資源化計画を策定し、ゴミ減量、リサイクル率の向上を図ること
 D資源物持ち去り禁止条例を廃止すること
 E携帯電話中継塔やマンション、パチンコ店の建設に関する規制を強化すること
 F環境衛生事業所を復活させ、「ムシムシ相談」を拡充し、スズメバチ駆除の補助制度をつくること
 GCO2削減目標を掲げた「地球温暖化防止条例」を策定すること
 H屋上緑化・太陽光発電などへの助成拡充や、マイカーを規制し、ノーマイカーデーの推進など、公共交通への転換をすすめること
 
5、防災と安全・安心のまちづくり
 @教育現場での防災訓練を日常化し、防災教育に力を入れて、具体的な災害への備えに取り組むこと
 A緊急時に起動できる情報発信の設備を市全域に整えること
 B防災・備蓄倉庫を増やし、物資の配備を拡充すること
 C「自主防災クラブ」への支援を拡充すること
 
6、地元応援の公共事業と、公共交通中心の環境に優しいまちづくり
 @カーブミラーや道路・橋梁等の新設・改修予算を拡充や、都市小河川の改修予算の増額や都市型水害対策を強化し、水害に強いまちづくりをすすめること
 A老朽化した市営住宅の改修・建替えや新規市営住宅の建設をすすめること
 Bすべての市営住宅に風呂釜を早急に設置し、修繕予算を増やし、トイレ・風呂場・台所などのバリアフリー改修、畳替えや網戸・水周りの修繕などをすすめること
 C市営住宅の家賃減免制度を拡充すること
 D民間住宅の低所得者に対する家賃補助制度をつくること
 E市独自の住宅保証人制度を作り、ホームレスからの自立支援や身寄りのない高齢者の住宅確保を支援すること
 F個人住宅の耐震化を促進するため、診断・改修・補強の助成制度を拡充すること
 G市電の値上げを中止し、利用促進と市電をいかしたまちづくりをすすめ、電停のバリアフリー化をすすめること
 H市営駐輪場を無料化すること
 
7、住民サービス向上につながる「区制」に
 @「龍田出張所」を総合出張所に拡充するとともに、他の出張所を廃止しないこと
 A総合出張所には「福祉事務所」機能を置き、生活保護申請も総合出張所で受けつけること
 B区バスは均一運賃とし、利用者の負担を軽減し、路線を維持すること
 C地方自治の破壊につながる道州制には反対すること
 D土木センターを各区に設置すること
 
8、市民サービス向上につながる「行財政改革」を
 @動植物園駐車場ならびに市外の子どもの入園料を無料にすること
 A水道料金の引き下げを実施すること
 B窓口業務については椅子を設置した対面方式とし、「市場化テスト」は中止すること
 C「集中改革プラン」による職員の削減を機械的に行わず、競争をあおる成果主義をやめ、「憲法と地方自治」を尊重する人材育成に努めること
 D現代美術館・市営住宅管理の指定管理者制度はやめ、直営にすること
 E市立図書館本館は直営を継続し、森都心ならびに城南図書館については直営に戻すこと
 F行政サービスの向上・専門職の育成の立場から、安易な民間委託はやめること
 G税の徴収は、納税者の実情をきちんと把握し適切に行い、適税金滞納者への過度な差押えを中止すること
 H「官製ワーキングプア」一掃のため、以下の点に取り組むこと
 ・臨時職員・非常勤職員・嘱託職員・アルバイト職員などの実態調査を行い、待遇の改善を図ること
 ・「指定管理者」「委託業者」の従業員の給与実態や労働条件について把握すること
 ・臨時職員・非常勤職員・嘱託職員・アルバイト職員の交通費は実費を支給すること
 ・嘱託職員の5年を期限とする有期雇用契約は、専門性確保の観点からやめること
 I談合防止・入札制度の改善、随意契約の見直しなど、契約制度改善をすすめること
 J女性の役職・幹部職員への起用をすすめること
 K市長の退職金を廃止し、住民要求実現の財源にすること
  以上


連絡先

・日本共産党熊本市議団 熊本市中央区手取本町1−1 議会棟3階
電話 328−2656   FAX 359−5047
メール: kumamsu@gamma.ocn.ne.jp
ホームページ https://www.jcp-kumamoto.com/